「缶詰は腐らない!」はホント? 缶詰協会に聞いてみた!

更新:2018/09/03

社会人ライフ

「缶詰は腐らない!」はホント? 缶詰協会に聞いてみた!

「缶詰は腐らない!」という話がありますが、これは本当なのでしょうか? 10年、20年経過しても絶対腐ったりしないのでしょうか? 「日本缶詰びん詰レトルト食品協会」の藤崎享さんに聞いてみました。

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■缶詰の腐る腐らない、理論上は......

——缶詰って腐るものなのでしょうか?

藤崎さん 理論上では腐ることはありません。

——それはなぜでしょうか?

藤崎さん 缶詰の製造工程にポイントがあります。缶詰というのは、缶に何かを入れて密封しておしまいではなく、そこから加熱殺菌によって中を無菌状態にします。無菌状態なので物を腐敗させる菌や微生物がいません。よく誤解を受けますが、決して防腐剤を使っているわけではありません。

——腐敗させる原因がないので腐ることはない、ということなのですね。

藤崎さん そうです。そのままずっと密封状態が保たれるのならば、理論上ではずっと腐らずに保つはずです。しかし、中は腐らなくても外部の缶が腐食するなどして穴があくなどした場合は、そこから空気中にいる微生物が入り腐敗してしまいます。

——では缶が腐食しないように保存すれば大丈夫なのですね。どんな状態で保存するのが一番いいのでしょうか?

藤崎さん 高温の場所やずっと光が当たるような場所、湿気の多い場所は避け、可能ならば冷暗所で保存するのがいいでしょうね。

——実際、どれくらいの長期間保存された缶詰がいままでに見つかっていますか?

藤崎さん 1938年にイギリスで「114年間保存されていた缶詰を開けて食べた」という記録が残っています。北極観測隊用の肉や野菜の缶詰だったそうですが、試食した結果、味や匂いは悪くなく、十分に食べることができたそうです。

——114年間......逆に食べるのに勇気がいりそうですね。

藤崎さん そこですね。長期間保存はできるものの、それを食べたいかというのはその人次第ですので。

——賞味期限を過ぎると、食べたくないという人がいますからね。

■日本最初の缶詰は「イワシのオイル漬け」だった!

——そもそもの話ですが、缶詰はいつからあるのでしょうか?

藤崎さん 缶詰の原理は1804年にフランスで誕生したといわれています。その後1810年にイギリスでブリキの缶詰が生まれました。日本では今から143年前の1871年に、松田雅典という人が長崎で「イワシの油漬け」の缶詰を試作したのが最初といわれています。

——日本最初の缶詰は「オイルサーディン」だったのですか。実際に売るために作られたのはいつからなのでしょうか?

藤崎さん 商用としては1877年の10月10日に、北海道でサケの缶詰が製造されたのが最初です。この10月10日は、現在「缶詰の日」とされています。

——イワシにサケと、魚好きの多い日本らしい缶詰ですね。日本で最初の缶詰の誕生から現在までに、さまざまな缶詰が登場してきたと思いますが、一番売れたであろう缶詰は何ですか?

藤崎さん 恐らくですが、ツナ缶やトマト缶(ホールトマト)ではないでしょうか? 他にはコーン缶など、料理に使う缶詰がニーズも高く、一番売れているのではないかと思います。

——確かにツナ缶はおいしいですし、手軽に使えますからね。ちなみに、これまで見た中で「これは変わっているな」と思った缶詰はありますか?

藤崎さん そうですね......珍しいのですと「スイカの缶詰」ですね。フルーツ缶詰の一つですが、四季変わらずいろんな野菜・果物が手に入るようになった現在では淘汰(とうた)されて、もう製造されていません。

——確かにいくつもフルーツの缶詰はありますが、スイカは見たことがないですね。でもちょっと食べてみたい気もします(笑)。

■賞味期限について正しい知識を!


——先ほど少し話がありましたが、缶詰の「賞味期限」はどうなっているのでしょうか?

藤崎さん 賞味期限というのは、「おいしく食べられますよ」という期限です。食品にはおいしさが減退していくポイントというのがありますが、食品に表示されている賞味期限は、安全のために実際に味が落ちる期限よりもかなり前倒しの表示になっています。ですので、少々期限を過ぎた程度ではまだおいしさは残っているのです。缶詰などは先に述べたようにそもそもが保存のきくものなので、賞味期限が切れたとしてもそこまで大きな影響はないと思います。

——なるほど。消費者の方の中には「賞味期限というのはおいしくなくなるギリギリのもの」と思っている人もいますが、それは間違いなのですね。

藤崎さん もう一つ消費期限というのがありまして、これはお弁当やお総菜など、比較的鮮度の落ちやすい食品に表示されます。賞味期限と同じく安全のために前倒しにされた期限が表示されていますが、これは表示された期限内に使い切るようにしてください。缶詰の話とは少し変わりましたが、この2つについてしっかりと覚えておいていただきたいと思いますね。

結論としては、「保存さえちゃんとしていれば缶詰は腐らない!」とのことでした。とはいえ、適切な環境で保存してのことなので、温度の高い場所や湿気のある場所で長期間保存されていた缶詰は食べない方がいいかもしれませんね。

日本缶詰びん詰レトルト食品協会HP
http://www.jca-can.or.jp/index...

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(貫井康徳@dcp)

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