新卒で配属ガチャに外れたら? 落ち込む気持ちの切り替え方【お悩みQ&A】

更新:2024/04/16

社会人ライフ

新入社員が配属される時期になるとSNSやインターネット上で「配属ガチャ」という言葉が飛び交います。

基本的には、自分ではどうすることもできない「配属」に対しての不安を表現したいときや、実際に希望が叶わなかったときにネガティブな意味合いで使うことが多い言葉です。

今回は、内定学生から寄せられたお悩みをもとに、配属ガチャが起こる背景や、配属ガチャに外れたときの気持ちの切り替え方について解説していきたいと思います。

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そもそも「配属ガチャ」とは?

「配属ガチャ」とは、カプセルトイの「ガチャガチャ」や「ガチャポン」、ソーシャルゲームの「ガチャ」になぞらえて作られた俗語。新社会人や就活生などの学生を中心に自らの意思や希望とは関係なく、会社に判断を委ねざるを得ない、言い換えれば、運頼みとなる「配属」に対しての不安な状況を表す言葉としてSNSやインターネット上でよく使われています。

とくに、新入社員の配属が行われる4月前後にかけては、希望する部署や職種、勤務地などへの配属が叶うか、一気に不安が高まる時期ということもあり、ネット上で頻繁に見かけるようになります。

また実際に希望と異なる配属になったときも、「配属ガチャでハズレを引いた」などの言い回しでよく使用されます。

「配属ガチャ」はなぜ起こる?

「配属ガチャ」が起こる理由はいくつかあります。ここでは、まず「配属ガチャはなぜ起こるか」について説明したいと思います。

1)会社組織における人員配置の複雑さ

会社にはいくつもの部署があり、様々な職種で多くの人が働いています。とくに、海外や全国に支社や工場があるような大きな組織になると、企業の事業戦略をもとに人員配置や部署間のバランスを考慮しなければならなくなります。昨今のように変化の激しい時代には、刻一刻と会社側のニーズが変わるため、希望に沿った配属が難しい場合があります。

2)人気の部署や業務に希望が集中する

新入社員の中で一部の部署や業務、勤務地に希望が集中して、競争倍率が高くなることがあります。一方で、会社側は、人材を必要とする部署や職種が多様化しているため、需要と供給のバランスが崩れてしまい、配属先が希望通りにならないケースがあります。

3)会社側の情報開示不足やそもそも人事制度が不透明

最近では、採用のミスマッチによる早期退職を課題としている企業が多くなり、内定後や入社後のフォローを十分に行う企業も増えてきました。また、職種別採用やジョブ型雇用を導入している企業も増加しており学生の希望に応える企業も増えています。とは言え、まだまだ多くの企業では、入社前に十分な情報開示が行われていなかったり、配属の決定プロセスが不透明だったり、新入社員の希望や能力を反映した配属を受けることが難しい場合があります。

4)人事担当者とのコミュニケーション不足

多くの学生は、就活で自分をよく見せようとして、必死にアピールを行い、企業側の意向に沿うような発言をしてしまうケースがあります。内定後や入社前に人事担当者との十分なコミュニケーションがないと、そのまま内定者の価値観やキャリアプランの見極めができていない状態で、人事担当者や配属先の管理職の判断によって配属が決まってしまう可能性があります。

「配属ガチャ」のメリット・デメリット とは?

学生にとっては不安しかない「配属ガチャ」ですが、外れたとしてもメリットはあります。希望が叶わなかったからと言って自暴自棄にならないでください。長い社会人人生の中であなたを支えてくれる大きな価値になるはずです。ぜひ、長期的な視点に立ってこの経験をどう活かすか考えてみてほしいと思います。

メリット

まずはメリットです。

自分の適性や潜在能力に気づく

予想外の部署や業務に配属されることで、自分の適性や潜在能力に気づくことがあります。もしかしたらあなたには自分でも気づいていない素晴らしい能力があるかもしれません。

会社も意図があって配属していますので、まだ経験の浅い自分の思い込みで専門領域を決めてしまうのはもったいないです。可能性を狭めてしまうことにもつながります。まずは、配属された部署で目の前の仕事や業務に前向きに取り組んでみましょう。新たな発見があるかもしれませんし、少なくともそこでの能力開発は、+αのスキルとして、後々あなたのキャリアに活かされるはずです。

幅広い人間関係を構築できる

また、希望部署ではないからこそ、本来出会うはずではなかった領域の「幅広い人脈」が構築できるでしょう。その部署や業務で関わる人の中に、学ぶべき上司や先輩、取引先の人など、たくさんの出会いがあるはずです。いずれ希望部署に異動したり、転職したりした際にもとても重要な人脈になるはずです。その中に仕事や人生のメンターが存在するかもしれません。配属先で社内外のネットワークを広げておくことで、むしろ希望通りの配属をされた人よりもこれからのキャリアパスに大きなアドバンテージにつながる可能性があります。

デメリット

ただ、一方でデメリットもあります。

モチベーションが低下する

人それぞれですが、一般的に苦しい就活を乗り越えて内定を勝ち取った会社に対して想いが膨らんでいることでしょう。当然、仕事に対する期待感も大きくなっているはずです。そんな中、希望と異なる部署や業務に配属された場合、キャリアのスタートという大事な時期にモチベーションが低下する可能性があります。

