情報が多すぎて迷った就活。キャリアアドバイザーとの対話で見つけた「自分に合う会社選びの軸」——エージェント活用のリアル

西谷忠和

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就職活動では、さまざまな企業や仕事の情報に触れるほど、「自分は何がしたいのだろう」と迷ってしまうことがあります。そんなとき、自分の価値観を整理し、新たな選択肢と出会うきっかけになるのが、新卒向けの就職エージェント(以下、就職エージェント)です。

今回は、鉄道会社などのインフラ産業や半導体業界に、工業製品やソフトウェアを提案する技術商社・株式会社ニシヤマで、営業として働く菊地 宙(きくち・そら)さんにお話を伺いました。就職活動を始めた当初は、情報の多さに迷うこともあったという菊地さん。就職エージェントをどのように活用し、現在の会社と出会ったのでしょうか。

決まった商材に縛られない。自由度の高い営業の面白さ

——現在のお仕事を教えてください。

2023年4月に入社し、現在4年目です。鉄道システム事業部の名古屋支店に所属し、主に東海地区の鉄道会社に向けた営業を担当しています。

当社は、鉄道会社などのインフラ産業や半導体業界に、工業製品やソフトウェアを提案する技術商社です。メーカーの商品をそのまま販売するだけでなく、社内の技術部門と連携し、お客様の要望に合わせて製品をカスタマイズできる点が特徴です。

もともと当社はゴム製品の卸売から始まった会社で、国鉄時代から鉄道車両に使われる部品を扱ってきました。私が現在、主に提案しているのも、そうした鉄道車両向けのゴム製品です。

代表的なものに、車体の下に取り付けられる「空気ばね」があります。サスペンションの役割を果たし、走行時の振動を抑えることで、安全性の向上や乗り心地の改善につながる部品です。

一方で、IT関連の商材や、お客様のDXを支援するシステムなども幅広く提案しています。お客様から「こんなことはできないか」と相談を受け、ニーズに合う商材や仕組みを探して提案することも、私たちの仕事の一つです。

——印象に残っている仕事はありますか?

お客様に、書類やファイルを検索できるシステムを導入していただいたことです。前任者から引き継いだ案件で、私が担当していた2024年に本採用となりました。

画像やPDF内の文字を読み取ってテキスト化する「OCR(光学文字認識)」機能があり、キーワードを入力すると、ファイル名だけでなく、文書の中身まで検索できるシステムです。

提案する中では、お客様から新たな要望をいただいたり、修正が必要になったりすることもありました。それらに一つひとつ対応しながら、最終的に採用していただけたことは印象に残っています。

——仕事の面白さは、どんなところに感じていますか?

営業として扱える商材の自由度が高いところですね。当社は「このメーカーの商品だけを売る」というスタイルではありません。お客様の要望に応えられるものであれば、さまざまな商品を提案できます。

たとえば、お客様からご相談を受け、現場で使うスポットクーラーや、熱中症対策として飲み物をシャーベット状にできる機器を探して提案したこともあります。

社内に実績がなければ、自分で調べたり、展示会へ足を運んだりして商品を探します。「どこに相談すればいいかわからないけれど、ニシヤマに聞けば何か返ってくる」とお客様に思っていただけるような関係をつくることが目標です。いろいろな製品や技術に触れられるので、好奇心の強い自分には合っている仕事だと感じています。

「専門知識」と「裁量」。対話を重ねて見えてきた希望

——入社する前は、どのような就職活動を行っていたのでしょうか?

工学部で機械工学を学んでいたこともあり、当初は周囲の学生と同じようにメーカーを中心に見ていました。一方で、大学院への進学も考えていたため、本格的に就職活動を始めたのは大学3年生の2〜3月頃でした。

ちょうどその頃、研究室への仮配属があり、実際に研究に取り組むための準備を始めました。そのなかで、一人で分析や解析に向き合う研究職よりも、人と接する仕事のほうが自分には合っているのではないかと感じるようになったんです。

もともと人と話したり、周囲と一緒に何かに取り組んだりすることが好きでした。そこで目指したのが、大学で学んだ工学の知識を生かしながら、お客様と直接関われる仕事。デスクワーク中心の働き方よりも自分に合っていると考え、メーカーに限らず、技術的な知識を生かせる営業職を中心に企業を探しました。

——就職エージェントを利用したのはいつ頃ですか?

就職活動を始めた頃から利用していました。周囲に就職エージェントを使っている友人が多く、情報交換をするなかで、自分では見つけにくい企業や、知らなかった情報に出会えると聞いていたんです。

最初は、企業選びの幅を広げるための情報収集の手段として、「まずは登録してみよう」という感覚で利用を始めました。

——就職エージェントを使ってみて、いかがでしたか?

