日本には、将来に備えるための年金制度として公的な国民年金・厚生年金の他に、私的な年金制度が存在します。個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」も私的な年金制度の1つで、自分の自由意志で積み立てつつ、税の控除が受けられますが、厚生年金基金など、他の私的な年金制度と併用はできるのでしょうか。解説していきます。
(監修協力:鈴木幸子)
一般的に年金と言えば、公的年金と呼ばれる国民年金と厚生年金に加え、私的年金と呼ばれるiDeCoや企業年金があります。
iDeCoとは、自らの意思で毎月積み立てを行いながら、あらかじめ用意された金融商品を運用し、60歳以降に年金または一時金として受け取る制度のことをいいます。公的年金にプラスして一定金額を受けとることができるため、「自分で作る年金制度」とも呼ばれています。
一方、企業年金とは、企業に勤める会社員などが、在職期間中に積み立てを行い、退職後に受給できる年金や、企業から支払われる退職金のことなどを言います。在職期間中には、国民年金にプラスして、従業員が5人以上の場合は厚生年金への加入が義務付けられています。
企業に所属しながら積み立てる公的年金に加えて、企業によっては厚生年金基金(現在は新設なし)や、確定給付企業年金といった私的年金制度を利用し、より多くの金額を積み立てている場合もあります。
つまり企業年金には、在職中に支払いを行った「国民年金+厚生年金+私的年金(あれば)」が含まれているのです。
ここまでの説明で、企業年金に加えてiDeCoも併用できれば、それだけ多くのお金がもらえるのでは? と気づく人も多いでしょう。iDeCoと厚生年金基金などの企業年金(他に確定給付企業年金、共済組合など)はいずれも私的な年金制度であり、併用が可能です。
ただし、これらの企業年金に加入している場合はiDeCoで拠出できる掛金の上限額が異なり、月額12,000円が上限。企業年金がなく、厚生年金のみ加入している会社員の場合なら、iDeCoの上限額は月額23,000円となります。
iDeCo(個人型確定拠出年金)と同じく“確定拠出年金”という言葉が使われている企業型確定拠出年金は、企業がお金を積み立て、各個人がどのように運用するかを決められる制度です。iDeCoとの違いは、簡単に言うと企業か個人かどちらがお金を出すかです。
iDeCoと企業型確定拠出年金は、原則として併用できません。しかし、企業が企業型確定拠出年金の規約としてiDeCoへの加入を認めている場合には、併用が可能となります。その場合、iDeCoの上限額は以下のようになります。
実際に加入できるかどうかは、勤め先の企業の人事や労務担当者に確認してみましょう。
国民年金基金とは、国民年金の第1号被保険者(自営業やフリーランスなど)のために、国民年金に上乗せできる制度です。iDeCoとの併用ができ、iDeCo同様、掛金は全額所得控除の対象になり、一度加入すると任意で脱退することはできません。掛金の上限は両方合わせて月額68,000円となっています。
iDeCoは私的な年金制度であり、同じように私的な年金制度である国民年金基金などの上乗せ制度と併用することができます。ただし、併用する制度によってiDeCoの拠出上限額が異なりますので、その点には注意しましょう。
(学生の窓口編集部)
監修協力:鈴木幸子
2010年よりFP活動を始め、子育てファミリーの家計相談、住宅購入相談を実施。フジテレビLive it Newsでコメンテーターを務めるなど、地元金融機関、住宅メーカーでの講演実績を持つ。保有資格AFP・証券外務員2種・相続診断士。
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