災害ボランティアの心得

更新:2019/12/06

対人マナー

災害ボランティアの心得

被災地のために何かできれば、というときに思い浮かぶ「ボランティア」。しかし、浅い考えや軽率な気持でボランティアに行くとかえって迷惑になってしまうこともあるので注意が必要です。



阪神淡路大震災のとき、両親の住む地元の神戸へ東京から向かったMさんは、当時の震災ボランティアの人々を目の当たりにしました。ボランティアの際はどんなことに気を付けたらよいか、被災者側の目で見たMさんの声を伺いました。



【被災者が逆にボランティアを慰める】

震災後すぐに東京から神戸へ向かったところ、ご両親ともに無事で避難所となっている学校で会うことができたMさん。



「避難所には、何名かのボランティアが来てくれていました。避難してきた女性が『子どもと離れてしまった、これから避難所を回ってみる』と近所の方と話していたとき、それを聞いたボランティアの大学生くらいの女の子が『かわいそう』といきなり泣き出してしまいました。一番辛いのは女性本人であるはずなのに、女性が逆にその女の子を慰めている始末。私は何も言えませんでしたが、ほかにも被災者がボランティアに気を遣っている場面を何度か見かけました」



被災地の皆さんを助けに行くのですから、ボランティアの方は逆に迷惑をかけないようにしてほしい、とのこと。もちろん役に立とうと頑張ってくれていた人には感謝しているそうです。



「私の体験では、母のトイレにいつも付き添ってくれたボランティアの女子学生に大変お世話になりました。息子といえども、男性の私にはやりにくいことだったので助かりました。」



【興味本位や自己中心的な理由で行かない】

「あのとき、どのようにボランティアが避難所に配置されていたのかは分かりませんが、明らかに自分の感情だけで、被災地に来てしまったと思われる人もいたようです。『何か私たちができることはありませんか』と声をかけてくれたボランティアに、どうしてここにきたのかと訪ねると、『卒業論文にしたい』、『自分ができることを試してみたい』という返事が戻ってきました。被災者の立場でいうと、当時の自分は素直に受け入れることはできませんでした」



他に、倒壊した家屋を前に記念撮影をしているボランティアも見かけ、一体何をしに来ているのだろう……と疑問を感じてしまったというMさん。ボランティアの不用意な発言や振る舞いで被災者を傷付けることのないよう、十分な配慮が必要です。





【専門家の指示を受けて行動を】

「私が実際に被災地に入り、避難所で過ごして感じたことは、現場はテレビで報道されている以上に状況は深刻だということ。報道では伝わらない臭いはもちろん、映像として見せられない部分もたくさんあるのです。思い立って来たボランティアは、その意思が崇高なものであっても、訓練を受けた自衛隊や地元消防団とは違います。ただし、その善意が全く被災者に届かなかったわけではありません。今後、ボランティアを志す方は、ぜひ専門家や自治体、ボランティア団体などの指示に従って行動して欲しいと思います」



難しい部分もあるけれど、ボランティア初心者が被災地に入っても、全く役に立たないわけではないと、Mさんは話します。現場の役に立つためには、リーダーとなる自治体やボランティア団体の指導に従い、献身的に行動することが重要。心構えとして、被災地ではお風呂や、食事、寝る場所についても不自由な状態であることを覚悟しなければいけません。被災地への協力を考えている方は自分の気持ちと向き合い、無理をせずに今の自分にできることをじっくり考えた上で行動を起こしましょう。



文●坂本拓也

関連キーワード:

関連記事

新着記事

もっと見る

HOT TOPIC話題のコンテンツ

注目キーワード

 ビジネス用語・カタカナ語80選

 キャリアロードマップの一歩目

  • ピックアップ