よかったですね。一番助かったのは、自分の就職活動の軸を整理できたことです。
就職活動をしていると、企業や仕事に関する情報が次々と入ってきます。私自身、「自分は何がしたくて、どんな仕事に就きたいのか」がわからなくなってしまった時期がありました。

そこで、キャリアアドバイザー(以下、CA)との面談を通じて、自分の特性や価値観を振り返りました。
そのなかで見えてきたのが、「大学で学んだ工学の知識を生かせること」と、「裁量を持って仕事ができること」の2つです。

裁量を大切にしたいと思った背景には、大学時代の体育会ラクロス部での経験があります。学生主体で練習メニューを考え、実践するなかで、自ら判断して行動する力が身につきました。その経験から、仕事でも自分で考え、工夫できる環境を求めていたのだと思います。

CAとの対話を重ねる中で、その軸が少しずつ明確になり、会社選びも進めやすくなりました。

「まずは動いてみましょう」から始まった、自分に合う会社選び

——CAとのやりとりで、印象に残っているエピソードを教えてください。

情報が多すぎて、何を基準に企業を選べばよいのかわからなくなっていたときのことです。CAから「最初から軸が固まっていなくても大丈夫。選考を受ける中で見えてくることもあるので、まずは動いてみましょう」と背中を押してもらいました。

その後も、紹介された求人や選考について、「どこが気になりましたか?」「この求人はどう感じましたか?」と、定期的に聞いてくださったのです。そうしたやりとりを重ねるうちに、自分が仕事や会社に求めるものが少しずつ整理されていったんです。

最初から「あなたにはこの企業が合っています」と決めるのではなく、私自身が考え、納得して選べるように支えてもらったことが、ありがたかったですね。

——御社に入社したのも、就職エージェントの紹介ですか?

CAから紹介していただいた企業の一つがニシヤマでした。ほかにも、産業機器やインフラ関連の部品を扱う企業、メーカーなど、いくつかの会社を紹介していただき、並行して選考を受けていました。

そのなかでニシヤマに惹かれたのは、扱っている商材の幅広さです。私は、一つの分野を深く追究するよりも、さまざまな製品や技術に触れながら、お客様の要望に合わせて提案できる仕事に魅力を感じていました。工学の基礎知識を活かしつつ、幅広い商材を扱える点は、自分の興味や就職活動の軸にも合っていると思ったんです。

もう一つ大きかったのが、会社の雰囲気です。最終面接では会長や常務とお話ししましたが、肩肘を張るような堅苦しさがなく、リラックスして話せました。雑談も交えながら、自分の人柄を見ていただいているように感じ、「ここなら気持ちよく働けそうだ」と思えたことも、入社の決め手になりました。

その印象は、入社後も変わっていません。役職のある方とも、機会があれば気軽に話ができる雰囲気があります。

大切にしたい軸がわかり、知らなかった企業にも出会える

——就職エージェントの魅力は、どこだと思いますか?

魅力は大きく2つあると思います。1つは、自分の価値観や企業選びの軸を、一緒に整理してもらえることです。私の場合、人と話すことよりも、考えすぎてしまうことが課題でした。そのため、面接対策よりも「どんな軸で企業を探せばいいのか」という段階で、経験や考えを聞いていただけたことが助かりました。

もう1つは、自分に必要な企業情報を得られることです。ニシヤマのように、専門的な分野で事業を展開する、就活生にはあまり知られていない企業にも出会えます。一方、情報が多い大手企業については、ポイントを絞って伝えていただけることもありがたかったですね。

一人で就活をしていたら、内定後も「本当にこの会社でいいのだろうか」と迷っていたかもしれません。私の場合は、選考を通じてニシヤマが自分の軸に合っていると確かめられたので、最後は納得して入社を決められました。

どんな業界に興味があるのか決まっていなくても、相談から始めていい

——就職エージェントサービスに関心のある学生にアドバイスはありますか?

情報を集めるだけでなく、自分に必要なものを整理することを大切にしてほしいですね。私の場合、選択肢が多すぎるとかえって迷ってしまい、なかなか動き出せないところがありました。就活ではさまざまな情報に触れますが、すべてを取り入れようとせず、自分が企業を選ぶうえで何を知る必要があるのかを考えることが大事だと思います。

その整理を一緒にしてくれるのが、就職エージェントのCAです。私も、自分の経験や考えを話しながら企業選びの軸を整理し、それに合った企業を紹介していただくことで、就活を進めやすくなりました。

まだ方向性が決まっていなくても、まずは今の迷いや考えを相談してみるといいと思います。CAの力も借りながら、自分に必要な情報を見極め、納得できる就職先を選んでほしいですね。

取材協力:菊地 宙(きくち・そら)
工学部で機械工学を専攻。2023年に株式会社ニシヤマへ新卒入社。入社以来、鉄道システム事業部の名古屋支店に所属し、主に東海地区の鉄道会社向けの営業を担当。鉄道車両に使われるゴム製品を中心に、IT関連の商材やDXを支援するシステムなど、お客様の課題や要望に合わせた幅広い提案を行っている。

西谷忠和

西谷忠和

ライター兼キャリアコンサルタント。奈良県橿原市出身、東京都在住。リクルートメディアコミュニケーションズにて制作ディレクターを経験後、2006年にフリーとして活動。おもに人材採用・育成、キャリア教育などのHR領域の記事を得意としている。書籍の編集協力も手がけている。

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