会社の同期との付き合い、うまくいっていますか? 同年代とはいえ、学生時代のように気の合う仲間とだけ付き合うわけにもいかず、社会人ならではのストレスや悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか。同期との上手な付き合い方について、前回ご紹介した「上司編」に引き続き、新入社員向けのコミュニケーション研修なども手がけるビジネスコーチの鈴木誠一郎氏に、アドバイスをしていただきました。
まず、最近の社内の人間関係におけるトラブルにはどんな事情があるのでしょうか? よく見られる事例を聞いてみました。
「日本の会社でも成果主義が広がってきたことで、仕事が各個人に細分化されたり、個人単位での成果を求められたりする、いわゆる『たこつぼ化』という現象が起きています。こうした中、うまく協力関係を築けない人や、協調できない人が増えてきて、社内がギスギスした雰囲気になってしまうことがあります」(鈴木氏)
特に個人での作業が中心になるIT企業の技術職などでは、年間10%もの人がうつ病になるというデータもあるんだとか……。そんな中、同期など身近な同僚と良好な関係を築いておくことは、心の健康を保つ上でも重要だと言えそうです。
「一般的に、同期は自分にとって一番近い存在です。社会人としての悩みを相談し合えるような関係を築いておくと、その先長く付き合っていくことができるでしょう」(同)
ところで、新入社員として入った同期の中には、院卒、大卒、高卒など、さまざまな年齢やキャリアの人が混じっている場合もあります。同期とはいえ、そういう相手とどんな風に接したらいいか迷ってしまう人もいるでしょう。そのあたりはどう考えればよいのでしょうか?
「キャリアの違いについては、それほど気にすることはないですが、年齢が上の相手には、それなりの配慮が必要だと思います。相手は、一見そうは見えなくても、心の中では自分が年上という意識を持っているかもしれません。そんな相手に対して、いきなりタメ口で話すと不快に思われてしまうこともあります。少なくとも、半年ぐらいたってある程度親しくなり、相手のことが分かってくるまでは、丁寧な言葉使いを心がけたほうがいいでしょう」(同)
社内の同期同士で溝ができてしまうのは、具体的にはどんなケースがありますか?
「特に女性によく見られる例としては、みんなの前で一人だけ上司から褒められたりすると、それがきっかけで浮いてしまったりすることもあるようです」(同)
こうしたトラブルは不可抗力の面もありますが、あらぬ誤解を受けないためにも、普段から良好な関係を築いておくことが予防策になりそうです。では、一人ひとりの同僚と良い関係を作るには、どんなことに気をつければいいのでしょうか?
「上司との関係と同様に、基本は相手の気持ちを認めることです。同僚が何か話をし始めたら、まずはさえぎらずに最後まで聞く。相手の気持ちを感じ取り、それに共感してあげるのです。仮に自分は同意できない内容であっても、頭からそれを否定して意見するのはやめましょう。誰しも自分の気持ちを分かってほしいと思うから話をしているので、最初に共感してあげることが大切なのです。そうすると、案外素直に聞く耳を持ってくれるようになるものです」(同)
同期が相手だと、つい遠慮せずに自分の意見を言いたくなってしまうこともありますが、「相手を認めよう」という気持ちを、意識して持つことがポイントのようです。
「自分の感じたことを相手に伝える場合に、誤解されないように伝える良い方法があります。それは『Iメッセージ』で伝えるということです。『Iメッセージ』とは、『私』が主語になっているメッセージという意味です。たとえば、『手伝ってくれて、(私は)すごくうれしかったよ』、『今日の○○さんのプレゼンは聞いていて、すごくまとまっていたと(私は)思いました』などです。自分が主語となる『Iメッセージ』は相手に快く受け入れられるのです」
同じことを伝えるにも、主語があいまいな一般論で話すよりも、「自分はそう感じた」というニュアンスを強めることで、自分の思いがストレートに届くということですね。
ちょっとした心がけで周りの人との人間関係が良くなれば、毎日が楽しく、仕事にも前向きに取り組めそうです。どうも、職場でのコミュニケーションがうまくいかないなと感じている人は、解決へのヒントにしてみてください。
取材協力者:ビジネスコーチ鈴木誠一郎氏
参考:『うなずき力』(鈴木誠一郎著)
○All Aboutプロファイルにて、パーソナルコーチング情報を掲載
http://profile.allabout.co.jp/pf/suzuki-seiichirou/
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