ガンダムファン大興奮! 世界にほこれる「ガンプラの技術進化」 と36年の歴史 2ページ目

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●スナップフィット
接着剤不要で、各パーツをはめ込むことで組み立てられる技術

従来のプラモデル作りには接着剤が必須でした。しかし、接着剤はシンナー系の溶剤ですから、家庭で子どもたちが使用するのには向かない、と指摘されることが多くありましたが、この「スナップフィット」によって、従来のプラモデル作りに必要だった接着剤を不要とすることができました。言うまでもありませんが、接着剤を使わずきちんと組み上がるためには各パーツを高い精度で設計・製造できなければなりません。バンダイの技術陣はこの要求に見事に応えたのです。

スップフィットが最初に投入されたキットは1987年12月に発売された『1/144 RX-93 νガンダム』でした。


●素材の進化
従来のポリスチレンだけではなく、適材適所な素材を使用

アニメに登場するシーンをプラモデルで再現することを考えた場合、ひじやひざなどの可動範囲はできるだけ広くなければなりません。しかし、プラモデルに使われているプラスチック(正確にはポリスチレン/説明書では「スチロール樹脂:PS」と記載されています)は、何度も曲げていると摩耗してしまい、モビルスーツの姿勢を固定できなくなります。
そこで可動部分には「ポリキャップ」(ポリエチレン)がパーツとして投入されました。さらに関節可動部分などには耐摩耗性の高い「ABS樹脂」のパーツが使われるようになり、さらに現在では「KPS」と呼ばれる素材も使われています。
KPSはバンダイホビーセンターが開発した新素材で、塗料や接着剤に対応しているプラスチックと高い強度と耐久性を持つABS樹脂を両立しています。実はABS樹脂には塗装が付着しづらいという課題があって、ユーザーが作り込むタイプのキットにはABS樹脂は向いていません。しかし、このKPSなら塗装もOK、また他のPS素材と一緒にリサイクルにも対応しています。バンダイでは素材を開発もしています。

ポリキャップが初めて使われたのは1980年12月発売の『1/60 RX-78 ガンダム』『1/60 MS-06S シャアザク』でした。


ABS樹脂が初めて使われたのは1991年8月発売の『1/60 F91 ガンダムF91』でした。



KPSが初めて使われたのは2013年9月発売の『HGAC 1/144 ウイングガンダム』でした。


●デカールの進化
水転写デカールだけでなく、用途によって種類を変える

プラモデルを美しく仕上げるためには「デカール」が欠かせません。デカールとはマークやエンブレムなどをシール化したもので、普通水に浸けて台紙からはがし、プラモデルに転写して使います。これをきれいに貼るのは慣れないとなかなか難しいものです。
ガンプラには各種デカールが封入されてきましたが、ここにも新技術が投入されて進化しているのです。現在では「水転写デカール」だけでなく、「ホイルシール」「テトロンシール」も使われています。他にも、金の箔押し加工を施ししたもの、表面を磨いたように加工にしたものなどがあります。
熟練のモデラーからは水転写デカールが一番きれいに貼れるといわれるそうですが、貼る場所や意味によって種類の違うデカールが使われています。

●ユニバーサルデザインへの対応
海外へ輸出されているので、説明書もユニバーサルデザインを意識

現在のガンプラのキットに入っている組み立て図を見ると、昔発売されていたキットと比べて説明文が非常に少ないことが分かります。ガンプラは海外にも輸出されていますので、説明文を読ませるのではなく図を見るだけで組むことができるように、という意図からきています。つまり「ユニバーサルデザイン」を意識して作られました。
輸出先用にローカライズせずに出荷でき、「Made in Japan」という大きなブランドを持つのは、このような説明書の進化によるところも大いにあります。ガンプラのキットがどれだけ細かな配慮の下に作られているかが分かるでしょう。


●細かな進化は他にも!

上記以外にも細かな改良ポイントは数多くあります。例えば、ランナーに振られるパーツ番号。昔のキットではパーツ番号が視認しにくかったりするケースがありましたが、現在では番号をヌイて見やすくなっています。また、ランナーからパーツを切り離すときに、昔はきれいに切るためにニッパーを用いたりしたものですが、現在ではその必要がないほどランナーとパーツをつないでいる「ゲート」部分が細く薄くなっているキットもあります。

他にも、可動域を広げることへの挑戦は常に続けられています。アニメに登場する動きをプラモデルで再現できるように設計されているのです。パーツを増やせば可動域を広げることはできますが、それで価格がアップするとユーザーに負担を掛けてしまいます。
ですから、パーツが増えずに可動域を広げる努力も行われているのです。昔からのガンプラモデラーは「これだけ可動域が広がっているのにパーツ点数はむしろ減ってないか?」などと感じることがあるかもしれません。実はそれこそがガンプラの進化のなせるワザだったりします。


■ユーザーの利便性を第一に! ガンプラの進化は続く

これからのガンプラの進化について、設計・製造を担当しているバンダイホビーセンター担当者にお話を伺ったところ、「『イロプラ』『スナップフィット』『デカールの進化』等のこれまでの技術進化と同様に、ユーザーにとってストレスとなっている要因を低減し、より組み立てやすく、手に取りやすく、楽しみやすく、驚きを感じることのできるプラモデル製品を創り出すための設計技術を構築していきたいと考えております」とのことでした。

すでにガンプラは海外にも輸出される人気コンテンツの一つになっています。グローバルに人気を集めるガンプラですが、そこに投入されているのは、ユーザーの利便性を第一に考えて開発されてきた最先端の技術なのです。ガンプラの進化はこれからも続いていくことでしょう。バンダイの技術力恐るべし! です。

写真提供:株式会社バンダイ
(C)創通・サンライズ
(C)創通・サンライズ・MBS

(高橋モータース@dcp)

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