仕事と家庭の両立、理解の得られない職場への考え方 #モヤモヤバスターズ

2020/09/28

社会人ライフ

社会人のみなさんの、なかなか言えないモヤモヤを解決していく連載 #モヤモヤバスターズ。朝夕と涼しくなり過ごしやすい季節になりましたね。この秋は、“女性のキャリアモヤモヤ”について解決していきます。

今回の相談者のエナさんは、結婚したばかりのキャリアウーマン。家庭との両立を目指していた彼女がぶつかった問題とは……。上司に勇敢に立ち向かった彼女へ、瀧波ユカリ先生からのアドバイスをみていきましょう!これから長くキャリアを築きたい女性の参考になるはずです。

★今回のモヤモヤ(お相手:職場の上司)
こんにちは。私は結婚したばかりの26歳です。私の上司は未婚女性で私が結婚すると知ってからというものなぜか風当りが強くなり、働きにくい環境になってしまいました。

私としては結婚したからといって、業務をおろそかにするつもりもありませんでしたし、結婚したことを上司に自慢げに話したこともありません。(別に結婚が特別めずらしいことだとも思わないので) ただ、私は家庭との両立ができるような働き方、例えば、なるべく残業はしないぐらいの業務量へ調整していただく等をお願いしたぐらいです。部下の状況や環境にあわせて業務量を調整していくのも上司の役割だとも思いますし、今まで人一倍業務量をこなしてきたので、当然の権利だとも思いました。

結局、何度お願いしても業務負担は改善されず、完璧主義なところがある私は家庭との両立をおろそかにしたくないという思いから、自分に負担をかけすぎてしまい、身体を壊し、部署異動することになりました。本当は慣れ親しんだ部署で昇格や昇給をがんばりたいと思っていたので残念でなりませんし、その女性上司に対してキャリアをつぶされた、身体を壊した原因になったと怒りが湧いてきます。

女性のキャリアは、結婚出産育児等によって少なからず途絶えてしまうのは仕方ないとは思いつつも、上司の理解が得られないことは非常につらいことでした。この令和の時代でも結婚したら辞めていく人が多いのが現状だと思いますし、結婚すると急に周りからの目が変わる日本が嫌いです。
(エナ・26歳/女性/人事)

自分の権利を主張することは大事なこと


エナさんこんにちは!モヤモヤバスターズ隊長の瀧波です。まずはご結婚おめでとうございます!そしてナイスファイトです!エナさんが上司に自分の権利をしっかりと主張したこと、とても立派だと思いました。結果がエナさんにとって不本意なものであったとしても、私はエナさんの行動力と勇気を讃えたいです。

しかし……上司の対応に関してはエナさん同様私も怒りを覚えます。疲弊していく部下を見てどう思っていたのか、責任は感じないのか、問い詰めたいような気持ちです。

……と言いつつ、「上司が悪い」という結論にするのも、ちょっと違うような気がしているのです。エナさんの上司のさらに上の立場にあたる人たちは、今回の一連の経緯についてだれも疑問を呈したり異を唱えたりしていないのでしょうか。だとしたら、「結婚をした社員から業務量の調整を頼まれても応じる必要はない」「家庭を大事にしたいという社員の願いに会社が応える必要はない」というのが会社としての方針であり、決定であるのかもしれません。

「女の敵は女」に見せかける手口も存在する


これは人づてに聞いた話で、そしてとってもいやな話なのですが、女性社員が家庭と両立しながら働くことを許したくない会社の中には、あえて女性に「汚れ役」をやらせるところもあるそうです。
例えば産休や育休や時短を希望する女性社員が多い部署には、あえて「家庭のことで会社に迷惑をかけるべきではないし、私は迷惑をかけずにやってきた」というスタンスの女性上司をあてる。それは例えば残業をいとわない独身女性だったり、子育て中も業務量を減らさずバリバリ働く既婚女性だったり。そして「会社に迷惑をかけないで」「私は子育てしてる時も残業して働いてきた」「家庭をいいわけにしないで」と言わせ、部下たちの要望や不満を封じる。そうすれば「ライフスタイルに合った働き方をしたい社員の権利をないがしろにする会社の体質」という問題を、「家庭と仕事を両立できる女性とできない女性の問題」にすり替えることができますよね。

「家庭と仕事を両立する能力のある女性が、能力のない女性の要望を聞き入れない」。あるいは「家庭を持った女性に、独身女性が理解を示さない」。こうして女性同士の問題に見せかけて問題を矮小化し、「女同士の足の引っ張り合い」だとか「女の敵は女」のような話に落とし込んで、会社としての責任を逃れる……
私はエナさんの会社の体質についてはわからないのであくまで仮定の話ですが、そういったやり方が会社の中で常態化していて、女性上司が部下の要望にひどく厳しく対応することが職務のひとつであり評価対象となっているのであれば、彼女も被害者のひとりと言えるかもしれない。そんなふうに思います。

この「現実」を作っているのは誰なのか考えよう


それならば、私たちを働きにくくさせている本当の加害者は一体だれなのか?それは「男は仕事、女は家庭」という意識を持ち続けている人々であるとも言えるし、「妻に家庭の一切を任せて働くことのできる男性」の働き方を基準として多様性を無視する企業の責任者たちであるとも言えるし、「女性活躍」などと言いながら制度改革をなかなか進めることのできない国であるとも言える、と私は思います。

さて、モヤモヤバスターズ隊長として、これまでに何度も私が伝えてきたことがあります。それは「モヤモヤの矛先を間違ってはいけない」ということです。
今回のナイスファイトによって、きっとエナさんは社内や社会全体に潜むもうひとつの現実を見たはずです。だれがどう動いたことで、もしくは動かなかったことで、今回の結果へとつながったのか。それを今一度、分析して考えてみてください。
そうすることで今は上司だけに向けられているモヤモヤの矛先が変わってくるかもしれませんし、やっぱりこの問題の根源は上司にあるという確信を得るかもしれません。

いずれにせよ、どこにどのような問題があるのかがよりリアルに見えてくれば、この先また家庭と仕事の両立に悩んだ時に対処しやすくなるでしょう。

今回のことはとても理不尽で不本意な経験ではあったと思いますが、なんとかそこから学びを得て、次のステップアップにつなげていくことができますように。
私も、働く女性が不利益を被ることの多い社会構造を少しでも変えていくための発信を続けたいと思います。

文・瀧波ユカリ
漫画家、エッセイスト。北海道生まれ、日本大学芸術学部写真学科卒業。主な著書に『臨死!! 江古田ちゃん』『ありがとうって言えたなら』等。雑誌Kissにて『モトカレマニア』連載中。

Twitter:@ takinamiyukari
公式サイト:Takinami Yukari Official Site


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