「悪びれる」とは? 正しい意味や読み方、類語を解説【例文つき】

2023/12/25

ビジネス用語

「悪びれる様子もなく」「悪びれることなく」という否定を伴った言い回しでよく使われる「悪びれる」。この言葉には、「気おくれした卑屈な振る舞いをする」という意味があります。

しかし、回りくどい表現のために、「悪い態度をとる。ふてぶてしい様子」と意味を取り違えてしまう例も多いようです。「悪ぶる」との取り違え、読み違えもあるのでしょう。

誤解や誤用の多い「悪びれる」について、正確な意味や使い方、例文、類語や反対語などを解説します。

「悪びれる」とは?

ここでは、「悪びれる」の正確な意味を解説します。なぜ誤用が起きやすいのか、使い方の注意点なども押さえておきましょう。

「悪びれる」の意味は?

「悪びれる」は、常用漢字外の文字も使うと「悪怯れる」です。「わるびれる」と読み、次のような意味があります。

【悪怯れる】わるびれる
(多く下に打ち消しの語を伴う)
気おくれして卑屈な様子をする。未練がましく振る舞う。わろびる。
(『広辞苑 第七版』岩波書店)


続けて、「わろびる」も調べてみましょう。

【悪怯る】わろびる
悪怯れる。気おくれして見苦しい様子になる。
(『広辞苑 第七版』岩波書店)


「悪びれる(悪怯れる)」と「わろびる(悪怯る)」が同じ意味であることが分かります。「悪びれる」は「気おくれして見苦しい振る舞いや卑屈な様子を見せる」という意味の言葉です。

「悪びれる」の語源・由来は?

「悪びれる」が、「気おくれして見苦しい振る舞いや卑屈な様子を見せる」という意味であることは分かりました。しかし、なぜそのような振る舞いをするのでしょうか? どんな理由があるのでしょうか? 「悪」「怯」という文字に、そのヒントがあります。

「悪」は、「悪いこと」。「善・良」の逆です。 道徳的に悪いことだけでなく、失敗なども含まれると考えて良いでしょう。また、悪くはなくても「怖い・つらい・恥ずかしい」という気持ちから 気おくれしている場面でも使えます。

さらに、「怯」には、次のような意味があります。

【怯】キョウ・コウ・おび-える・ひる-む
こわがってびくびくする。しりごみする。おびえる。ひるむ。
(『例解新漢和辞典』三省堂)


堂々と振る舞えず、負い目を感じるのは、悪いことをした時や、相手やその場が怖くて気おくれしてしまう時です。 怖気づいた結果、見苦しく、卑屈な振る舞いになってしまうのですね。ふてぶてしさとは真逆の弱々しい印象です。

「悪びれる」は誤用が多い? 使う際の注意点

冒頭で紹介したように、「悪びれる」は「悪びれる様子もなく」「悪びれることなく」という否定を伴った表現でしばしば使われます。そのために、意味の混乱が起きやすいようです。また、「悪」という文字の印象から逆の意味に取り違えたり、「悪ぶる」と聞き間違えたりする例も見られます。正しい意味を理解して、正確に使いましょう。

1)「悪びれる」と「悪びれない」

「悪びれる」と「悪びれない」は互いに逆の意味ですが、混同してしまう例も多いようです。ここで、2つの言葉の違いを改めて確かめておきましょう。

・悪びれる=悪いことをしたり、怖くて気おくれしたりした時に、見苦しく卑屈な振る舞いをする。

・悪びれない=悪びれる様子がない。悪いことをしたり、気おくれしたりしそうな場面で、負い目に感じたり、卑屈に振る舞ったりする様子がない。


「悪びれない」は「悪びれる」とは逆の意味です。「あの人は少しも悪びれないで、ふてぶてしいね」などと使えます。

2)「悪びれる」と「悪ぶる」の取り違え

「悪びれる」との聞き間違いが起きやすい言葉に「悪ぶる(わるぶる)」があります。しかし「悪ぶる」は「悪者であるかのように振る舞う」という意味です。「悪びれる」とは関係なく、全く別の意味なので、取り違えないよう気をつけましょう。

3)「悪びれる」には「反省する」という意味はない

「悪びれる」には、たとえ悪いことをしたという前提で使う場合でも、「反省する」という意味までは含まれていません。例えば、「彼は、レジのお金を盗んだことを悪びれた」という表現に「反省した」という意味は必ずしも含まれていないのです。あくまで「悪びれる」は「見苦しく卑屈な様子を見せる」というニュアンスで使います。

