ビジネスシーンでよく使う用語の一つに「取引先」があります。社会人でなくても使ったことがあったり、よく耳にしたりする言葉ですよね。ではみなさんは、この「取引先」の意味をちゃんと説明できますか? 今回は「取引先」とそれに似た言葉の意味を紹介します。
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そもそも「取引」とはどういった意味なのでしょうか。『広辞苑 第六版』には、
このように記載されています。それをふまえ「取引先」の意味を同じく『広辞苑 第六版』で調べてみると、
となっています。取引先とは、取引の意味にある1-3のいずれかのやりとりをしている相手、ということですね。つまり、頻度や形式を問わず取引をしている相手であれば、それは全て「取引先」ということになります。
企業HPなどを見ると、会社概要の欄によく取引先が記載されていることがあります。中には「主要取引先」と記載されている企業もありますよね。この主要取引先とは、数多くある取引先の中でも、特に重要な取引を行っている相手のことです。
例えば、会社の利益を左右するような大きな契約をしていたり、長期間にわたりやりとりをしているなど、会社にとって失ってはならない相手です。
「取引先」と似ている言葉には、得意先・顧客・仕入先・クライアントなどさまざま。これらの言葉にもそれぞれ意味がありますが、共通しているのは全て「取引先」の仲間である、ということ。つまり「取引先」は比較的広い範囲の相手を指しており、その中に「得意先」や「仕入先」などが含まれているということです。
「得意先」とは、日常良く取引をしている相手方や、常に買ってくれる客のことです。
つまり、「取引先の中でも特に取引の頻度が高い相手」のことを指します。さらに取引の頻度が高いだけでなく、「常に買ってくれる」相手を得意先と呼ぶのが一般的です。
「買ってくれる」ということは、得意先とはあなたにとって、いわゆる「お客様」にあたります。反対に、あなたが仕入れたり購入したりする相手のことを「得意先」と呼ぶケースはあまりありません。
具体的には、商品をたくさん購入してくれるお客さん、会社の製品を多く仕入れてくれる取引先は「得意先」(お得意さま)となります。
「顧客」とは、ひいきにしてくれる客や、得意客のことです。
前項の「得意先」とほぼ同じ意味ということですね。ですが現在のビジネスシーンでの「顧客」は「得意先」よりももっと広い意味で捉えられています。得意先を「常に買ってくれる、たくさん買ってくれるお客さん」だとするならば、顧客の方はもっと広範囲の「お客さん」といったニュアンスです。
具体的には「顧客名簿」といった使い方をします。それから「すでに買ってくれたお客さん」だけでなく「これから買ってくれそうな人」のことを「見込み顧客」「潜在顧客」などと表現することもあります。
「仕入先」とは、生産や販売のために、原材料・商品を買い入れる先の会社のこと。
仕入先には、あなたの側がお金を払って原材料や商品・サービスなどを買い入れます。その意味では、前項までの「得意先」や「顧客」とは反対の位置付けとなるのが「仕入先」です。とはいえ、これら全てが「取引先」であることには変わりありません。
具体的には製造業者(メーカー)・問屋・商社などが仕入先となることが多いです。
「クライアント(client)」とは、得意先や顧客のことを指します。
ほかに、心理カウンセリングを受けにきた人やIT用語としての意味もありますが、ここでは「取引先」の関連用語に絞って説明します。
クライアントは先ほど出てきた「得意先」や「顧客」とほぼ同じ意味です。ですが一般的に、顧客とクライアントはイコールではなく、特に「依頼人」と呼べるような顧客に特化して用いられます。
つまり、取引がその場で終わるというよりも、継続性がある場合にクライアントという言葉が使われるのが特徴です。逆にいうと、ショップで購入してくれた顧客のことをクライアントと呼ぶことはあまりありません。
「取引先」とは、得意先や顧客、仕入先などさまざまな相手を包括的に指す言葉であることが分かりました。では実際に、取引先とやりとりする時はどんな風に呼べばいいのでしょうか。ここでは、「電話」と「メール・文書」に分けて丁寧な呼び方をご紹介します。
電話でのポイントは、相手との関係性によってケースバイケースであるということ。相手が顧客なら「〇〇様」や「御社(おんしゃ)」が基本ですが、お付き合いが長くなり関係性が出来上がってくると「〇〇さん」もよく使われます。ちなみに、「〇〇様」の〇〇には会社名も個人名も両方当てはめることができます。
ビジネスメールや文書でのポイントは、文中では「貴社(きしゃ)」を使うということ。先ほどの電話よりもかしこまった表現となり「〇〇さん」は使いませんが、「皆様」という表現は使うことができます。そして、メールや文書の冒頭には正確に宛名を書くようにしましょう。
ちなみに、上記のうち名前の部分はフルネームでなく、苗字だけ記載するパターンも通例となっています。日常的なビジネスシーンでは苗字だけでも構いませんが、正式な文書ではフルネームを記載することを覚えておきましょう。
それから、取引先全体に一斉に送信するような文書の場合、宛名には「お取引先各位」を使うのが適当です。「各位」は敬称にあたりますので得意先にも使えます。取引先には「お」をつけて尊敬の意を表しましょう。
「取引先」とそれに似た言葉の意味についてご紹介しました。取引先とは簡潔に表現するならば、ビジネスの相手全員といっても過言ではありません。得意先も仕入先も含まれますし、相手が会社でも個人でも使えますので便利な言葉かもしれませんね。社会人の基礎知識の一つとして、ぜひ覚えておきましょう。
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