【社会人になる前に知っておきたいお金の話】第10回:「資産運用」を始めるのは早ければ早いほど有利!

更新:2016/01/28

投資・ローン

第10回:「資産運用」を始めるのは早ければ早いほど有利!

■なぜ資産運用が必要なの?

今だけではなく、将来も安心して生活していくためには 貯金の習慣付けが大切です。前回は、手取り給与の1/4(20万円の場合5万円)貯金をお勧めしました。

22歳から60歳までの 38年間、毎年60万円の積み立てをすると2280万円を貯めることができます。これは運用利率ゼロで試算した結果です。そこで、もう少し高い利回りで複利運用(*1)した場合に、資産がどれくらい増えるのかを考えてみましょう。(*1 複利とは、元金によって生じた利子を次期の元金に組み入れて計算する利子法。元金だけでなく利子にも、次期の利子が発生する。)

【38年間毎年60万円を積み立てた場合】
0.5%複利 2517万円
3%複利 4274万円
5%複利 6786万円

同じ金額を貯めていく場合、運用利率が高いほど資産の伸びは大きくなります。さらに、運用する期間が長いほど資産の伸びは大きくなります。

【20年間毎年60万円を積み立てた場合】
3%複利 1661万円
5%複利 2083万円

つまり、40歳になってから運用を始める場合より、22歳から始めたほうが断然有利ということです。

■複利で長期運用すると、資産が成長する!

会計の世界で 「72の法則」というものがあります。預けた元本(元手)を金利によって2倍にするには、どれだけの年数がかかるのかを知ることができる計算式です。

計算方法は簡単で、72を金利(複利)で割れば2倍になるまでのおよその年数が分かります。

(例)年利(複利)3%の場合
72÷3=24

つまり、3%複利で運用すれば、24年で元金と利息の合計が元金の2倍になることが分かります。

■高い利回りで資産運用するには

現在、銀行の普通預金の利息は0.02%程度です。定期預金で0.03%程度。ネット専業銀行の一年定期の利息は0.35%程度(2012年2月10日現在)です。個人向け国債の場合は0.72%(第37回 変動10年 利子計算期間 2012年1月16日~2012年7月15日)です。

つまり、 預金や国債などの「安全資産」だけでは3%の利回りを目指すことが難しいと言えます。

そこで、運用利率を上げるには、 運用資産に「株式」を加えていくことが考えられます。株式のリターンは5%程度と言われています。

「株」と聞くと、「損しそう」、「こわい」というイメージをお持ちかもしれませんね。たしかに「A企業」の株式を持つことには、その企業が突然経営破綻する危険もつきまといます。

そのため初心者におすすめするのが、十分に分散された 「投資信託」です。投資信託は、複数の企業の銘柄が組み入れられたパッケージ商品です。つまり、個別企業のニュースを日々追い続ける必要がありません。日経225(*2)TOPIX(東証株価指数 *3)に連動するような投資信託もあります。

( *2 東証一部上場の225銘柄を対象に算出した「日経平均株価」。TOPIXとともに、日本の株式市場の代表的な株価指標。 *3 東証一部上場株式銘柄を対象に算出した株価指数。)

■利回りが高い投資商品の注意点

なぜ株式に投資をすると5%などの高いリターンが得られるかというと、 高いリターンは元本の変動との引換に得られるものだからです。

株式に投資をすると、元本を1000円とすれば650円~1450円くらいの幅で動きます。つまり投資をすれば、資産が増えるかもしれないけど減るかもしれないのです。あまりリターンは増えないけれど、減らない「安全資産」とは性質が異なるために注意が必要です。 世の中にある高いリターンの投資商品は、その見返りとして必ずリスクを引き受けなければならないことを覚えておきましょう。

■できるだけ安全に運用する

できる限り安全に運用するには、 リスクのある商品は小額で始めること、分散をすることが大切になります。現在では、投資信託も月1000円から積み立てられる商品も増えてきました。

また、株式だけではなく債券(預金、国債なども債券の一種)も組み合わせることが大切です。

次回は、具体的な 資産運用の手順について解説していきます。

(2012.02.24)

■ ファイナンシャル・プランナー 花輪陽子(はなわ ようこ)
CFP認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士。日本FP協会「くらしとお金のFP相談室」2011年度相談員。元外資系の投資銀行勤務。現在は雑誌・新聞・テレビ・ラジオ出演や全国講演などを精力的に行っている。『貯金ゼロ 借金200万円!ダメダメOLが資産1500万円を作るまで』(小学館)、『夫婦で年収600万円をめざす!二人で時代を生き抜くお金管理術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など著書多数。日経マネー、日経ウーマンオンライン、CREA webなどで連載。
■Twitter:@yokohanawa ■公式サイト:http://yokohanawa.com/


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