「悪びれる」のビジネスでの使い方・例文

「悪びれる」を使えるのは、次のような場面です。

・強い人や地位が高い人の前で、恐縮して気おくれする。臆する。

・容疑者や犯人が、おどおどしたり、卑屈な態度をとったりする。

・能力や身なりなどが劣っていることを気にして、こそこそする。気おくれする。

・自分の苦痛などを表にあらわす。つらがる。苦しがる。

・別れなくてはいけない人に未練がましくふるまう。

・人前などで気おくれしておどおどする。恐縮する。恥ずかしそうにする。


以上を踏まえて、ビジネスシーンで使える状況を、次に紹介します。

ビジネスでの成否に関する使い方

「悪びれる」の「悪」は、「善・良」の逆です。つまり、「道徳的に悪いこと」だけでなく、「悪い結果」も含まれます。失敗したことで卑屈に振る舞っている様子を表すことができます。

<例文>

プレゼンに失敗した直後の彼は悪びれた態度だったが、翌日からは気を取り直して次の仕事に取り掛かった。

気おくれしそうな場面で部下を奮起させる時の使い方

地位やスキル、身なりなどがその場にそぐわない場合も悪びれた様子になるでしょう。そんな部下を励ましたい時、次のように使えます。

<例文>

悪びれることはない。あなたの提案は素晴らしいのだから、安心して堂々と発表してきなさい。

部下に忠告や質問をする時の使い方

勤務態度が好ましくないのに、まったく悪いと感じていない部下に対して、上司から次のように使うことができます。

<例文>

〇〇さんはこのところ遅刻続きなのに、悪びれる様子もないのはどうしてですか。

取引先の様子を社内で報告する時の使い方

<例文>

A社のご担当者は悪びれる風ではありましたが、上司の〇〇部長から「最終的な責任は御社にある」と突っぱねられてしまいました。

悪いことをした自覚がない人の様子を伝える時の使い方

<例文>

その秘書は、収賄容疑で捕まった時にも、少しも悪びれる様子がなかった。

「悪びれる」の類語・言い換え表現

「悪びれる」に似た意味を持つ類義語はいくつかあります。言い換えたい時に、微妙なニュアンスを把握して使い分けてみましょう。

1)恥入る

読みは「はじいる」。自分の行動や言動、身なり、スキル不足などを恥ずかしく思うという意味です。「悪びれる」と似ていますが、卑屈に振る舞うという意味までは含まれていません。

2)臆する

読みは「おくする」。相手が強かったり、重責を負わされたりなど、置かれた状況に気おくれして恐れることを意味しています。生来の性質である場合もあります。気おくれする点では「悪びれる」と非常によく似ていますが、自分だけに非があるわけではなく、「悪いことをしたから」という前提は含まれていません。

3)気が引ける

読みは「きがひける」。気おくれするという意味です。「悪びれる」との違いは、「気が引ける」が感情表現に留まっている点です。卑屈に振る舞う、見苦しい態度を取るという意味は含まれていません。

「悪びれる」の対義語

「悪びれる」と反対の意味を持つ言葉です。

1)開き直る

読みは「ひらきなおる」。急に、正面切った態度や厳しい態度に切り替わる様子を意味します。悪いことをしたり失敗したりしてもふてぶてしいさまを表す時によく使われます。

2)図太い

読みは「ずぶとい」。人の言葉や人目を気にすることなく平気な様子を意味する言葉です。謝罪が必要な場面だけでなく、日常的な態度に関しても使われる言葉です。

3)ふてぶてしい

開き直った図々しい態度を表します。卑屈に振る舞う「悪びれる」とは真逆の意味です。

まとめ

誤用や意味の取り違えを防ぐ一番の方法は、間違えやすい理由や背景を知ること。今回の「悪びれる」についても、正しい意味と使い方だけでなく、なぜ誤用が起きるのか、その奥にある理由や背景を探ってみました。

理由に納得できると理解が定着します。正しく使い、さらに表現することを楽しんでもらえたらうれしく思います。

(前田めぐる)

※画像はイメージです

【著者プロフィール】
前田めぐる(文章術講師)

コピーライターとして「言葉と文章」に関わり続けてきた経験をもとに、企業・自治体・団体向け広報講座の講師を務める。ワークを取り入れた文章術研修では‘伝える’を‘伝わる’に変換する文章の書き方を伝授。「楽しくて分かりやすく、すぐ実務に活かせる」と定評がある。

執筆・ライティングの専門領域は、【言葉・敬語・文章術・マーケティング・リスクコミュニケーション】。公益社団法人日本広報協会広報アドバイザー、文章術講師。著書に『この一冊で面白いほど人が集まるSNS文章術』『前田さん、主婦の私もフリーランスになれますか?』など。京都在住。

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