「拝受」「拝受いたしました」の正しい意味と使い方 【例文つき】

更新:2024/02/05

電話・メール

「拝受」は、「受領する」という意味をもつ言葉です。ビジネスシーンで上司や取引先など目上の人に対して使われています。

ビジネス用語は、意味と使い方を押さえておかないと思わぬ恥をかいてしまうことがあります。「拝受」もその一つ。自分が使用する場合と自分が使用された場合の対応について覚えておきましょう。

この記事では「拝受(いたしました)」の意味や使う際の注意点、ビジネスメール例文や言い換え表現についても紹介します。

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「拝受」の意味

「拝受(はいじゅ)」は「受領する」という意味をもつ敬語表現(謙譲語)です。

「拝受」に使われている「拝」には、拝んだり、おじぎをしたりという意味が込められています。これ自体が目上の人に対して自分がへりくだる意味合いを持つ漢字です。つまり「拝受」とは「受領」の謙譲語であるということです。

そして、受領という言葉は「品物やお金を受け取る」という意味を持ちます。受領という言葉を分解すると、

「受」→受け取ること
「領」→大切なもの

となります。目上の人から大切なものをかしこまって受け取る、これが「拝受」です。

拝受いたしましたの意味

「拝受」は「拝受いたしました」までをワンフレーズとして使われることが多いです。この「拝受いたしました」には次のような敬語表現が含まれます。

「拝受」→謙譲語I
「いたす」→「する」の謙譲語II(丁重語)

つまり「謙譲語I」兼「謙譲語II」の敬語表現ということになります。意味としては「拝受」+「いたしました」で「つつしんで受け取りました」という敬意のこもった意味となります。

✔️ 謙譲語Iと謙譲語II(丁重語)

謙譲語は正確には謙譲語Iと謙譲語II(丁重語)の2種類に分かれています。両方とも「自分側の行為・ものごと」について述べるという点では共通ですが、

【謙譲語I】
⇒自分の行為・ものごとの「向かう先の人物」を立てる敬語
【謙譲語II(丁重語)】
「話や文章の相手」に対する敬語

という違いがあります。

また、もう少し短く「拝受しました」という表現もありこちらも間違いではありませんが、上記のとおり「拝受いたしました」の方がより敬意を示すことができる表現です。目上の人や取引先には「拝受いたしました」を使うと、ワンランク丁寧な印象となるでしょう。

参考:「貴信拝受」の意味

拝受と一緒に使われる言葉「貴信(きしん)」の意味もあわせてご紹介しておきます。

「貴信」とは「あなたからの便り」という意味。

<例文>

「7月7日付貴信、拝受いたしました。」
「貴信による〜〜の件……」

このように使われます。見かける頻度は少ないものの、相手からの便りを敬う言葉であることは覚えておきましょう。

拝受・拝受いたしましたを使うビジネスシーン

拝受・拝受いたしました ビジネス

「拝受」は、日常会話ではなくビジネスシーンでよく使われます。具体的にどんなときかというと、ずばり「目上の人からの大事な書類・メール・荷物などを受け取ったとき」

例えば大切なクライアントから送られてきた書類に対し、相手方からメールで「あの書類、届いたでしょうか?」と問われた場合に「拝受しました」「確かに受領いたしました」とメール返信します。

もちろん「届きましたか」と聞かれなくても使えます。大切な書類が到着したことを相手に共有した方がいい場合には「確かに拝受いたしました」と伝えましょう。相手から問われる前に、自ら率先して連絡する方が好印象です。

連絡方法ですが、「拝受」は書き言葉として使われることが多いです。ビジネスメール、文書、チャットツールなどの文章上で使うといいでしょう。

このとき「拝受しました」+「ありがとうございました」のようなお礼の一言も添えるとベターです。

拝受・拝受いたしましたを使う際の注意点

拝受・拝受いたしました 注意点

「拝受(いたしました)」を使う際の注意点を解説します。

社内では上司などの立場が上の人に対して使う

前述のとおり、「拝受」は自分の側がへりくだる表現なので、上司など立場が上の人に対して使います。部下や後輩など、立場が下の人には使用しないという点を覚えておきましょう。

身近な人や親しい人に使用すると、逆におかしな表現に聞こえることもあります。その場合、代わりに「確かに受け取りました」「受領しました」といった表現の方が自然です。

「では、社外の人に対してはどうなる?」

ビジネスシーンでは、基本的に社外の人全員に対して敬意をもって接することが求められます。よって、社外の場合には皆に「拝受」を使うことができます。

「ご拝受ください」はNG!

