売上総利益は、「商品(サービス)が稼ぐ力」や「付加価値を生み出す競争力」などとも呼ばれ、企業がある商品やサービスを売って、どのくらいの儲けが出たのかを表します。実際にどのように算出するのか、計算方法について解説します。
【監修協力:資格の大原(社会人講座)】
まず、売上総利益の計算方法は以下のような式で表されます。
「売上高」は、実際に商品、製品、サービスを売って得たすべてのお金です。
一方、売上原価とは、売った商品を仕入れるのにかかった費用や製品を作るのにかかった費用のことです。製品を作るのにかかった費用には、原材料費のほか、製品を直接作る人の給料(人件費/労務費)も含まれます。
例えば、A社とB社が同じ内容の商品を取り扱っているとします。どちらも400万円の売上高を得ましたが、A社は独自の仕入れルートやノウハウを持っていたため、売上原価が100万円に抑えられたのに対し、B社は売上原価が200万円かかったとします。すると、A社の売上総利益は400-100=300万円、B社の売上総利益は400-200=200万円となります。A社の商品はB社の商品の1.5倍の利益を出すことができたことになります。
このように、A社が売上原価を抑えられた仕入れルートやノウハウが「競争力」ということになります。その分、付加価値(利益)が上乗せされ、売上総利益も上がったと考えられるのです。
また、次のような事例ではどうでしょうか。C社とD社は同じように50万円で商品を仕入れました。C社はテレビCMや、SNSでの口コミなどを通じて付加価値を高め(ブランディング)、120万円の売上高を得ました。一方、D社は宣伝活動の費用を抑えたため、売上高は80万円でした。
この場合、C社の売上総利益は120-50=70万円、D社の売上総利益は80-50=30万円となり、C社は商品により高い付加価値をつけることができた(=商品の稼ぐ力を上げた)と言えるでしょう。
ここで気をつけたいのは、売上原価に含めることができるのは、実際に売った商品の原価だけということです。つまり、仕入れたけれど売れなかった商品の仕入値は、売上原価に含まれません。
ですから、より正確に売上原価を計算するときは、以下のような計算式を使います。
「期首商品棚卸高」とは、前回の決算期から残っている売れ残り分の仕入れ値です。
それに、今回の新たな商品の仕入れ値である「当期商品仕入高」を加え、そこから今回の決算期に売れ残った在庫の金額である「期末商品棚卸高」を差し引くと、今年売れた商品の原価である売上原価が計算できます。
売上総利益は、売上高から売上原価を引いて求めます。売上高を上げるか、売上原価を抑えれば売上総利益を上げることができます。商品の競争力や付加価値が、企業ごとにどれほどであったのか知ることができます。
(学生の窓口編集部)
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