昔と比べると日本でも「香水」を使う人が増えましたね。とはいっても、欧米ほど香水というものがオープンになっておらず、まだまだ香水に違和感を持つ日本人も多いようです。現に日独ハーフである筆者は香水を毎朝シュッシュしてから駆け足で駅に行って電車に乗るのですが、筆者が車両に飛び乗った瞬間「ヘックション!」とクシャミをするおじさんがいたりします。「あ、もしかしてワタシの香水のにおいがキツ過ぎてクシャミが出ちゃったのかしら......」と一瞬申し訳ない気持ちになりつつも、香水はやっぱりやめられません。
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欧米人女性にとっての香水は日本人女性にとっての「化粧」のようなものかもしれません。外出時にはみんな香水をつけているし、おしゃれな人だと家にいる時もつけています。用途別に色んな香りを用意している人も多く、「ふだん、特別な用事がない時に使うのはこの香水」、「天気がいい日はこの香水」、「勝負の時はこの香水」など色んな香りを常備しています。寒い冬はバニラ系、春はフローラル系、夏はフルーツ系などと、香りをシーズンごとに使い分けている人も多いですね。
不思議なことに、香水は「買った時にボトルから漂ってくる香り」と「実際に身体につけて、時間が経ってからの香り」が違います。その人にとって相性の良い香り、つまり、その人に合う香りというのがやっぱりあるのです。
このように「香水文化」が発達(?)していることから、ヨーロッパでは子供用の香水もあります。親が「子供用の香水」を子供の誕生日に贈ったりしますね。
日本では様々な「におい」が混ざることを嫌う人も多いようです。たとえば、「お寿司屋さん」で香水をつけるのはマナー違反とされていますよね。やはり味やにおいを味わうのが目的ですから、たとえば香水などのほかのにおいがそこに混ざることに不快感を覚えるのだと思います。
「寿司を楽しむために香水はつけない」という感覚は、日独ハーフである筆者にとって実は新鮮でした。欧米人は食べ物の香りよりも香水の香りを明らかに優先していますから(笑)。そういった価値観の違いが、欧米人にとっては「良いにおい」だと感じられる香りであっても、日本人からしたら「キツイにおい」に感じるというギャップを生むのかもしれません。
ヨーロッパの空港に降り立つと、そこを行き交う人々から色んな香水のにおいが漂ってきます。さらに、空港内の数ある免税店からも香水の甘〜いにおいが漂ってきます。それらの店では香水の「お試し」ができるので、売り場はもちろん、空港全体がそれはそれは甘い香りに包まれています。「ああヨーロッパに来たんだなあ」と思う瞬間です。
ところで、日本人の中には「欧米人は体臭がキツイから、それを隠すために香水をつけている」と言う人がいたりしますが、日独ハーフの筆者からひとこと。それは誤解です。お風呂に頻繁に入ることができなかった「昔」ならまだしも、最近の「香水」は体臭を隠すためではなく、完全に「おしゃれ目的」のためにつけています。
前述のとおり、どちらかというと欧米人の「香水」への感覚は、日本人の「化粧」への感覚と似ているのかもしれません。ヨーロッパは日本と逆で、「化粧品はあまり持っていないけど香水は沢山持っている」女性が多いです。小さなことだけれど、女性のそんな「こだわり」にも文化の違いが出ていますよね。
文●サンドラ・ヘフェリン
サンドラ・ヘフェリン プロフィール/ドイツ・ミュンヘン出身。日本歴16年。 自身が日独ハーフであることから、ハーフとバイリンガル問題、ハーフはナニジン? ハーフといじめ問題などハーフのテーマを中心に執筆活動をしている。著書にベストセラーとなった「浪費が止まるドイツ節約生活の楽しみ」(光文社) のほか、「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ)、「ニッポン在住ハーフな私の切実で笑える100のモンダイ」(メディアファクトリー)など計7冊。
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