巷では「会社で上司と上手くいかない時」に読むアドバイス本、また「会社の人間関係に困った時」に読むアドバイス本なんかが溢れています。
本をひろげてみると、「困った時にはこうしよう」とか「困った上司への対応の仕方」などが事細やかに描かれています。
日本在住の日独ハーフである筆者もこの手の本は大好きでよく読むのですが、本を購入する際に条件にしていることがあります。それは必ず「日本で長期に渡り生活している人」、または「日本の会社で働いた経験のある人」の書いた本を買うことです。
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もちろん、アメリカやヨーロッパにも人間関係に関するアドバイス本は沢山ありますし、海外でベストセラーになった本などは日本語に翻訳され日本でも売られています。けど、正直に言って「海外での対処法」は、あくまでも「海外でしか通用しない」ものなのです。
アメリカ在住のアメリカ人が書く「僕はこうして上司を黙らせて社長にのし上がった」という本を読んでも、勇気は出るのですが、ちょっと日本国内において実践するには参考にならなかったりするわけです。ヨーロッパに関しても同じです。「嫌なことを言う上司には険しい表情で直球で『嫌!』と伝えましょう」なんて書かれているドイツ流解決法の本を読んでも、日本国内では全然使えないことうけあいです。海外流のアドバイスを真に受け日本で実践すれば、会社や友達の間で孤立してしまうことになりかねません。
痴漢への対応に関しても同じことが言えます。もっともヨーロッパの電車にあまり痴漢はいないのですが、痴漢以上に危ない人達がいるのもまた事実です。そのため、ヨーロッパ発の女性へのアドバイス本には、「変なことをする男性に会ったら即、催涙スプレーを相手に振り掛けましょう」などと書いてあるわけですが、日本の満員電車の中で突然催涙スプレーを使うわけにもいきません。日本でたとえば痴漢に遭った場合、やはり日本流の解決法が求められるわけです。
というわけで、筆者は自分自身のルーツが海外(ドイツ)にあるにも関わらず、「日本の社会とはあまり縁のなさそうな外国人が書いたアドバイス本」には基本、手を伸ばしません。
やっぱり「アドバイスはアドバイスでも、国によってそのアドバイスの内容は全然違う」ということに尽きます。日本で起きたトラブルには日本流の解決法がちゃんとあるわけです。そしてそれを参考にしたいと思っています。
本当の意味でアドバイスがほしい時、自分とは同じ、または似たような状況に置かれている(または置かれていた)人からのアドバイスが実は一番参考になりますね。
アドバイスを自分の役に立てるためには、「どこ発」のアドバイスなのかが意外と大事だということです。
文●サンドラ・ヘフェリン
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