社会人になると、ビジネスやプライベートでの大人の付き合いの中で、「寸志(すんし)」という言葉を耳にすることが増えたかと思います。
しかし、「寸志」という言葉がどういう意味なのか、どのような場面で使われるのか、正確には分かっていないという人は多いのではないでしょうか。この記事では「寸志」の意味と具体的な事例、寸志のマナーや金額相場についても解説します。
▼目次
1.「寸志」とは「心付け」という意味
2.「ボーナス」「謝礼」とのちがい
3.寸志が使われる場面・シーン
4.寸志のビジネス面での使われ方【例文つき】
5.寸志のマナー
6.寸志の金額相場
7.まとめ:寸志を理解してスマートに対応しよう
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「寸志」とは別名「心付け」とも言われ、お世話になった方への御礼や感謝の気持ちを表す「少しばかりの金銭や品物」を意味しています。
寸志の「寸」とは「ちょっとした」「わずかな」という意味があり、「志」の方には「相手を思う気持ち」「謝意や好意などを表すために贈る金品」という意味があります。
このことから、寸志とは「わずかばかりではあるが、気持ちを伝えるための金品」というニュアンスを持っています。
寸志と意味が似ている言い換え表現をご紹介します。
「心遣い」には「あれこれ配慮すること」という意味のほかに「心づけ」といった金銭的な意味もあります。そのためシーンによっては「寸志」の代わりに「心遣い」「お心遣い」という言葉を使用することもできます。
目上の人ではなく同等の立場の人や、同僚に渡す場合は「松の葉」という言葉が使用できます。松の葉で包んだほんの些細なもの、という意味なので少しへりくだった表現になりますが、知っておいて損はない言葉です。
比較的なじみのある言葉として「お礼」も挙げておきます。寸志はお礼の気持ちを表したい時にもよく使われますので、そのまま「お礼」に言い換えできることが多いです。
例)お礼(寸志)を用意しておこう
贈る相手の立場やどういった場面なのかを考えて、使い分けるようにしましょう。
寸志と同じようなシーンで登場する言葉として「ボーナス」「謝礼」があります。寸志はこれらの言葉とはどう違うのでしょうか。
寸志はボーナスに近い形で会社からもらえる場合があります。寸志とボーナスは一般的に次のような違いがあります。
実は、ボーナスと寸志は法的に明確な区分けはありません。そのため、たとえ寸志であっても厳密にはボーナスと同様に扱われ、課税の対象となります。
「謝礼」と「寸志」は、どちらもお礼の気持ちを込めて金品を渡す際に使われるという点では非常によく似た言葉です。あえて違いを挙げるならば、
が挙げられます。
寸志という言葉が使われるのはどんな場面なのか、「ビジネス」「プライベート」に大きく分けて解説していきます。
ビジネスシーンで寸志が使われるのは、主に次のような場面です。
先ほどお伝えしたとおり、寸志はボーナスと似たような形で会社から支給されることがあります。
それから、ビジネス上の会合でも寸志を目にすることがあります。例えば会社での宴会や歓送迎会などの場で、目上の人から幹事役を務める人に「今日の会食費の足しにしてください」という意味で寸志が渡されます。
また、会に招かれた主賓であっても、参加費用を支払わない代わりに寸志を包むのが慣例となっている職場や会社が多いようです。
ビジネスにおいては、立場が上になればなるほど「寸志」に気を配っているものです。ビジネスマナーとして、今のうちから注意して見ておくといいでしょう。
プライベートなシーンでは、結婚式や披露宴などのお祝いの場で、新郎新婦から当日お手伝いしていただいたスタッフの方々へ寸志をお渡しすることがあります。
また、お葬式など仏事の際も同じく、喪主の側から火葬場の係員や運転手などお世話になった方々へ寸志を渡す習慣があります。
このように、ビジネスだけではなくプライベートなど様々なシーンでも使われているため、「寸志」は大人のマナーとして知っておかなければいけない常識のひとつだとわかりますね。
ここでは、寸志がビジネス面で実際にどのように使われているのか、例文とともに見ていきます。
このように「寸志を出す」「寸志を用意する」「寸志をもらう」などが基本の使い方です。ポイントは、寸志を渡すのは目上の人からだということ。立場が下の人から目上の人に対しては「御礼」などを使います。
次に寸志を渡すときですが、実はこのときは「寸志」と言わないことも多いです。
寸志を渡すときは、相手へのねぎらいの言葉や感謝の言葉とともに渡すようにします。もらった方は当然ですが「ありがとうございます」とお礼を言うようにしましょう。
そして寸志をもらった後は、下さった方のお名前を関係者に披露することが通例となっています。例えば会社関係の食事会で、所属部署の部長から寸志を頂戴した場合には、食事会の幹事役が会の冒頭にて、具体的な金額には触れずに紹介します。
このとき「寸志をいただきました」とは言いません。目上の人からいただいた「寸志」を紹介する際には、失礼に当たらぬよう「ご厚志(こうし)」や「お心遣い」という言葉に呼び変えましょう。
実際に寸志を用意するときにはどんなことに気をつけたら良いのでしょうか。ここからは、寸志の基本マナーについて解説します。
そもそも、ビジネスにおいて「寸志」は目上の人から目下の人に対して渡すものです。
反対に、目下の人から目上の人に渡す場合には、「寸志」という表現はマナー違反。その場合は「寸志」ではなく、「御礼」や「ご挨拶」といった表現を使うようにしましょう。
ビジネスシーンで寸志(お金)を渡す場合には、白い封筒に「寸志」と表書きすればOK。あるいはお祝い事のときに使う「花結びのし袋」や「赤棒のし袋」があれば、ビジネスで使っても差し支えありません。
「寸志」の表書きは、袋の上半分の中央部に「濃墨」の筆ペンを使って書きます。下半分の中央には自分の名前が来ます。筆ペンの代わりに太めのサインペンでも構いませんが、ボールペンは避けた方がいいでしょう。
品物で寸志を渡す場合には、「寸志」と記載された熨斗(のし)をつけます。
寸志を渡すタイミングに守るべきマナーは特にありません。ですが、渡すタイミングは「早め」と心得ておきましょう。
例えば会合で渡す場合には、その場所に着いたら挨拶とともにすぐに幹事に渡す、といった具合です。その方が忘れずに済みますし、幹事も皆に伝えたりと動きやすくなります。
お祝い事や仏事の際も、当日の顔合わせの時などがベター。「後で落ち着いたら」でも構いませんが、渡しそびれてしまうことのないよう気をつけましょう。
寸志をいただいたときには、お礼状やお礼の言葉で「ありがとうございます」という気持ちをお伝えすれば十分です。
基本的に、大げさなお返しは必要ありません。
寸志の金額相場は次のとおりです。
会社から支給される寸志は業績にもよりますので幅があります。寸志の「心ばかり」というニュアンスを考えると、10万円程度が上限と言えそうです。
寸志は学生間では聞かない言葉なので、戸惑ってしまうこともあるかもしれませんね。実際「寸志」が使われるシーンには様々なケースがあるので、対応の仕方や判断に迷うことが出てくるでしょう。
基本的に以下2つのことを頭にいれておきましょう。
このように「寸志」は「ちょっとした御礼」であることを理解し、正しい対応をとれるように心がけておきましょう。
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