企業型確定拠出年金なら、ふるさと納税よりも便利でお得?

2020/08/31

税金・年金

企業型確定拠出年金は企業が掛金を拠出してくれますが、マッチング拠出なども自分で掛金を拠出していれば、税制優遇制度の対象となります。同じ税制優遇制度の対象である「ふるさと納税」と比べてどちらがお得なのでしょうか。
(監修協力:野原 亮)

企業型確定拠出年金 ふるさと納税 お得

ふるさと納税よりも税制面で優れている企業型確定拠出年金

企業型確定拠出年金は、ふるさと納税よりも税制の面で優れていると言えます。

企業型確定拠出年金は、給与から企業が引いて積み立てを行ってくれるものですが、掛金として拠出した分は給与収入とみなしませんので、それにかかる税金(所得税・住民材)は非課税ですし、社会保険料(健康保険・厚生年金保険料など)の算定対象にもなりません。
その結果、標準報酬月額(4~6月の平均報酬額)の等級が下がれば、その分の社会保険料も軽減されます。

拠出可能金額は、月額最大55,000円(年額660,000円)となっていますが、ほかの企業年金にも加入している場合は拠出可能額が月額27,500円(年額330,000円)となります。

一方で、ふるさと納税によって受けられる控除は寄付金控除となり、年収・家族構成・居住地域によって上限額が異なりますが、例えば1,000万円の年収がある共働き夫婦の場合、172,000円が限度額(2020年8月時点)となります。
年間で最大660,000円の拠出が可能な企業型確定拠出年金の方が、より多くの節税効果を受けられることがわかります。

ただし、企業型確定拠出年金は、制度の利用を始めると途中で辞めることはできなくなります。ふるさと納税は毎年やるかやらないかは自由なので、その点はよく考えておきましょう。

企業型確定拠出年金とふるさと納税の併用によるメリット

では、企業型確定拠出年金とふるさと納税を併用したらどうなるのでしょうか。この場合、まずは収入から確定拠出年金の掛金拠出の金額分が引かれ、さらに給与所得控除が差し引かれ、給与所得が算出されます。

企業型確定拠出年金の所得計算

次に、ふるさと納税分やマッチング拠出分などの「所得控除」が差し引かれ、「課税所得」が算出されます。

ふるさと納税ための所得計算


この「課税所得」の金額によって、所得税や翌年の住民税が決まります。

また、ふるさと納税の控除限度額の目安は以下のようになりますが、寄付金額や控除限度額には上限があります。


控除限度額の目安=「住民税所得割額×20%/(90%-所得税率×1.021)」+負担金2,000 円

このように、企業型確定拠出年金とふるさと納税はそれぞれ、所得税と住民税を軽減することができます。ですから、併用することでより大きな節税を狙うこともできるというわけです。

併用する際の注意点について

上記のように、税制優遇制度を十分に活用できる企業型確定拠出年金とふるさと納税の併用ですが、注意点もあります。それは、企業型確定拠出年金に拠出すると給与収入や給与所得も下がりますので、ふるさと納税の控除上限額も下がるという点です。ですから、計算には必ず課税所得を使いましょう。

また、所得控除には企業型確定拠出年金のマッチング拠出の掛金だけでなく、医療費控除や生命保険料控除、住宅ローン控除なども含まれます。これらの所得控除もきちんと踏まえて計算し、節税を行いましょう。

まとめ

企業型確定拠出年金は、会社拠出の金額が全額収入とみなされませんので、ふるさと納税より大きな節税効果が期待できます。しかし、併用すればさらに節税できる場合もあります。しっかり計算して税制優遇制度を有効に使いましょう。

(学生の窓口編集部)

監修協力:野原 亮(のはら りょう)
確定拠出年金創造機構 代表。証券営業、株式ディーラー、営業マーケティング会社を経てFPとして独立。中小企業の確定拠出年金を中心とした福利厚生の社外担当として活動。上場企業等の金融研修なども担当している。
https://fpsdn.net/fp/rnohara/

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