家は若いうちに買ったほうがお得？ それとも賃貸でいい？ 不動産ディベロッパーとFPの見解は......。

一生のうちの最大の買い物というと、やはり「家」。最近は「一生賃貸で！」でなんて人も増えていますが、一方で、「家は若いうちに買ったほうがいい」なんてことも言われています。では、実際若いうちに家を買うべきなのでしょうか。それともしばらくは賃貸でOK？ どっちがお得なのか、不動産の営業マンに聞いてみました。



■賃貸だと自分のものにならないので買い!?



まず、中堅不動産ディベロッパーの営業マンにお話を伺いました。



——「若いうちに家を買ったほうがいい」という話についてどう思いますか？



営業マン　そう思います。買えるのであれば若いうちに買ったほうがいいと思います。



——その理由は何ですか？



営業マン　まず、賃貸で暮らしていると、その家賃はただ払っているだけです。同額を住宅ローンに支払えば自分のものになって、そのほうが得ですよね。また、若いうちの方が住宅ローンを借りやすいと思います。



——住宅ローンは若いうちのほうが借りやすいですか？



営業マン　長く支払うことを考えるのであれば、若いうちのほうがいいでしょう。年齢が上がると組めるローンの年数も限られてきますので。ただし、あくまでも無理のない範囲で借りられるのなら、です。無理な借金はするべきではありません。



■若いうちに買うリスクも考える！



人生におけるお金の計算だったら、やはりファイナンシャルプランナー！ というわけで、ファイナンシャルプランナーの前野彩先生にお話を伺いました。



——家は若いうちに買った方がいいのでしょうか？



前野先生　それは難しい質問ですね。その人なりの人生設計があると思いますので、一概には言えませんが、一番大事なことは「家を買ってどんな生活をしたいのか？」という家を買ったあとの人生設計です。よくある購入と賃貸はどっちが得かという話は、どのようにもシミュレーションできるので、まずは「なぜ家を買いたいのか」という気持ちを大切にしてほしいと思います。



——不動産屋さんは上記のような意見なのですが。



前野先生　たしかに買えば資産になりますが、資産は売れなければ現金には変わりません。これから日本の人口は減っていくわけですから、30年後に家にそれほどの資産価値はあるかどうかも考えたいところですね。



——なるほど。



前野先生　あと、買わないリスクがあるのなら、買うリスクも当然あります。例えば、結婚して子供が生まれて、という先々の家族構成を考えると、若いうちに購入した家が果たしてそれに対応できるのかとか。



引っ越しすると、その家を売却しますから、そのときにちゃんと売れるのかといったことも考えなければなりません。私のところに相談に来られた方の中には、海外赴任が決まって急遽売ったり、貸したりした方もいらっしゃれば、お子さんの教育のためにやむなく売却した方もいらっしゃいます。



買うときは夢が膨らみ、メリットを想像しやすいと思うので、人生設計の変化によるデメリットも冷静に考えてみてください。



——リスクもあるわけですね。



前野先生　はい。例えば、若いと長期のローンが組みやすいということはありますが、若いと収入が少ないので「住宅ローンは年収の25％以下」に抑えることができるのか、といったことも大切です。



——今、住宅ローンの金利が大変に安いと思うのですが。



前野先生　たしかに、過去に例がないほど安いです。35年固定で1.7％といった非常に安い金利は今までなかったものです。銀行によりますが、変動金利より、5年固定金利の方が安いといった異常事態も起こっていますから、今買うと「お得」な気がするのも無理はありません。



ただし、金利が安いから家を買うことにした、というのは本末転倒のような気がします。いずれにしても、その家が本当に自分にとって必要かどうか、まずそれを考えてみましょう。



今回はあえて家を買うときの注意点を中心にお話ししましたが、家を買ったから頑張って働けている！ という人もいらっしゃいます。家を買った後の生活を十分想像してから判断してくださいね。



いかがだったでしょうか。「賃貸物件に払うお金と同額なら、資産になる方が得」という考え方がある一方で、リスクがあることも十分考慮しましょう。くれぐれも無理な借金をしない、そして本当に家が必要かをまず熟考することが大事なようです。



⇒ファイナンシャルプランナー・前野彩先生のサイト

http://www.fp-will.jp/



(高橋モータース＠ｄｃｐ)