全員面談×外部連携で広がる支援 - 城西大学キャリアサポートセンターの挑戦

西谷忠和

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就職活動を取り巻く環境が変化するなか、大学のキャリアサポートセンターに求められる役割も多様化しています。

城西大学は2023年に「キャリアデザインポリシー」を制定し、学生が主体的に進路を選び、納得して歩み出せる支援を推進しています。同大学キャリアサポートセンター事務長の工喜康弘さんに、支援現場の状況や課題、そして外部機関との連携について伺いました。

城西大学 キャリアサポートセンター 事務長 工喜康弘さん

学生が「主体的に選び、納得して進む」ためのキャリア支援を推進

──キャリアサポートセンターでは、どのような方針で学生支援に取り組まれているでしょうか?

本学では、2023年に「キャリアデザインポリシー」を制定しました。「学生が主体的に進路を選ぶこと」「納得した進路選びをすること」を核に、キャリア教育とキャリア支援の両面で取り組んでいます。

立ち上げで間もないこともあり、両者の連携は、今過渡期にあります。それでも、この理念を軸に、現場から着実に支援を進めています。

支援の構造としては、大きく3つの柱を設けています。1つは全学年への支援、2つ目は学部学科別の支援、そして3つ目が学生の個別相談です。本学は文系3学部(経済学部、総合政策学部、経営学部)、理学部3学科(情報数理学科、数学科、化学・生命科学科)、薬学3学科(薬学科、薬科学科、医療栄養学科)という構成で、それぞれに特性があります。

城西大学「GUIDE BOOK 2026」より

文系は業種・職種の幅が広く自分で探す力が問われる一方、薬学は薬剤師や管理栄養士といった資格取得を前提とした就職が中心で、業界・職種が絞られます。

理学部の数学科は教員志望者が多く、化学・生命科学科はBtoB企業への就職が多い傾向にあります。そうした違いに応じた専任担当者を設け、学生が自分の学科担当者を明確に把握できるようにしています。

──昨今の学生の就職活動の傾向をどのように捉え、どのような支援に取り組んでいますか?

近年、企業が学生をスカウトする「オファー型サービス」や、専任の担当者が学生を支援する「就活エージェント」の普及により、自分から積極的に動かなくても就活が進む環境が整ってきています。便利な反面、主体性が育まれないまま内定を得てしまうことで、入社後に「思っていた仕事と違う」と感じて早期に離職してしまう学生が見え隠れしているのが、心配なところです。

就職先が第一志望でなかった場合でも、「ここで頑張ってみよう」と自分の中で前向きに受け止められるかどうかは、実はとても重要です。そこが不十分だと、入社後すぐに「ちょっと違う」という気持ちが生まれやすく、ライフステージの変化に直面したときにも、自分の軸を持ちにくくなります。だからこそ、就職活動の段階で真剣に向き合ってほしいというのが、大学としての願いです。

そのために、3年生になってから急に意識を切り替えるのは難しく、1年生からキャリア意識を育む必要があります。現在は教務部が主導して全学横断の「協創力体験演習」で問題解決型のアクティブラーニングを実施し、社会人基礎力の育成に取り組んでいます。

また、企業へのアンケートをもとに教学マネジメント委員会と連携し、カリキュラムへ反映していく仕組みも整備中です。

支援が必要な学生にアプローチするために「全員面談」を実施

──学生との接点はどのように設けられていますか?また、現場での課題も聞かせてください。

学生との接点として、近年力を入れているのが「全員面談」です。自らセンターを訪れる学生は自身のキャリアへの意識が高い傾向がありますが、本当に支援が必要な学生ほど足が遠のきがちです。学科単位で全員と話す機会を設けることで、一人ひとりの状況をより丁寧に把握できるようになりました。

面談を通じて、集団対応では見えにくい個々の事情が明らかになります。「障がい者手帳を持っているのですが、就活はどう進めればよいですか」といった相談もそのひとつです。さまざまな背景を持つ学生に寄り添った支援の充実が、引き続きの課題です。

部署間の連携も課題の一つ。キャリアサポートセンターと学生サービス課がそれぞれ把握している情報をスムーズに共有できない場面があります。

「学生サービス課で話したから伝わっているはず」と思う学生がいる一方、「個人情報は共有しないでほしい」という学生もおり、対応が難しいところです。学生の意向に配慮しながら、部署を横断した連携の仕組みを整えていくことが今後の課題です。

地域・企業・エージェントをつなぎ、最後まで伴走する就職支援

──外部の就職支援サービスとの連携はどのように行われていますか?

外部機関との連携として、まずハローワークとの協力体制があります。月2回来学いただき、大学とは異なる立場からの相談窓口として機能しています。大手採用メディアには掲載されていない地域求人も多く、学生にとって特に有用な情報源となっています。

また、毎年2月と8月に独自の「企業研究会」を開催しています。2月は就職活動が本格化する前のタイミング、8月は1Day仕事体験や職場見学会を実施している企業と向き合える時期として、設けているのです。OB在籍企業や埼玉県内の地場企業など、普段はなかなか接点のない業界や会社と出会う場として活用しています。

学生は身近なBtoC企業(個人消費者向けのブランド)に目が向きがちです。一方、企業間取引を主体とするBtoB企業は接点が少なく学生にはなじみが薄い存在ですが、実はプライベートのライフスタイルに合った環境が整っているケースが少なくありません。そういった企業に就職活動の早い段階で触れてほしいという狙いがあります。

新卒向け就職エージェントなどは、基本的には大学4年生の8月・9月以降に活用させていただくことが多いです。まだ進路が決まっていない学生を把握した上で、人材紹介サービスや専門エージェントと連携しながら、個別に支援を進めています。

自宅へのはがき送付などでアプローチし、行き詰まりを感じている学生が一人でも多く次の一歩を踏み出せるよう、最後まで寄り添う体制を整えています。

業務委託を含めて約16名体制で運営されるキャリアサポートセンター 

まず踏み出すことが、納得の選択につながる

──最後に、今の学生たちへ伝えたいことはありますか?

「まず、就職活動に飛び込んでみてほしい」というのが一番の願いです。やりたいことと仕事は必ずしも一致させなくてもよい。仕事と好きなことを両立する生き方もあります。踏み出してみることで、自分でも気づかなかった気持ちや向き不向きが見えてくるものです。

実際にそれを体現した学生がいます。漫画家を目指すか就職するかで迷っていた学生が、出版社に自ら問い合わせ、単行本を1冊発行するところまでやり切りました。その経験を経て、IT企業に就職しながら、趣味として創作活動を続ける道を自分で選んだのです。

やってみたからこそ、納得のいく選択ができた。踏み出さなければ、後悔だけが残ったかもしれません。一つひとつの経験を前向きに捉えて、自分の人生を自分で選んでいってほしい。それがキャリアサポートセンターの、変わらぬ思いです。

西谷忠和

西谷忠和

ライター兼キャリアコンサルタント。奈良県橿原市出身、東京都在住。リクルートメディアコミュニケーションズにて制作ディレクターを経験後、2006年にフリーとして活動。おもに人材採用・育成、キャリア教育などのHR領域の記事を得意としている。書籍の編集協力も手がけている。

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