「すべからく」とは? 正しい意味や使い方

更新:2018/11/06

ビジネス用語

「すべからく」とは、「なすべきこととして」や「当然」という意味の言葉です。しかし、この「すべからく」という言葉の意味や使い方がわからないという人も多いのではないでしょうか? 今回の記事では「すべからく」の意味と合わせて、使い方を例文でご紹介していきます!

「すべからく」とは?

「すべからく」の意味

「すべからく」の漢文は授業で習った人もいるかもしてませんが、漢文を読み下すときの「訓読の表現」を基にした言葉です。「須」は「再読文字」というもので、「須く~すべし」と読み下すのですが、元々は「すべくあらく」(「するべきであること」という意味)が訳されて「すべからく」になりました。

たとえば、有名な唐時代の詩人・李白の漢詩「襄陽歌(じょうようか)」の「一日須傾三百杯」という句は、次のように読み下します。

一日、須(すべから)く傾くべし三百杯
→一日に300杯の酒を飲まねばならぬ

漢文の解釈では、「須く~べし」は「必ず~しなければならない」「ぜひ~する必要がある」になります。漢文の「須く」が現在も使われている「すべからく」の基になっていて、『広辞苑』では現在の「すべからく」の意味を以下のように説明しています。

すべからく【須く】
なすべきこととして。当然。「学生はーー勉強すべきだ」
(『広辞苑 第六版』P.1517より引用)

「学生はすべからく勉強すべきだ」という例文なら、すべきが重なりますが、「学生は、なすべきこととして勉強すべきだ」という意味になります。すべからくの後には「~(する)べし」「~(する)べき」が来て、この「べし」「べき」がつくと、行為への「すべき感」が強まりますので、この例では、

「学生が勉強するのは『当然』のことだ。」
→学生は「ぜひとも」勉強するべきだ。

といった意味になります。漢文解釈での意味と同じですね。

「すべからく」の使い方と例文

「すべからく」を使った例文を挙げます。

・子供はすべからく温かい家庭で育つべき。
→子供は温かい家庭で育てられて当然だ。

・少年はすべからく冒険すべし。
→少年ならぜひ冒険するべきだ。

・企業人はすべからくコンプライアンスを順守すべし。
→企業人なら当然コンプライアンスを順守しなければならない。

・巨人軍はすべからく紳士たるべし。
→巨人軍のメンバーなら紳士であるのが当然である。

・すべからく投資家は市場動向を注視すべきである。
→投資家は、当然市場動向を注視しなければならない。

このように、「すべからく」という言葉を使うと「当然~」「ぜひ~」という意味になり、言葉としても強い表現になりますので、誤った使い方をしないように気をつけてくださいね。

誤解されやすい意味……「すべからく」は「すべて」ではない!

「すべからく」は「すべて」という意味に誤解、誤用されやすい言葉です。たとえば、広辞苑にも掲載されている「学生はすべからく勉強すべきだ」という文を、「学生は全員勉強するべきだ」と解釈してしまう人も少なくありません。

『文化庁』のサイトによれば、2010年(平成22年)度の『国語に関する世論調査』では、38.5%の人が「全て、皆」という意味と誤解していることがわかりました。(記事末の引用元を参照)。

「学生はすべからく勉強すべきだ」の正しい意味は、「学生なら当然勉強するべきだ」ですから、「学生なら全員勉強するべきだ」と間違った解釈をしても大きく意味が変わってしまうわけではありません。しかし「すべからく」は『広辞苑』の説明にもあるとおり、「すべて」という意味ではないのです。

まとめ

今回の記事では、「すべからく」の意味や使い方についてご紹介しました。「すべからく」はご紹介したとおり、漢文の読み下し表現に由来しますので、時代がかった表現になり、あまり日常生活で使うことはないかもしれません。ですが、漢文由来の言葉も日本文化の一つですから、日本人として知っておいて損はない言葉ではありますので、ぜひ覚えておいてくださいね。

データ引用元:『文化庁』「文化庁月報平成24年7月号(No.526)」「『すべからく』の使い方」http://www.bunka.go.jp/pr/publ..._geppou/2012_07/series_10/series_10.html


(高橋モータース@dcp)

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