歯車社員を目指せ!! それが半沢直樹になれるコツ

2013/10/02

仕事全般

歯車社員を目指せ!! それが半沢直樹になれるコツ

2011年に『社畜のススメ』(新潮新書)を執筆したところ、予想以上の反響があった。しかも、その中の過半数が「私のような働き方(筆者注:歯車的な働き方)でも良かったんだと思える論調に大変勇気付けられました」という内容のものだった。私はこれらの反響に改めてサラリーマン社会の縮図を見た思いがした。

先日最終回を迎えたTBSのドラマ『半沢直樹』が42.2%という驚異的な高視聴率を獲得したのは記憶に新しい。私も録画して欠かさず見たが、部下が上司をやっつける下克上のストーリーは実に痛快で、とてもワクワクしたものだ。『半沢直樹』に刺激され、自分の思い通りに仕事を推し進めるサラリーマン像に憧れた人々が増えたであろうことは容易に想像できる。「言われたことだけをやる歯車的なサラリーマンではなく、自らが自らの信じる通りに仕事をやり遂げるサラリーマンを目指そう」という感覚ではないだろうか。

ところがここに大変な落とし穴があることに気付かなければならない。

主人公である半沢直樹が、銀行から出向させられている同期の友人の不甲斐ない様を見て、剣道で性根を叩き直すシーンが何度か出てくるが、その時の半沢直樹は物凄く強く、また、絶対にブレない目がとても印象的なスーパーマンといった姿だ。仕事に対する取り組みもまさしく剣道的な一直線で豪快な技を連発し、その押しの強さで難局をことごとく乗り越えていく。この能力はどこで養われたのか。ドラマでは、それが見えない。そして、それこそが落とし穴なのだ。

『社畜のススメ』にも書いたが、半沢直樹のようにスーパーマン的に働けるサラリーマンほど、駆け出しの頃は組織の歯車としての貢献も充分にこなし、会社が教えることをすべて吸収する。だからこそ「思い通りに働ける能力が身に付く」と考えることが重要なのだ。ところが、新人として入社するみなさんは、歯車として地道に働いている自分の姿をイメージしたくないというのがホンネだろう(心とは裏腹に謙虚な発言に徹する人は多いかもしれないが)。誰もが自分の可能性を信じてバリバリ活躍している自分を想像したくなるものだ。

「思う存分活躍するためには、徹底的に知識や経験を習得するという歯車経験が下支えになる」という逆説的な真理に気付くのは、「豊富な経験を積み、残りのサラリーマン人生が見えてきた頃になってから」という「人生の皮肉」に遭遇することを若いうちはなかなか想像できないものだ。本文冒頭の読者感想は、「結果的に、抱いた夢の通りではなく、最後まで歯車としてしか働けなかったサラリーマン人生を勇気づけてくれた」という気持ちの表れでもあったのだ。

誰もが自分の思い通りに働きたいが、そのためには、思い通りに働ける"能力"が備わっていなければならない。その"能力"には、企画力や提案力だけではなく「関係者を思い通りに動かす力」が絶対に必要となる。つまり、自分が思い通りに働くためには、自分の考えた通りに動いてくれる、いわば"歯車"社員が必要になるのだ。この矛盾が、組織を円滑に動かす原動力といえる。

人は理屈で動くのではなく、権力か人間関係で動く。その権力を握るためにも結局は人間関係が重要となる。では、人間関係はどのように形成されるかといえば、持ちつ持たれつ、つまり、give and takeで苦楽をともにしたという下地が大切なのではないだろうか。歯車として上司や同僚などいろいろな人に役立った人間だからこそ、いざ思い通りに働ける立場になったときに、いままで関わってきた人が歯車として協力してくれるのだ。また、歯車の大切さを知るからこそ、歯車の扱い方も上手くなる。

「歯車になってはいけない」という甘い誘惑に触れる機会は今後も多いことだろう。しかし、賢明な読者のみなさんは、歯車として働くことこそが、思い通りのサラリーマン人生を送るための"能力"を身に付けることになるということを忘れないようにしてほしい。

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