4月から社会人として新生活がスタートしますね。大きな変化はワクワクすると同時に不安も大きいものです。
特に、過去にアルバイトなどで「逃げ癖」があった方は、今後自分は社会人として働き続けられるだろうか、という不安が大きいと思います。
今回は、内定学生から寄せられたお悩みをもとに、逃げ癖がある人の特徴や心理、さらに直し方についてアドバイスをしたいと思います。
▼目次
1.入社後の社会人生活への【お悩み】
2.そもそも「逃げ癖」とは?
3.「逃げ癖」がある人の特徴とその心理
4.「逃げ癖」をそのままにしているとどうなる?
5.「逃げ癖」の直し方
6.【回答】「逃げ癖」があるのに今後何十年も働ける?
7.レジリエンスをつけていこう
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まず「逃げ癖」という言葉の定義ですが、逃げ癖は疾患名(病気)ではありません。何かトラブルや困難が生じた際に、解決しようと動くのではなくそこから逃げてしまうことが癖になっているという行動性格のことを俗に「逃げ癖」といいます。労働だけでなく、趣味の集まりや習い事などのサークルでも逃げ癖はおこります。
お伝えしたように、逃げ癖自体は疾患ではありませんが、精神的な疾患が背景にあるために逃げ癖が生じてしまうこともありますし、逃げ癖がある自分に激しい自己嫌悪を感じることによって抑うつ状態になってしまったり、社会に出ることに強い不安を抱えて疾患が発症したりすることもあります。
したがって、逃げ癖=悪い癖だからとにかく直すべき、と一概にいえるものではなく、なぜ逃げ癖があるのか、その背景をきちんと整理してから対処法を考えていく必要があるといえるでしょう。
逃げ癖がある人には次のような特徴や心理傾向が見られます。ひとつずつ見ていきましょう。
ストレスとは簡単にいうと「摩擦(まさつ)」のこと。人間は一人では生きていけないので常にどこかから摩擦を受けていますが、その刺激は悪いものばかりではありません。しかし、生まれ持った性質が繊細であったり、成育歴において摩擦がほとんどない育ち方をしたりすると、小さな摩擦でもそれが必要な摩擦であっても非常に苦痛に感じてしまいます。
人は自分だけのために頑張ることよりも、守りたい人や失いたくない環境がある方が頑張ることができるものです。そのため人間関係や自分の生活環境で失うものが少ない人は、忍耐力や責任感は薄くなりがちです。
「人生なんとかなる」という思考が根底にある楽観主義者。気質的な楽観主義もいれば、様々な経験を経て楽観主義になる人もいます。人にも物にも執着しないため、嫌になったら去ればいいと思うことがあります。楽観主義者の人生観は悲観主義の人からみるとうらやましい性格に見えることでしょう。
辞める際、いつも心に「怒りがある」という人は強い他責思考があることが多いです。たとえば怒られたりしたとき、自分にも非があるとは考えず、他人や環境が悪いから自分が怒られているという理不尽な感情があり、それが怒りとなります。そのため仕返しをしたいという気持ちになり、無断欠勤をしたり約束をドタキャンしたり周囲に迷惑をかけることもあります。
では、逃げ癖をそのままにしているとどうなるのでしょうか。逃げ癖は悪いケースだけではないことも前提として考えてみたいと思います
他人と関係を構築していくためにはある程度の時間が必要です。最初は話しかけにくかったが単に人見知りだった、あるとき趣味が合うことがわかり親しくなった、ぶっきらぼうだけど実はさりげなく仕事のフォローをしてくれた、など関わる時間の中で相手の人間性が見えてきて、そこに信頼関係が生まれます。人間が社会性を持った生き物である限り、信頼関係がある人が周囲にいることは生きるうえでのアドバンテージになりますが、逃げ癖があると深い信頼関係を築きづらい傾向があります。
将来すごくお金持ちになりたいと思う人もいれば、生きていける分があればいいと思う人もいます。それは個人の価値観ですからどちらも否定するものではありません。しかし仕事を続けて成果を出せば経済的に豊かになっていく可能性は確実に高くなり、逆に逃げ癖により仕事が続かなければ経済的に困窮する可能性は高くなります。
若い人はピンとこないかもしれませんが、年齢とともに体力は落ちてきます。そうなると「一人でどうにかなる」ということは少なくなってきます。先述したように、逃げ癖のある人は信頼できる人間関係が希薄になりがちです。体が弱ったときに頼れる人がいないことはメンタルの不安につながります。さらに、経済的に苦しい場合に安心して医療を受けることができないとメンタルの悪化に拍車をかけることにもなりえます。「困難に耐える」というエネルギーも若い時の方が高いことを心にとめておいてください。
ここで、「逃げ癖」を直したいと思っている人に向けて、ひとつの方法をご紹介したいと思います。まず紙を用意して、これまで逃げてきたものを羅列し、その時の「状況」と「心の状態」をわけて書き出してみましょう。
このように書き出すと、業務における向き不向きが明確になるとともに、心の弱点も見えてきます。例えば、仕事を長続きさせるためには、
・体力勝負の仕事は避ける
・通勤時間が長い場合引っ越しなど対策をする
・恋愛に依存しがちなので仕事に慣れるまでは恋活をしない
・調理や修理など黙々と作業することが得意なのでそういった仕事を選ぶ
など自分だけの「仕事を長続きさせるためのマニュアル」ができます。マニュアルがあれば逃げたくなった時に「引っ越しをしてみよう」とか「部署異動をお願いしてみよう」など、仕事を続けるための対処方法がみえてきます。
このマニュアルは、一度作って終わりではなく、経験によって改訂を重ねていくことがポイントです。自分自身を知ることで逃げ癖は少しずつ直ってきます。
まずは、自分自身の逃げ癖を整理してみることが克服への第一歩です。
そもそも適当に生きている人は「逃げ癖がある自分が今後何十年も働いていけるだろうか」と不安になったりしません。真面目で繊細だからこそ、そのような不安がわいてくるのです。ですので、その不安は真面目さゆえであり、それは自分の強みでもあると認識してください。
最初の業務が自分にピッタリ合うことは稀ですから、まずは自分の強みである真面目を武器に、与えられた仕事に一生懸命取り組むことに集中しましょう。そのうえで「逃げたい」という気持ちがわくのであれば、それはあなたが弱いだけではない可能性があります。
そういう時は、書き出して心を整理したり専門家に相談したりすることも選択肢のひとつです。
「困難を乗り越えて回復する力」のことを心理学用語でレジリエンスと言いますが、近年ビジネスの世界ではレジリエンスが高い人材に注目が集まっています。
すべて逃げるなということではなく、逃げる場面では逃げてよいけれど、心の回復力もつけていくという方が重要です。逃げ癖と向き合って少しずつ自身のレジリエンスを身につけていきましょう!
(小日向るり子)
※画像はイメージです
【著者プロフィール】小日向るり子
「カウンセリングスペースフィールマインド」代表。心理カウンセラー。一般社団法人日本産業カウンセラー協会認定産業カウンセラー。JAAアロマコーディネーター。恋愛、人間関係、メンタルヘルスなど多くの悩みにカウンセリングを行っている。恋愛や心理系コラムの執筆やメディア出演、監修も多数おこなっている。2023年4月までの相談件数は約5500件を超える。
オフィシャルサイト:http://feel-mind.net/
X(旧twitter):https://twitter.com/ruriyakko1...
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