企業では「利益」が重視されると同時に、「売上」や「売上高」という言葉もよく聞かれます。売上高とは一体何を意味するものなのでしょうか。ここでは企業会計の中でも大きな柱となっている、売上高について解説していきます。
【監修協力:資格の大原(社会人講座)】
「売上高」とは、その会社の主たる商品・製品などを販売など営業活動によって得られた代金であって、一定期間のなかでの売上の合計金額になります。企業会計の収益区分の一つとなっています。
例えば、1個200円の商品が1個売れると200円の売上となります。これが一定期間の間に500個売れた場合、100,000円の売上高になります。
利益と混同しやすい言葉ですが、売上高には仕入れや販売にかかった費用が考慮されていません。売上高から仕入れや販売にかかる費用などを差し引いたものが利益です。利益が「儲けた値」であるのに対し、売上高はあくまでも「売れた値」という観点で捉えます。 そのため、売上高は単純に「商品単価×販売数」で算出します。
この式からもわかるように、基本は商品単価を上げるか販売数を増すことで、売上高は伸びていきます。実際に企業では、値下げをして販売数を増やす方法や、商品品質を上げて商品単価の値上げをする方法で、売上高を伸ばす取り組みを行っています。
多くの企業は、ホームページなどで売上高を公表しており、前年比など含めての推移を示しているところもあります。売上の伸び率を見ることは、企業を判断するうえでの基本となります。そのほか、収益の割合や従業員1人あたりの売上高などを分析できるため非常に重要な数値になります。
企業の経営成績を判断するには、損益計算書が役立ちます。損益計算書は一定期間の経営成績を、収益・費用・利益の観点でまとめたものです。企業の収益や支出した費用、そしてそこから残った儲け(利益)が読みとれます。企業にとっての成績表といってもいいでしょう。
売上高は、損益計算書において一番上に記載される金額です。あくまでも本業で得た稼ぎとなるので、それ以外の金額は含みません。
企業によっては、本業とは別に、投資不動産や株式、預金口座などによって本業以外に利益を上げることがあります。そのようなものがあっても、売上高には計上されることはありません。
次に売上高の下段には、仕入れや製造などにかかった売上原価が記載されます。売上高から売上原価を差し引くことで、企業が本業で得た売上総利益(粗利)を算出できます。この関係性からもわかるように、売上高が高いだけでなく売上原価を抑えることで、より利益を多く得ることができます。
損益計算書では売上総利益を基準として、下段におけるさまざまな利益を算出していきます。つまり売上高は、損益計算書の中では基本となる値と言えるのです。
「売上」は企業を動かす原動力となります。「売上高」を理解することは、その企業の実態を把握するための第一歩です。売上高の意味と実際の値を読みとることで、企業研究を深めていきましょう。
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