覚書とは、本来の意味としては「忘れないように書いたメモ」となります。ですがビジネス文書としての意味は全く異なるもの。単に覚えておくための書類と考えていると、とんだトラブルに発展する恐れも…!
今回は、ビジネス文書としての「覚書」を徹底解説。正しい意味や契約書との違い、書き方のポイントや印紙のことなどお伝えした上で、覚書の例文もご紹介します。最後までお読みいただければきっと覚書についてはバッチリになりますよ。
▼覚書の書き方のフォーマットはこちらもチェック!
社会人なら絶対に知っておきたい「覚書」の意味&書き方について
ビジネス文書としての覚書を簡単に分かりやすくいうと、「元の契約を補足するもの、あるいは契約書の簡易版」のことを指します。
覚書には本来、「忘れないように書いたメモ」という意味があります。ですがビジネスシーンでの覚書は、上記3の意味として用いられます。
つまり、何らかの契約があることを前提に、その補足的な意味合いを持つ文書として覚書が作成されます。たとえば契約の中で「〇〇については別途定める」としておいた詳細の取り決めを、覚書として作成します。双方が署名や捺印をすることで、双方が取り決めに合意したことを明確にすることができるのです。
そして現在では「元の契約を補足するもの」としてだけでなく、「簡易的な契約そのもの」を覚書として作成するケースも見られます。
いずれにしても、「当事者間で、記載される内容に合意がなされた」ことを明らかにしておく、という主旨で作成されるものです。
覚書とよく似ている文書に「契約書」があります。基本的に両者の意味合いは同じで、当事者同士の意思が合意にいたっていることを証明するものです。
違いとしては、覚書の方が「契約書の内容を補完するもの」であること、あるいは「契約書よりも簡潔な内容である」ことが挙げられます。
とはいえ両者ともに「合意内容を書面化して証明するもの」であることに変わりはありません。その意味では覚書は契約書の一種と言うことができるでしょう。
契約書に比べて覚書の方は略式ともとれることから、証拠としての効力は覚書の方が下と感じることもあるかもしれません。ですが、結論としては覚書の効力は契約書と同等です。
覚書に合意事項がもれなく記載され、当事者の署名捺印がされていれば、「本人が合意した内容である」と捉えることができます。もしも当事者間で裁判などに発展したときは、覚書が「合意事項を証明する文書」として、契約書と同等の効力を発揮することになります。
ここからは、覚書の書き方のポイントについて解説していきます。
表題は、これから書く内容が簡潔に分かるものにするとベター。また表題なので少し大きめにすると映えます。
契約の当事者、なんについての合意かということを記載します。当事者を「甲・乙」の略語に置き換えるという断りについても記載します。ここでのポイントは、甲乙の指定について。
このように甲乙を設定するように注意しましょう。
本文には具体的な合意内容を記載します。箇条書きで簡潔にまとめていきましょう。
ここで当事者同士が合意したと記載し、その下で署名捺印をしておけば万全です。
覚書を作成する日付を記載します。
契約を結ぶ当事者がそれぞれ署名・捺印(なついん)し、1通ずつ所持するというのが基本ルールです。
上記に「署名」と「記名」の違いを記載しましたが、効力が高いものから、署名捺印、署名、記名押印(おういん)の順です。捺印と押印はどちらも印鑑を押すという意味ですが、言葉遣いとして署名に対しては捺印、記名に対しては押印を用いるのが一般的です。
日本では「ハンコ」を重んじてきた商慣習がありますが、最近ではハンコ文化を見直す動きも出てきていますね。法的には、署名があれば効力を持つ文書として成立します。
「覚書は簡易的なものだから、印紙は必要ないのでは…?」
