これまで日本では20歳以上にしか認められていなかった選挙権が、18歳以上から認められるようになります。施行されるのは2016年6月19日ですが、18歳以上になったことによってどのようなメリットが考えられるのでしょうか。
2016年6月19日より、選挙権が20歳以上から18歳以上に引き下げられます。選挙権とは、選挙に参加する権利のこと。市町村や知事、衆議院や参議院に至るまで代表を選出する投票に参加できるということです。これまで日本では長い間、選挙権は20歳以上にしか認められない権利でした。
それでは、なぜ選挙権が引き下げられることになったのでしょうか。選挙権の引き下げとなった理由は、国際的な足並みをそろえるほかにも、若年層の政治への関心を寄せるきっかけづくりなどの理由があります。また、今後選挙権が引き下げられることによって、18歳以上は大人なのだという意識、少年法などの改正への期待が寄せられています。
選挙権の引き下げによって考えられるメリットのひとつが、若年層の政治への関心のきっかけになるということです。これまで、選挙に関しては若年層の政治離れが取り沙汰されてきました。18歳という年は、高校生と大学生のちょうど間の年になります。この年に引き下げられたということは、選挙に関してこれまで以上に学校で取り上げられることも期待できますし、それによって政治への関心のきっかけをつくることが可能です。
そして、年齢を引き下げることによって考えられるのが、若年層の意見をより反映させられるという期待です。現在日本は、高齢化社会と言われており、若年層に対して高齢者の割合が多い社会に変化しています。この意味が指すのは、若年層の割合が少ないがために、若年層が求めている政治への期待がなかなか反映されないということ。
さらに、現在若年層の政治離れによって、この流れは顕著です。選挙権が18歳に引き下げられることによって、必然的に選挙権を持つ若年層が増え、さらに教育によって選挙に行く人が増えれば、これまでより若年層の意見が反映されやすくなるでしょう。
日本では長い間選挙権を持てるのは20歳以上とされてきましたが、実はこの20歳という数字は、世界的に見ると少数になります。アメリカやイギリス、ロシアなどの主要先進国を含めた多くの国では、選挙権は18歳以上に認められているからです。
中には、16歳以上から認められている国もあるほど。今回日本でも18歳以上に選挙権を認めることによって、国際的な足並みをそろえることができました。選挙権を引き下げることによって、成人の年齢に対しても見直しが行われることが考えられ、今後世界的な基準に近づいていくものと考えられます。
しかしながら、この18歳選挙権において少なからずデメリットがないと言い切れるかというと、難しいところです。まずは、18歳で果たして政治的な判断ができるのかという懸念があります。18歳という年は、社会的な経験がまだまだ少ない年齢だともいえるからです。
バイトなどを経験することもありますが、18歳であれば就職して働いているという割合はそこまで高くはないでしょう。社会経験がそこまで多くない中、政治に参加しても意味があるのかという声が上がっているのは事実です。しかしこの点は、選挙においてマニフェストを若年層向けにより分かりやすく示す、学校の授業で政治と選挙権に関する授業を積極的に行うということでカバーできる可能性があるでしょう。
選挙権は今回18歳以上に引き下げられましたが、被選挙権は依然として変わりません。被選挙権とは、市区町村長や知事、衆議院議員などに立候補して実際に就くことができる権利のこと。国会議員を例に挙げると、衆議院議員は25歳以上の日本国民、参議院議員は30歳以上の日本国民が条件です。選挙権は引き下げられたものの被選挙権は据え置きなので、若年層が選挙を変えるという意味では限定的になるのではないかという声もあります。
選挙権の引き下げによって、今後の政治や18歳以上の社会的責任に関して動きがある可能性は大いに考えられることです。今後どう動くか、社会を知る上でも確認しておきましょう。
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