「セリエAで10番をつける」。本田圭佑の卒業文集に秘められた目標を達成する「SMARTの法則」とは。

更新:2018/08/06

社会人ライフ

「セリエAで10番をつける」。本田圭佑の卒業文集に秘められた目標を達成する「SMARTの法則」とは。

サッカーの本田圭佑選手が小学校の卒業文集で記した内容が話題になっている。まるで未来を予知したような内容で、今年1月のACミラン入団も「セリエAで10番をつける」と書かれていた。現在は6月にブラジルで行われるワールドカップ優勝を公言する本田選手。目標を設定しそして達成するための力の秘密とは。

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掲げる目標は具体的に。
設定の方法ですべてが決まる。

世の中の会社員のほとんどは、仕事に自分の能力の1割程度しか使っていません。会社から言われたことだけやればいいという姿勢では、自分の才能を引き出すことはできないのです。会社生活を楽しみたいと思ったら、自分がワクワクするようなことを見つけ、道を切り開いていくことが重要。

そのために必要なことは何か? それは、具体的な目標を立て、それを達成するために行動し、努力すること。それを実践しているのがセリエAのACミランで活躍する本田圭佑選手です。

私は、本田選手の小学校の卒業文集に寄せられた「将来の夢」という作文を見て驚きました。それは、目標を設定する際に必要不可欠な「SMARTの法則」をすべて満たしていたからです。いたずらに目標を立てても無意味。これらの要素を満たして、初めて目標は機能するのです。本田選手の作文には、それがすべて書かれていました。そう、大切なのは「設定の方法」なのです。

<本田圭佑が卒業文集で掲げたこと。>

Specific(具体的に)

「ヨーロッパのセリエAに入団します。そしてレギュラーになって10番で活躍します」

Measurable(計測可能である)

「一年間の給料は40億円はほしいです」

Agreed(同意でき、達成可能)

「世界一のサッカー選手になりたいと言うよりなる」

Realistic(現実的で達成可能である)

「世界一になるには世界一練習しないとダメだ。だから今僕はガンバッている。今はヘタだけれどもガンバッて必ず世界一になる」

Time-bound(期日が設定されている)

「世界中のみんなが注目し世界中で一番さわぐ4年に一度のWカップに出場します」

困難を打ち破るに
目標には「理由づけ」が不可欠

目標を設定すればおのずとやるべきことが明確になります。本田選手の卒業文集のように、達成するには何をすべきか、という戦略に落とし込むことができるというわけです。そのために必要なのが現状の見極め。環境分析や自身の強みや弱みは何かを知る必要があります。特に強みを知ることは、独自の武器を手に入れることになるのでとても重要。

20代は弱点を直すよりも、長所を伸ばした方がいい。丸くなるより、自分ブランドを磨いて尖っているくらいがいいのではないでしょうか。

そして戦略はその時々でブラッシュアップする必要があります。目標を達成するまでの過程には、うまくいかないことも当然あります。本田選手の場合も、すべてがうまくいっていたわけではありません。ただそれでも目標がブレることはありませんでした。そこで注目したいのは作文には「理由づけ」も書かれていたこと。「世界一になったら大金持ちになって親孝行する」。彼にとって、親孝行は大きなモチベーションだったのでしょう。たからこそ彼は、何度挫折を味わっても目標に向かって突き進むことができたのではないでしょうか。

これから新入社員や若手ビジネスパーソンが会社員生活を惰性で送らないためには、自分が会社に入って何をしたいか、SMARTを満たした目標をしっかりと考えておくべきです。「社長になりたい」、「海外赴任したい」、「社会貢献したい」、その目標はなんでも構いません。大切なのは、なぜその目標を達成しなければならないのか、理由づけされていることが重要なのです。それがあれば、誰でも困難にあっても心が折れずに前に進むことができるでしょう。それには本田選手のようにその目標を公言してしまってもいいかもしれません。若手社員が大きなことを言うと、「出る杭は打たれる」こともあるかもしれません。決してエリート選手でなかった10年前の本田選手が「セリエAで背番号10」と言ったら、多くの人が無理だと笑ったでしょう。でも彼はそれを公言し、達成した。目標を掲げたことで自らを追い込み、誰よりも努力をし、才能を開花させたわけです。

多くの人にその傾向がありますが、「自分には才能がない」と謙虚になっていたら、自然と言葉通りの人間になってしまう。時には例えビッグマウスと言われても、そのための努力を続けていれば、眠っていた才能が目覚め、周りも認めるようになる。「出すぎた杭」は、誰も叩くことができないのです。

会社生活というのは、いつも楽しいわけではありません。さまざまな困難や挫折があるでしょう。思い通りにならないこともあるはず。それでも目標がはっきりしていれば、困難の中にも楽しさを見つけることができるし、改善点も見えてきます。それは、アスリートでも会社員でも変わらない、真実です。

(川上康介)

安部徹也
1967年、大分県生まれ。九州大学卒業後、大手都銀に入行。退職後に渡米しMBA取得。経営コンサルティングを行うMBA Solution を設立。近著に『超入門 コトラーの「マーケティング・マネジメント」』。

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