「とんでもございません」は間違い?意味や使い方、言い換え表現を解説【例文つき】

更新:2024/05/29

対人マナー

ビジネス敬語「とんでもございません」

ビジネスの会話で聞くことが多い「とんでもございません」という言葉。ですが、「それって正しい使い方なの? ビジネスの場面で使っていいの?」と違和感を覚える方もいらっしゃるのではないでしょうか。

「とんでもございません」という言葉をビジネスで使ってよいのかどうか、また、使うことが可能なのであれば、どのような場面で使用できるのか、実例も含め、言葉の意味と使い方をご紹介します。

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「とんでもございません」の意味

「とんでもございません」は「とんでもない」という形容詞から派生してできた言葉です。

【とんでもない】

1.思いもかけない。意外である。
(例)とんでもない発明

2.もってのほかである。
(例)とんでもない悪さをする

3.まったくそうではない。滅相もない。相手の言葉を強く否定していう。

(引用:デジタル大辞泉)


このうち、「とんでもございません」として使われるのは「3」の意味です。といっても強く否定するほどではなく、相手から褒められたことなどを軽く打ち消す意味を持っています。

例えば、上司から褒められた場合に「そんなことはありません」「褒めていただくほどではありません」といった意味合いで用いられ、謙遜のニュアンスが含まれるのが特徴です。

「とんでもございません」は上記「とんでもない」の「ない」の部分に、丁寧語にあたる「ございません」を使うことで丁寧な表現となっているのです。

「とんでもございません」はビジネス敬語としてあり?

結論から言うと、「とんでもございません」をビジネス敬語として使うのは「あり」です。

文化庁の「敬語の指針」でも「とんでもございません」は、使ってもよい敬語とされています。相手からの褒めや賞賛などを軽く打ち消したいときの表現として、ビジネスシーンで使っても問題はありません

文法的におかしいという意見もある

前述のとおり、「とんでもございません」の元となる言葉は「とんでもない」という形容詞です。本来は「とんでもない」全体でひと続きの言葉なので、「とんでも」+「ない」に分断して「ない」の部分だけを丁寧語の「ございません」とするのは文法的におかしいのでは、という意見もあります。

しかし「とんでもございません」は「とんでもない」とは若干異なり、新たに生まれた表現だと言うこともできるのです。

「とんでもございません」は、相手から褒められたときなど、謙遜して「そんなことはありません」と軽く打ち消す意味があります。一方、「とんでもない」は、冒頭でお伝えしたとおり「強い否定」「思いもかけない」「もってのほか」といった意味がありました。

つまり「とんでもございません」は「とんでもない」の丁寧表現としては文法的におかしいかもしれませんが、もはや別の意味を持つ新しいフレーズとして認められてきているのです。

純粋に「とんでもない」を丁寧な表現にしたい場合には「とんでもないことでございます」または「とんでもないことです」などがより適切でしょう。

「とんでもございません」を使うシーン

「とんでもございません」を使うシーン

では、「とんでもございません」とはどのようなシーンで使われるのでしょうか?

ビジネスで褒められたとき

ビジネス上で褒められたとき、必要以上に謙遜すると嫌味になってしまうかもしれませんが、一度は軽く否定したい、という人も少なくないでしょう。

そこで使われる表現が「とんでもございません」です。「周りの方々のおかげです」「まだまだ及びません」のようなフレーズを添えると、相手に気持ちが伝わりやすいでしょう。

お礼を言われたとき

相手から褒められたときだけでなく、お礼を言われたときにも使えます。例えば「いつも◯◯をありがとう」などと言われたときの返事として「とんでもございません」と使うことができ、やはり謙遜のニュアンスを含めることができます。

ビジネスシーンでは「どういたしまして」よりも多く使われている印象があります。

謝罪されたとき

「とんでもございません」は、謝罪されたときに軽く打ち消すような返事としても使えます。例えば取引先から「先日は時間を誤ってしまい申し訳ありませんでした」と言われたら「とんでもございません。お気になさらないでください」といった風に使うことができます。

「とんでもございません」の例文

それでは、ビジネスで使われる「とんでもございません」の実例を見ていきましょう。

<例文1>
「今回のプロジェクトが大きな成功を収めたのは、君のおかげだ。」
→「とんでもございません。」


このようにビジネスシーンでお褒めの言葉をいただいたときに、便利に使えるフレーズです。

<例文2>
「君のような優秀な社員が入って、我社も安泰だ!」
→「いえいえ、とんでもございません。」


こちらも、自分に高い評価をいただいたときに謙遜する意味で使っている例文です。

「期待に応えられるよう、精一杯取り組んでいきたいです。」のように、今後に向けての心構えが伝わるような言葉を添えてあげると、より好印象になるのではないでしょうか。

<例文3>
「いつも出張のときに美味しいお菓子のお土産をありがとう。」
→「とんでもございません。私も食べたいものばかりですし。」

お礼を言われたときの返事として使っている例文です。「自分でも食べたいものだったので、気にしないでくださいね」といった意味合いです。

「とんでもございません」の言い換え表現

「とんでもございません」をビジネス敬語として使うのは「あり」ではありますが、人によっては違和感を感じることもあるかもしれません。

特に、さまざまな世代が多数集まっているようなシーンや、ビジネス上の重要な局面ではもっと無難な言い換え表現を使った方が良いことも。いくつか言い換え表現をご紹介しますので、参考にしてください。

恐れ入ります

目上の人に感謝の気持ちや、申し訳ない気持ちを表します。

恐縮です

身も縮むほど恐れ入っている様子を表します。

滅相もありません

「全くそんなことはありません」という意味。

励みになります

褒められたことがやる気につながったり、心の支えになったりするという意味。賞賛を手放しで喜ぶというよりも、謙遜と今後の頑張りの気持ちを込めることができます。

まとめ

「とんでもございません」という言葉のビジネスにおける意味と使い方の実例をご紹介しました。言葉というものは変化するもの。そして、使う人によって変化していきます。最初は不自然な表現だったとしても、多く使われることによって1つの表現として認められてくる可能性も秘めているのです。

ビジネスシーンでは、言葉の使い方が正しいかどうか考えるだけではなく、まずはマナーについて考えることが重要とも言えるでしょう。

(学生の窓口編集部)

学生の窓口編集部

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