「目くじらを立てる」とは?意味や正しい使い方、類語を解説【例文つき】

2024/01/31

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「目くじらを立てる」という言葉を聞いたことがありますか? 例えば、厳しい表情で誰かを追求している人に対して、「そんなに目くじらを立てなくても」と誰かがなだめるのを見たことがあるのではないでしょうか? 

その場にいれば、何となく、険しい表情でイライラしている印象を持つかもしれませんね。正確にはどのような意味なのか、そしてどのように使えばいいのか。例文や類語なども交えて解説します。


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「目くじらを立てる」とは?

「目くじらを立てる」とは、他人の欠点をさがし出して、けちをつけたり、とがめたりすることです。詳しい意味や由来を掘り下げてみましょう。

「目くじらを立てる」の意味

「目くじらを立てる」とは? 辞書には次のように書かれています。

【目くじらを立てる】
(目をつりあげて)ささいな事を、むきになってとがめる。他人の欠点をさがし出して、けちをつける。
(『広辞苑 第七版』岩波書店)


このように、「目くじらを立てる」とは、「取るに足らないことをむきになってとがめたり、あらさがしをしてけちをつけたりすること」という意味です。

「目くじらを立てる」の語源・由来

「目くじらを立てる」が、他人の欠点をさがし出して、けちをつけたり、とがめたりすることを意味するようになったのは、そもそも目くじらを立てたときの表情ありきです。

「目くじらとは、目に鯨(クジラ)? 何のこと?」と思ってしまいそうですが、クジラとは無関係で、語源も不明です。意味は、「目の端。目角(めかど)。目尻」のこと。その目尻を「立てる」とは、横になっている目尻を縦にするわけです。すると、目を吊り上げた険しい表情になりますね。穏やかで寛容な心がそこにないことは、容易に想像がつくでしょう。

つまり、どこか欠点はないかと、人の粗(あら)を探したり、ささいな失敗をとがめたりするときの鋭い目つきが、目くじらを立てた状態です。

そこからやがて、表情だけでなく、他人の失敗や欠点をムキになってとがめたり、けちをつけたりする行動や言動についても「目くじらを立てる」と表すようになったのだと考えられます。

ただ単に文句を言うことではなく、「ささいなことを」「ムキになって」という点が特徴的ですね。

「目くじらを立てる」の正しい使い方・例文

ここまでで分かるように、「目くじらを立てる」は単純に文句やクレームを言うわけでなく、欠点をわざわざ探してけちをつけたり、ささいなことをとがめたりする場合に使います。あまり良い印象の言葉ではありませんが、前向きに転換したい場面で、避けたい言動・行動の例として取り上げることはできるでしょう。

ここでは「目くじらを立てる」の使い方を、例文を使って説明します。

例文1

ささいなミスや欠点を執拗に追求することは非効率な場合があります。そんな時に「目くじらを立てずに、〜しよう」という使い方ができます。例えば、ブレスト(ブレーン・ストーミングの略)のような場面で次のように使えます。

ブレストなので、こまかいことに目くじらを立てず、なるべく多くの意見を出し合いましょう。

例文2

人材育成では、細かいことをあげつらうことはメリットがありません。「目くじらを立てるほどのことでもない」という表現で、前向きな方針を示すことができます。

彼は確かにミスをしたが、かといって目くじらを立てるほどのこともない。

例文3

他人の粗探しをする人に対しては、次のような言い方でおだやかになだめるのも一案です。

そんなことでいちいち目くじらを立てるものではありません。優秀なあなたには、もっと大人の振る舞いを期待していますよ。

「目くじらを立てる」の類義語・言い換え表現

「目くじらを立てる」と同じような意味を持った類語を紹介します。言い換えたい時に活用してください。

1)目に角を立てる

読みは「めにかどをたてる」。怒って鋭い目つきをすること。「目くじらを立てる」と全く同じ意味です。

2)とがめる

「とがめる」は「咎める」。過ちや罪などを取り立てて責めること。「目くじらを立てる」のように粗探しをすることは含まれていませんが、似たような意味です。

3)非難する

読みは「ひなんする」。欠点や過失などを取り上げて責めること。「目くじらを立てる」のように粗探しをすることまでは含まれていませんが、似たような意味です。

「目くじらを立てる」の対義語

「目くじらを立てる」と反対の意味を持った対義語を紹介します。逆の意味を表したい時に
ニュアンスを踏まえて活用しましょう。

1)大目に見る

読みは「おおめにみる」。少々の欠点や失敗をとがめず、寛大に接すること。「目くじらを立てる」とは逆の意味です。

2)目を瞑る

読みは「めをつぶる」。見てみないふりをすること。「目くじらを立てる」とは逆の意味です。

3)見過ごす

読みは「みすごす」。見ていながらも、とがめないこと。「目くじらを立てる」とは逆の意味です。

4)黙認する

読みは「もくにんする」。知らないふりをして、見逃すこと。黙って、認めること。「目くじらを立てる」とは逆の意味です。

5)恕する

読みは「じょする」。「寛恕」の「恕」です。思いやりの心をもって許すこと。「目くじらを立てる」とは逆の意味です。

まとめ

「目くじらを立てる」という語を聞いたことがあっても、ただ単に文句やクレームを言うことだと考えていた人もいるのではないでしょうか。単なる文句ではなく、わざわざ粗探しをして見つけたことや、取るに足らないことをムキになってとがめるという意味です。あまりほめられた態度ではありませんね。目くじらを立てず、大目に見る人でありたいと思います。

(前田めぐる)

※画像はイメージです

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【著者プロフィール】
前田めぐる(文章術講師)

コピーライターとして「言葉と文章」に関わり続けてきた経験をもとに、企業・自治体・団体向け広報講座の講師を務める。ワークを取り入れた文章術研修では‘伝える’を‘伝わる’に変換する文章の書き方を伝授。「楽しくて分かりやすく、すぐ実務に活かせる」と定評がある。

執筆・ライティングの専門領域は、【言葉・敬語・文章術・マーケティング・リスクコミュニケーション】。公益社団法人日本広報協会広報アドバイザー、文章術講師。著書に『この一冊で面白いほど人が集まるSNS文章術』『前田さん、主婦の私もフリーランスになれますか?』など。京都在住。

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