おすすめ(1)「モチモチの木」(岩崎書店/作: 斎藤 隆介、絵: 滝平 二郎)
あらすじ:じさまと暮らす、怖がりな少年・豆太の勇気のお話。豆太は家の前にある「モチモチの木」が怖くて、夜はじさまを起こさないと離れにあるトイレにいけない。ある夜、じさまが体調を崩し、豆太は勇気を振り絞って医者を呼びに行く。するとモチモチの木に雪明かりが灯って……。
「みどころは、モチモチの木に変化が起きる場面。それまでモノクロ風だった絵が、そのページでいきなりカラフルになるんです。保育園で読み聞かせをしていると、いつもこのシーンで園児たちの顔もぱっと明るくなるし、大人でも感動しますよ。今改めて読むと、本当の優しさや勇気がなんなのかを深く考えさせられるお話です」
おすすめ(2)「ピーターのいす」(偕成社/作:エズラ=ジャック=キーツ、翻訳:木島 始)
あらすじ:赤ちゃんが生まれたことで、お兄ちゃんになった少年の心の動きを描いた絵本。かつて自分のものだったゆりかごやいすが、赤ちゃんのために両親によってピンク色に変えられてしまう。まだピンク色になっていないお気に入りのいすをもって、ピーターは家を飛び出すけれど……。
「絵のタッチが優しくて、レースなどがあしらわれたおしゃれな絵本。保育園でも大人気で、特に年長さんは熱心に読んでいますね。きっと、主人公の気持ちが自分と重なるのだと思います。大人になると忘れかけてしまう『子どもの心の動きの変化』を伝えてくれる絵本ですね。心の奥をきゅうっとつかまれるような、切ない気持ちになりますよ」
−まずは手始めに、この2冊から読んでみようと思います。よしえ先生、ありがとうございました。
■ひとことアドバイス
「園児たちを見ていると、子どものころの絵本の好みは内容よりも絵に左右されるんだなあと感じます。私も昔は『モチモチの木』が苦手だったけれど、今改めて読むと、内容の奥深さに気づかされます。ぜひご実家などに眠っている絵本をもう一度開いてみて欲しいです」
「大人が絵本を楽しむ」ならば「仕事で疲れて帰宅した日、ビールをプシュッとやりながら、絵本をつまみに……」なんて方法もアリかも? 無理に「子ども心に還ろう」なんて意気込まなくても、大人なりの視点で、絵本を楽しむのが一番なのですね。
(小野田弥恵/プレスラボ)
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