【まとめ記事】販売管理費とは? 基本事項を理解しよう

2021/08/10

お金の知識

ある企業の経営成績や財政状態を表す書類として、決算書(財務諸表)というものがあります。このうち、一定期間に企業がどれだけ儲けたのかを記したある企業の経営成績や財務状態を表す書類として、決算書(財務諸表)というものがあります。このうち、一定期間に企業がどれだけ儲けたのかを記した「損益計算書」の中に出てくる項目の一つが「販売管理費」です。

【監修協力:資格の大原(社会人講座)

販売管理費について

販売管理費は、正式には「販売費及び一般管理費」と呼ばれます。販売活動に必要な費用や、企業全体の管理活動にかかる費用のことで、製品を作るために直接かかった費用ではないものの、製品を売るためにかかった費用をまとめて計上します。

例えば、ある製品を作って売りたいと思っても、誰もその製品のことを知らなければ、買ってもらうことができません。そこで、「こんな製品を販売します」と世間に知らせるためのポスターやWeb広告などを設置するための「広告宣伝費」が必要となるのです。

販売管理費は、損益計算書の中では以下のように示されます。

A:売上高(製品を売って得たお金すべて) 2,000円
B:売上原価(製品を作るのにかかったお金) 1,400円
C:売上総利益(製品を売ったことで出た利益) 600円
D:販売管理費及び一般管理費 200円
E:営業利益(その製品で会社がいくら儲かったか) 400円

Cの「売上総利益」は「製品が稼ぐ力」とも言われ、製品を作って売った、という流れだけを見たときの利益を指します。そこから、Dの「販売管理費」を差し引くと、「ある企業が(一定期間に)その製品でどれだけの利益を出したか」がE「営業利益」として表されます。

例えば、ある企業はCに対してEが非常に少なすぎるという場合、その企業は広告宣伝費などにコストをかけすぎているのではないか、といった判断もできるのです。
販売管理費って何? 基本的な意味を理解しよう

販売管理費として含まれる費用について

販売管理費には、広告宣伝費以外にも、以下のような費用が含まれます。

接待交際費:取引先を接待するときにかかった費用
旅費交通費:出張の際にかかった交通費や宿泊費
賃借料:オフィス・テナントなどの賃借料
通信費:インターネット回線の使用料・切手代金・ファックス代金など
水道光熱費:水道代・電気代・ガス代など

例えば、製品を買ってくれる取引先を接待するためにかかった費用は「接待交際費」、製品を売り込むために出張したときにかかった交通費や旅費は「旅費交通費」として計上します。また、オフィスを借りていれば「賃借料」がかかってくるというわけです。

他にも、メールのやり取りを行っていればインターネット回線の使用料がかかりますし、書類のやり取りがあれば切手代金がかかります。これらの費用は「通信費」として計上します。オフィスの水道代・電気代・ガス代は「水道光熱費」に含めます。

ここで一点注意したいのが、「人件費」です。営業や販売に関わった従業員の給与はもちろん「販売管理費」に含めますが、製造業の場合には、工場で製品を作っている従業員の給与は「売上原価」(のうち、製造費用)に含めます。同じ給与でも扱いが異なりますので、必ずどちらの従業員に対する給与なのかを確認しましょう。

販売管理費にはどんな費用が含まれる? 取り扱い項目を解説

売上高販売管理費率の算出方法について

売上高販売管理費率とは、売上高に関して販売管理費がどのくらいかかったのかを表す値です。まず、計算式から見ていきましょう。

売上高販売管理費率(%)=販売管理費÷売上高×100

「売上高」とは、商品を売って得たお金の合計を表しています。つまり、商品によって稼げるお金のうち、何割が販売・管理活動にかかる費用なのか、を考えるのが売上高販売管理費率です。ですから、売上高販売管理費率が低いほど、販売・管理活動における無駄がなく、低コストで利益を上げることができたと言えるのです。

例えば、売上高が同じ会社でも、A社は販売管理費率が20%なのに対してB社は販売管理費率が15%であれば、B社がより利益を上げているとわかります。

しかし、販売管理費は業種によって内容が異なりますから、例えば飲食業を営むA社と製薬会社B社では、売上高販売管理費率だけを単純に比べて、どちらの企業がコスト管理意識により優れているか、と判断することはできません。

これはどういうことかと言うと、例えば化粧品や飲食業のように、広告宣伝費や顧客と接する販売員・店員の人件費などが多くかかる業種の場合、どうしても売上高販売管理費率は高くなる傾向にあるのです。逆に、製造業などのように、人件費は人件費でも製品を直接製造するのに圧倒的なコストがかかる業種の場合は、人件費が売上原価に含まれますので、売上高販売管理費率は低くなる傾向にあると言えます。

このように異なる業種で、一概に売上高販売管理費率だけを比べても意味がないと言えます。売上高販売管理費率は、同業種の企業、または同一企業の現在と過去を比べて、企業の傾向や動きを捉えるものと考えるべきでしょう。

販売管理費率はどのように求めればいい? 算出方法を解説

まとめ

販売管理費からは、企業が販売・管理活動にどのくらい費用をかけたのか、またその割合などがわかります。しかし、販売管理費率は業種によって意味合いが大きく変わりますので、同じ業種や企業の中で見ていきましょう。

(学生の窓口編集部)

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