パフォーマンスの低下や早期退職につながる

また、将来のビジョンや目標設定が明確な人ほど、自分の興味や能力に合わない仕事に取り組むことが無駄な時間のように感じてしまいがちです。希望や想いが強い分、「ハズレを引いた」ことへの反動が大きくなります。結果として、パフォーマンスの低下や早期退職など、キャリアの一歩目でつまずく可能性があります。

体調を崩す可能性も

さらに、新しい環境に適応することで精一杯な上に、仕事内容や職場環境とのミスマッチが重なれば、突発的なストレス状態に陥り、メンタル面や体調面でバランスを崩して、体調不良になる危険性もあります。ひどい場合はうつ状態になって会社を休んでしまうことになるかもしれません。そうならないように、早期に決断して環境を変えることも選択肢の一つであると思います。


このように、「配属ガチャ」にはメリットもデメリットもあります。往々にして「社会人生活の最初に描いた未来にすんなりたどり着いたという人は少ない」ようです。多くの人は、配属された場所で、まずは一つひとつ新しい経験を積みながら、自分の適性を見極めたり能力を高めたりしながらやりたいことに近づいていきます。

一方で、ただ会社にいれば成長できる時代は終わりました。正解のない時代と言われる今、やりたいことが明確にある人は、その場の環境で得られる価値をしっかりと見極めたのちに、早めに環境を変える決断をするという選択肢もあるでしょう。人それぞれの意思や置かれた状況で判断するのが良いかもしれませんね。

【回答】「配属ガチャ」に外れたら、どうモチベーションを保てばいい?

「配属ガチャ」は、会社という組織に入る以上、多かれ少なかれ誰にでも起こりうるもので、多くの人はそれを受け入れ、徐々に慣れていき、自ら環境を変えていく力を身につけていきます。落ち込んだ気持ちを切り替え、仕事へのモチベーションを保つにはどうすればいいのか、いくつか方法を紹介したいと思います。

置かれた状況をポジティブに変換してみる

「誰もが通る道」と考え、状況を前向きに捉えることが重要です。新しい部署や業務での経験は、将来あなたのキャリアにおいて貴重なものになる可能性があります。いまの環境の中で楽しみや挑戦を見出し行動してみましょう。

先輩や上司と積極的に話してみる

きっとあなたの周りにも同じ経験をしてきた先輩や上司がいるはずです。一人で悩みを抱えていないで、積極的にコミュニケーションをとってみてください。少しは気持ちも楽になるはずですし、先輩や上司の経験談や広い視野からのアドバイスも参考にすると良いでしょう。

「未来」への目標設定をして、自己成長に集中する

短期視点で一喜一憂するのではなく、長期の視点で自分の将来の「ありたい姿」にフォーカスしてみてください。5年後、10年後、20年後とキャリアのロードマップを仮説でいいので可視化してみて、その「未来」から逆算して目標を設定すると漠然とした目標の解像度が上がってくるはずです。なんとなくの「未来」が見えてきたら、配属先の環境でどのようにスキルや経験を積んでいくかを考え、そのための計画を立てましょう。

現場でとにかく結果を出す

希望ではない業務であっても仕事である以上、やらなければいけない場面は訪れます。その際は、成果を出すことで自分の持っている能力を示すことも重要です。「やりたいこと」にたどり着くには、いまの現場で成果を出し続けることが近道だったりします。部署や会社からの評価を高めていくことで、徐々に発言権や主導権が高まり、大きな仕事を任せられるようになります。プレイヤーからリーダー、マネージャー、ディレクターなど、役割が変わることで、自分で動かせる範囲が広がっていくのです。

「配属ガチャ」はまさに運。どうせなら運を味方につけるアクションを起こそう

私自身、「配属ガチャ」(当時はこの言葉はありませんでしたが)に外れた一人です。編集という仕事がやりたくて入社したのですが、営業配属だったのです。「部署」というよりは、そもそも「職種」が違っていました……。配属を言い渡されたときの絶望感は今でも忘れられません。

ただ、いま振り返ると当時嫌で嫌でしょうがなかった営業での経験が至るところで生きています。営業経験で培ったコミュニケーション能力や課題解決能力は、編集でもとても重要なスキルでしたし、何よりもクライアントからお金を頂くことの大変さや事業視点を養えたことが今のメディア作りにも大きく影響しています。私の場合は粘ってよかった、という事例ですが、私よりもっと情熱にあふれていてビジョンが明確な人たちは、早々に環境を変えて成功している人もたくさんいます。

まずは、「配属ガチャ」を嘆くだけではなく、今与えられた環境の中で、いったん自分の思い込みをはずして、学べるものがあるか探してみてください。きっと学生時代には想像もしなかった新しい世界や仕事から得られる成長機会がたくさんあるはずです。「アタリ」も「ハズレ」もあなたの運。どうせなら運を味方につけて、「ハズレ」を「アタリ」に変えるくらいのアクションにつなげていってもらえたら嬉しいです。

(降旗 靖夫)

※画像はイメージです。


【著者プロフィール】降旗 靖夫

株式会社マイナビ(旧 毎日コミュニケーションズ)に入社。就職情報事業本部の営業部に配属。新卒採用の広告営業、採用コンサルタントとして多数の企業を担当。社会人情報事業部へ異動し、広告営業を経て、就職・新社会人・ビジネスパ ーソン向け情報メディアの編集・制作担当を務める。大学生活の総合メディア『マイナビ学生の窓口』オープンと同時に編集長に着任。その後、新規メディア事業の立ち上げに従事。2019年より現職。

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