このように考えてしまいがちですが、実は記載内容によっては収入印紙が必要となるケースも。「覚書は契約書の一種である」と考えることが大切です。
収入印紙が必要となる覚書の例として分かりやすいのが「原契約を変更する覚書」。原契約が課税文書である上、その覚書に印紙税法上の「重要な事項」が含まれているかどうかがポイントです。正確にお伝えするため、国税庁ホームページから具体例を引用してご紹介しましょう。
工事請負契約書(原契約書)により定めた取引条件のうち、工事代金の支払方法を変更する覚書を作成した場合は、第2号文書(請負に関する契約書)の重要な事項である「契約金額の支払方法」を変更するものですから、この覚書は原契約書と同じく第2号文書として取り扱われます。
(引用:国税庁HP)
第2号文書、つまり課税文書となり収入印紙が必要、ということになります。
ここからは、覚書のひな型を3パターンご紹介します。
覚書
〇〇〇〇株式会社(以下「甲」とする)と〇〇〇〇(以下「乙」とする)は、甲乙間にて〇〇年〇〇月〇〇日に契約締結した〇〇〇〇契約書(以下「原契約書」とする)に関する以下の事項に関して合意し、覚書を作成する。
第〇条
(以下、必要なだけ具体的な内容を記載します。)
以上を合意した証しとして本書を2通作成し、甲乙署名捺印の上、各々1通を所持する。
〇〇年〇〇月〇〇日
甲 住 所:〇〇〇〇〇〇
〇〇株式会社
代表取締役〇〇〇〇 印
乙 住 所:〇〇〇〇〇〇
氏 名:〇〇〇〇 印
アルバイト転属についての覚書
転属者氏名:〇〇〇〇
・転属日:平成〇〇年〇〇月〇〇日
・転属前の所属:〇〇支店〇〇部
・転属後の所属:〇〇支店〇〇部
・業務内容:〇〇〇〇
その他特記事項:勤務時間、休息時間、給与等については転属前と同一とする。
私、〇〇〇〇は転属について以上のとおり合意・確認いたしました。
〇〇年〇〇月〇〇日
甲 住 所:〇〇〇〇〇〇
〇〇株式会社
代表取締役〇〇〇〇 印
乙 住 所:〇〇〇〇〇〇
氏 名:〇〇〇〇 印
賃貸借契約変更に関する覚書
賃貸人〇〇〇〇(以下「甲」という)と賃借人〇〇〇〇(以下「乙」という)は、〇〇年〇〇月〇〇日付で締結された建物賃貸借契約に関して、以下のとおり合意したので本覚書を締結する。
第1条(家賃減額)
甲と乙は月額家賃を次のとおり変更することを合意する。
月額家賃【 】円から【 】円に変更する。
第2条(期間)
前条の家賃減額期間は、〇〇年〇〇月分家賃から〇〇年〇〇月分家賃までとする。
第3条(その他)
本覚書に記載がない事項または本覚書の解釈に疑義が生じた事項については、甲乙協議の上で定めるものとする。
以上を証するため本覚書を2部作成し、甲乙記名押印の上各1通を保有する。
〇〇年〇〇月〇〇日
賃貸人(甲) 住所: 〇〇〇〇〇〇〇
氏名: 〇〇〇〇〇〇印
賃借人(乙) 住所: 〇〇〇〇〇〇〇
氏名: 〇〇〇〇〇〇印
媒介する宅地建物取引業者 商号または名称:〇〇〇〇〇〇〇
主たる事務所:〇〇〇〇〇〇〇
代表者氏名:〇〇〇〇〇〇印
宅地建物取引士:〇〇〇〇〇〇印
覚書は一から作ると大変なので、上のようなフォーマットを使ったり、会社内の過去の覚書を上書きしたりするといいです。いざというときに抜けのない覚書が作成できるように、しっかりポイントを押さえて正しい覚書を作成できるようにしておきましょう。
覚書と契約書の違いや、覚書の書き方、ひな型についてご紹介しました。覚書とは「元の契約を補足するもの、あるいは契約書の簡易版」のことを指します。
覚書は契約書の一種という位置付けなので、書類として整っていれば契約書と同等の法的効力があります。内容によっては収入印紙が必要となりますので注意しましょう。一から作ろうとすると大変なので、上手にフォーマットや過去の覚書を参考にしながら作ってみてください。
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