日本の技術産業を救う!? ロケット製作に大学生が挑む。

更新:2016/01/28

社会人ライフ

日本の技術産業を救う!? ロケット製作に大学生が挑む。

理系学部の受験者の減少、技術立国として揺らぐ地位......など、経済大国たる所以であった日本の技術力を低下を憂う声は数多い。しかしそんな中、大学生が奮闘している。ロケットの製作を通じて日本の宇宙産業をリードする人材の育成を目的に設立されたインカレサークル「CORE」は、現在来年3月に上空1キロまで打ち上がるロケットの製作をしている真っ只中。製作の佳境を迎える現在の状況をうかがった。



どのようにロケットを製作している?

「ロケットの機体設計から製作までをすべておこなっています。燃料は酸化剤である亜酸化窒素(N2O)と固体燃料であるABS樹脂を使用しているハイブリッドタイプ。それぞれの燃料は単体では爆発などの危険がなく、安全なものとされています」(広報担当・山崎龍太郎さん/慶応三年)



メンバーは全部で25名ほど。ロケットや宇宙に興味があるという、さまざまな大学の学生が集い製作している。

「集まる時間をなかなか取れないのが一番大変。でもその中でいかに上手くコミュニケーションをとって作業するかも醍醐味。学生同士の交流の輪を広げ、宇宙を目指す学生の活性化を図るというのもCOREを始めたきっかけでしたから」(前代表・堀 恭暢さん/早稲田四年)



 ロケットが完成するまでにかかる期間はおよそ3ヶ月ほど。その中でチームとして全員で作業する機会は3回ほどしかないのだとか。それ以外はチーム単位、または各個人で作業を進めている。とはいえモノづくりをチームでする上で密なコミュニケーションは必須。そのためにCOREはさまざまな工夫をこらしている。



「対話から問題解決のヒントを得ることもありますし、機体、電装、燃焼などのチームに別れて作業しているので、それぞれの作業進捗の報告なども不可欠。だからメーリングリストを使ったり、LINEを使ったりと、いろんな手段で密にコミュニケーションするようにしてます」(代表・小布施 聡さん/慶応大学三年)



取材時にはちょうどロケットの頭脳である箇所のマイコンのプログラミングをおこなっていた。搭載されたさまざまなGPSや加速度センサーで飛行位置の確認やデータを収集することができる。さらに今回は上空1キロからパラシュートを飛ばす設計になっており、その指示をする役割も果たす。どの部分にも最先端の技術がふんだんに組み込まれている。



「最初はわからないことばかりで、いろんな方々に相談しながらでしたね。あとはグーグルで検索すれば大概のことはわかるんですよ。あとはもう、トライ&エラーの繰り返しです」(プロジェクトマネージャー・冨岡孝太さん/慶応大学三年)



COREの活動を通して学べることは、大学の授業ではもちろん社会に出てもそう勉強できるものじゃないともメンバーは語る。

最後にロケット製作を通して今後どんなことを実現したいかをうかがった。





ロケット製作を通じてなにを実現するか。

「今回の1キロのロケットが成功したら次は10キロにチャレンジしたいですね。その次は100キロに。そこまでくれば小型衛星が打ち上げられて、ビジネスとしても展開できるようになりますから」(富岡)



「世の中の困った! の解決策を宇宙を通して叶えられれば......というのが目標。だからビジネスとしてなにができるか、いつも模索してます」(小布施)



「宇宙に行くというのは、子供の頃からの夢。でも今は宇宙飛行士になるか、大金持ちになって何十億円かけて行く、とかしか選択肢はないですよね。でも、ロケットの技術が発達すればその敷居はどんどん低くなる。将来的にはそのその手助けができるようになりたいですね」(堀)



「正直、みんなと違って宇宙が好きで......という動機でCOREに入ったわけじゃないんです。メンバー内でも希少な文系の学部に在籍していますし。将来的に起業を考えていて、未開拓分野の市場の勉強ができればと思い、広報担当として入りました。今後は宇宙となにかを組み合わせた新しい価値を生み出すようなビジネスを考えていきたいです」(山崎)



「日本の宇宙産業をリードする人材の育成」当初にCOREが掲げたこのミッションを達成すべく、メンバーそれぞれが日々技術を研鑚するだけではなく、ビジネスとしての可能性も視野にいれながら活動している。



このロケット製作計画は、学生の「何かやりたい!」を叶えるWebサイト「良活プロジェクト」内で製作資金の援助を現在募っている。計画の詳細や進捗も掲載されている。興味をもった人は協力してみてもよいだろう。

また、支援者は援助するだけではなく、支援内容に応じてさまざまなインセンティブを受けることができる。上空1キロの風景写真を受け取ることができたり、支援者がロケットのデザインを考案したり、さらには上空1キロから打ち出されるパラシュートへメッセージやモノを搭載させることも。支援と交換にさまざまな特典を享受できる。

支援は個人はもちろん、企業広告のために活用してもよいとのこと。

未来の宇宙飛行士たちの壮大な計画に一端を担ってみるのも面白いかもしれない。

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