「捲土重来」とは、土煙が巻き上がるような勢いを取り戻して、巻き返していく様子を表した四字熟語です。読み方は「けんどちょうらい」、あるいは「けんどじゅうらい」。
難しい漢字を含む言葉ですが、最近では人気ゲーム「ウマ娘」のスキル名にも採用され「さあ、ここから捲土重来!」といったSNS投稿を目にするようになりました。
今回は、この「捲土重来」の意味や使い方、類義語や対義語をご紹介します。ビジネスシーンでも登場する言葉なので、覚えておくと便利ですよ。
▼目次
1.捲土重来の意味とは
2.捲土重来と臥薪嘗胆の違い
3.捲土重来の使い方を例文でチェック
4.捲土重来の類義語と言い換え表現
5.捲土重来の対義語
6.英語で言うと?
7.まとめ
捲土重来(けんどちょうらい)とは、一度敗れたり失敗したりした者が、再び勢いを取り戻して巻き返すことを意味します。
捲土重来の「捲土」は「捲(まく)る」に「土」で土煙を巻き上げること。これは勢いが激しいことのたとえです。「重来」は「再びやって来る」こと。
このことから「土煙を巻き上げるような勢いをもって、今一度盛り返して攻めてくる」といったニュアンスを持っています。
「捲土重来」は、唐の詩人・杜牧(とぼく)による詩「題烏江亭」の一節「捲土重来、未だ知る可(べ)からず」が基になってできた故事成語です。
この詩は「劉邦(りゅうほう)と天下を争うも、垓下(がいか)で戦いに敗れ自決した、秦末期の楚の人・項羽(こうう)」をしのび、杜牧が烏江亭を訪れたときに作ったものだといいます。
このような杜牧の思いが詠われています。
現代では、そこから転じて、「一度敗れた(失敗した)者が、再び勢いを盛り返して巻き返す(再起をはかる)」意味の言葉として使われています。
臥薪嘗胆(がしんしょうたん)も中国の故事にまつわる四字熟語です。漢字が難しいので分解すると、
となります。
固いたきぎの上で寝て、苦いきもをなめることであえて苦労を重ね、復讐心や悔しさを忘れずにいようとする様子をあらわしています。そこから「仇(あだ)を打つために苦しい状況に耐え忍ぶこと」という意味になっています。
この「臥薪嘗胆」も「捲土重来」も、ともに「一旦は敗れている」という点で共通していますが、そこから先が異なります。
捲土重来が「勢いよく反撃に出る」ニュアンスなのに対して、臥薪嘗胆の方は「苦しい状況であってもくさらず、地道に努力する」というニュアンス。捲土重来の方がよりアクティブなイメージであることが分かりますね。
「捲土重来」の例文を見てみましょう。
上記は、前回の大会では負けてしまったが、今大会ではまた盛り返して初戦を突破した、という意味になります。
非常によく使われているのが、「捲土重来を期す」というフレーズです。まずはこのフレーズから覚えることをおすすめします。
読み方は「けんどちょうらいを きす」となり、「これからの巻き返しを心に誓う」という意味合いです。
上記のいずれも、「これから勢いよく巻き返したい(そのために努力する)」というニュアンスで用いられています。同じように「捲土重来を期待する」と表現することもあります。
さらに、「捲土重来を果たす」のフレーズでも使われます。
上記は「新製品の投入という戦略によって、見事に巻き返すことができた」の意です。例えば売上がV字回復したようなときにピッタリの表現でしょう。ライバル会社を追い抜いたときにも「捲土重来だ!」と言いたくなりますね。
このように、「捲土重来」はビジネスやスポーツや政治などで「満を持して挑んだ勝負ごとに敗れた人が、巻き返しを図る様子」をあらわす表現として使われます。
捲土重来の類義語と言い換え表現には、次のようなものがあります。
そのほか、シンプルに捲土重来の意味である「巻き返す」「盛り返す」「反撃に出る」などと言い換えることもできます。
捲土重来と反対の意味を持つ対義語には、次のようなものがあります。
もとは中国語に由来する「捲土重来」ですが、英語でも「make a comeback(盛り返す)(返り咲く)(復活する)」、「regain lost ground(失地回復する)」など、いずれも「捲土重来」に非常に近いニュアンスを持つ言葉があります。例を挙げてみましょう。
争いごとに負けても、大切なことに失敗しても、めげずに挽回を図るのが「捲土重来」。そんなハングリーな精神を忘れず、勉強やスポーツにも取り組みたいですね!
文:マイナビ学生の窓口編集部
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