最も注意したいのが、拝受は「自分が受け取る側」のときに使えるということ。拝受は自分がへりくだる謙譲表現ですから、「相手が受け取る側」のときに使うと失礼にあたります

<NG例文>

(取引先に対して)
「新商品の資料を、どうぞご拝受ください。」

一見丁寧なように見えますが、これでは立場が逆転してしまいますね。「どうぞお受け取りください」が正解です。

「拝受いたしました」の連絡に返信は必要?

たとえば、資料を送付したお客様から「資料ありがとうございました。拝受いたしました」とメールで返信があった場合、さらに返信が必要かどうか悩むケースがあります。

結論からいうと「拝受いたしました」の連絡に対する返信は必須ではありません。

例えば相手がいわゆる「顧客」の立場なら、メールをもらいっぱなしにするより再度返信した方がいいでしょう。一方、日頃から親しくやり取りしている取引先なら、さらなる返信は必要ないこともあります。

つまり返信の要・不要はケースバイケースで判断することになります。もし返信をするとしたら、次のような簡潔な文面がおすすめです。

<返信の例文>

「ご連絡ありがとうございます。資料に関してご不明点等ございましたら、お気軽にご連絡くださいませ。」

「ご丁寧にありがとうございます。当日お会いできるのを楽しみにしております。」

このように「拝受の連絡をしてくれたことに関するお礼」「資料などについての補足や今後についてのフォロー」を伝えるといいでしょう。

拝受・拝受いたしましたを使った例文

拝受・拝受いたしました 例文

「拝受(いたしました)」を使った例文を何点かご紹介しましょう。主にビジネスメールでの使用を想定した例文となります。

例文1:送付された発注書を受け取るシーンで

<例文1>

「発注書の件、本日確かに拝受いたしました。こちらで進めさせていただきます。」

取引先に対するビジネスメール例文です。発注書に限らず大切な書類が先方から届いたら、受け取り確認の意味で上記のようにメールで伝えるといいでしょう。

例文2:ご査収くださいの返事として

<例文2>

A「新商品の資料をお送りいたします。よろしくご査収ください。」

B「早速にありがとうございます。資料の方、拝受いたしました。社内にて検討させていただき、改めてご連絡差し上げるようにいたします。」

「ご査収ください」には「受け取って内容ご確認ください」という意味が込められています。「ご査収ください」の返事として「承知いたしました」と返信してしまう人もいるのではないでしょうか? 

例文のような「拝受いたしました」や「受領しました」の方がより正しい返信の仕方となります。

拝受の類義語・言い換え表現

「拝受いたしました」の類義語や言い換え表現をご紹介します。

・頂戴しました
・受領いたしました
・賜りました
・拝領いたしました

最後に紹介した「拝領(はいりょう)いたしました」は、「大切なものをもらうこと」という意味なのですが、使用頻度は高くありません。

「頂戴しました」「受領いたしました」「賜りました」の中からその場に適した表現を選ぶといいでしょう。特に電話口など話し言葉の場合には「頂戴しました」が聞き取りやすいためおすすめです。

拝受の反対語は「拝辞」で「お断りする」の意味

「拝受」の反対語は「拝辞(はいじ)」で「お断りする」「辞退する」という意味です。

<例文>

「せっかくのご推薦ですが、拝辞いたします。」

のように使います。

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まとめ

「拝受」は「はいじゅ」と読み、「受領」の意味で使われます。目上の人から大切なものをかしこまって受け取る、といったニュアンスがあります。

自分の側がへりくだる謙譲表現なので、相手がものを受け取る際に使うと失礼にあたりますので注意が必要です。あくまで自分がものを受け取るときに「拝受いたしました」と使うようにしましょう。

ビジネスシーンでは意外に間違って使われている敬語がたくさんあります。「ご健勝」「承服」「拙宅」ーー日常ではあまり使わない敬語こそ、ビジネスシーンで間違ってしまいがち。この機会に、自分が使用している敬語が正しいのか見直してみてはいかがでしょうか。

(マイナビ学生の窓口編集部)

<参考資料>
・文化庁「第二話「敬語の基本」解説」

学生の窓口編集部

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