「ダムレイ」「テンビン」「うこん」!? 台風の意外な名前と名付け方

更新:2018/06/13

社会人ライフ

「ダムレイ」「テンビン」「うこん」! 台風の意外な名前と名付け方

秋は台風のシーズン。今年はすでに日本のあちこちで大雨による被害に遭ったので、これ以上台風に襲われると困りますよね......。さて、この台風ですが、最近では「台風○号」という番号に加えて、名前がつけられているのをご存知ですか? 今回は、台風の意外な名前と名付け方についてご紹介します。

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■日本はシンプルに番号で呼んでいました!

もともと、日本の気象庁では、毎年1月1日以後、最初に発生した台風を「1号」として、そこから発生順に「2号」「3号」......と名前を付けてきました。一方、アメリカでは人名を台風に付けていますが、あくまでもそれはアメリカでの呼び名でした。

しかし、2000年(平成12年)に、北西太平洋・南シナ海の領域で発生する台風には、その域内で共通の名前を付けようということになったのです。

■台風の名前は持ち回りで付けられる

そこで、領域内の以下の14カ国が10個ずつ名前を出して、140個の名前のリストを作り、それを順番に使うことになりました。

■台風の名前を出した国

・アメリカ
・カンボジア
・タイ
・フィリピン
・ベトナム
・マカオ
・マレーシア
・ミクロネシア
・ラオス
・韓国
・香港
・中国
・日本
・北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)

名前のリストは、1番のカンボジアの「Damrey」(ダムレイ = 象)から始まって、140番のベトナムの「Saola」(サオラー = ベトナムレイヨウ)まで。140番まで使ったら、最初の「Damrey」に戻るというふうに、リストを何周もして名前を使います。

2000年(平成12年)の台風1号に「Damrey」が付いてから、現在はリストの3周目に入っています。ちなみに、最近日本をかすめた「台風14号フンシェン」の「フンシェン」は中国が付けた名前で、リストでは58番目にあります。

では、日本はどんな10個の名前を出したのでしょうか? 日本の出した名前は、下のように全て「星座の名前」で、台風の名前になるときは「座」を外します。

■日本が名付けた台風の名前10個

Tembin(テンビン):てんびん座
Yagi(ヤギ):やぎ座
Usagi(ウサギ):うさぎ座
Kajiki(カジキ):かじき座
Kammuri(カンムリ):かんむり座
Kujira(クジラ):くじら座
Koppu(コップ):コップ座
Kompasu(コンパス):コンパス座
Tokage(トカゲ):とかげ座
Hato(ハト):はと座

■なぜ、これらの星座が選ばれたのか!?

星座の名前はともかく、「オリオン座」「はくちょう座」「さそり座」といったメジャーな星座ではなく、なぜ「コップ座」や「かじき座」のようなマイナーな星座が選ばれたのでしょうか。

その理由を、気象庁 天気相談所に聞いてみました。

すると、まず星座の名前にしたのは、「誰にも利害関係が薄く、しかも一般に広く知られているもの、ということで星座が選ばれた」とのこと。

そして、どの星座を選ぶかについては、以下のような選択基準があったそうです。

1.星座の名前の中でも、その名前が流通する中で利害を与えないもの、気象情報に誤解を与えないもの
2.音節が多くなくて、発音しやすいもの
3.表記したときに、文字数が多くなく、アルファベット9文字以内のもの
4.他国で使われたときに、感情を害するような意味の言葉にならないこと

1から4までの条件を満たすものとなると、確かに星座の中でも限られてきそうです。

■名前にはお国柄が出る!?

日本は全て星座の名前ですが、他の国ではけっこうバラバラな名前を出しています。

アメリカとミクロネシアを見てみましょう。

■アメリカが名付けた台風の名前10個

Maria(マリア) 女性の名前
Utor(ウトア) スコールライン
Francisco(フランシスコ) 男性の名前
Matmo(マットゥモ) 大雨
Higos(ヒーゴス) いちじく
Etau(アータウ) 嵐雲
Omais(オーマイス) 徘徊
Aere(アイレー) 嵐
Roke(ロウキー) 男性の名前
Vicente(ヴェセンティ) 男性の名前

アメリカの慣習からか、人名が4つありますが、「いちじく」がなぜ入っているのかは謎ですね。

■ミクロネシアが名付けた台風の名前

Ewiniar(イーウィニャ) 嵐の神
Soulik(ソーリック) 伝統的な部族長の称号
Fitow(フィートウ) 花の名前
Mitag(ミートク) 女性の名前
Sinlaku(シンラコウ) 伝説上の女神
Soudelor(ソウデロア) 伝説上の首長名
Nepartak(ニパルタック) 有名な戦士の名前
Rai(ライ) ヤップ島の石の貨幣
Nanmadol(ナンマドル) 有名な遺跡の名前
Guchol(グチョル) うこん

嵐の神、女神の名前など、神秘的な名前が選ばれているのかと思いきや、急に「うこん」が入っていて驚きです。

命名には、やはりお国柄が出ていて面白いですね。全ての名前を知りたい人は、以下の気象庁のページを参照してください。

⇒国土交通省 気象庁の「台風の番号と名前」に関するページ
http://www.jma.go.jp/jma/kisho...

いかがでしたでしょうか。台風にこんな名前がついていたなんて、知らなかった人も多いのではないでしょうか。日本では、ずっと番号だけで呼んでいたので、名前が定着するまでにはもう少し時間がかかるかもしれません。

最近では、「地球温暖化の影響で熱帯低気圧が大型化している」といった意見もあります。できれば台風にはあまり上陸しないようにしてほしいものですよね。

(高橋モータース@dcp)

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