利益って何? 定義や売上との違い、利益算出の仕組みを解説

2020/09/01

お金の知識

企業が事業を運営していく上で、最も大切なものが利益です。利益を得るために、企業ではさまざまな工夫が行われています。ここでは利益の意味や種類などを知ることによって、企業活動とどのように結びついているのか考えていきましょう。

【監修協力:資格の大原(社会人講座)

利益 売上

利益の意味、算出の仕方について

利益とは、会社にとって「儲け」を意味するものです。

「どれだけ売れたか」ということが利益だと勘違いしてしまいがちですが、それは売上を指します。利益は「どれだけ儲けたか」を示す言葉になります。

例えば売上が100万円あっても、費用が40万円と30万円の場合では、儲けた金額は異なります。つまり企業が一定期間の活動の中で、どれだけお金を増やすことができたかを測る指標が利益なのです。
言い換えると、会社がどれだけ稼ぐ力を持っているかということです。

企業活動を行うには、様々なお金が必要です。材料の仕入れをはじめ、人件費、店舗運営費、宣伝費など、商品以外にも多くの費用がかかります。このような費用が調達できなければ、会社の運営できなくなりゆくゆくは倒産してしまいます。

そのため企業が自力でお金を調達するには、利益を重視しなければならないのです。

利益を生み出す仕組みについて

利益は売上と費用から成り立つものなので、売上を増やすか、費用を減らすかが、利益を生むための基本的なポイントです。  

例えば、企業は規模を拡大するために従業員を雇ったとしましょう。従業員を新たに雇うことで、人件費は増加しますが、それによって事業の売上が費用(ここでは人件費)を上回ることができれば、利益はより大きくなります。 

一方で費用を抑えるためにコストカットを行います。事業を行う際に発生する無駄を減らすことができれば、売上そのものの変動はなくても、利益は増やすことができるのです。 

企業の運営では、いかに売上を伸ばしつつ、費用を抑える事業戦略を組み立てることが重要となっています。

具体的に利益を計算してみよう!

利益は「売上―費用」で求めることができます。

例えばある会社で1年目の売上が100万円あり、40万円の費用が発生した場合、利益は60万円となります。

ではもう一歩踏み込んで、翌年の売上が同じく100万円で、費用は30万円に抑えることができたとします。
この場合、利益は70万円です。比較する期間の売上が同じであっても、そこからより多くの利益を得ることができていれば、会社にとっては効率的といえます。このように売上高に対し、どれだけ利益が出せているかを知るためのものを「利益率」といいます。

利益率は「利益÷売上高×100」で求めます。利益率が高いほど、売上から多くの利益を得ることに成功していることがわかります。
冒頭の例を用いた場合、1年目の利益率は60万円÷100万円×100=60%。そして翌年は70万円÷100万円×100=70%となります。そのため、1年のうちに10%利益率が上昇していることがわかります。

利益や利益率は、今後どのような経営を行っていくのかを考えるための材料となり、利益率の上昇や下降によって、売上をさらに上げるのか、費用を減らすべきかどうかなど、さまざまな経営戦略を打ち立てていきます。

そのため、経営者は利益を重視するのです。

売上と営業利益、経常利益などとの違いは?

実際の会計では、もっと複雑で、まず売上から仕入れなどで発生する費用「売上原価」を引いたものを、「売上総利益」または「粗利」と言います。

そしてこの売上総利益から、人件費や通信費などの費用(販売費および一般管理費)を差し引くと、「営業利益」が算出されます。
この営業利益に営業外収益を足し、銀行の借入利息といった営業外費用を差し引いて経常利益を出し、経常利益に臨時的な利益(特別利益)を足し、臨時的な損失(特別損失)を差し引いて出るのが、税引前当期純利益。
最終的に、税引前当期純利益から法人税などを差し引いた利益が当期純利益となります。

この当期純利益が、企業にとって今年度の成果として見るべき最終的な数字なのです。


まとめ

利益といっても、算出方法によってさまざまな種類があります。これらの利益を理解することは、事業がどんな状態なのか考えられるようになる一歩なので、金額の多い少ないだけでなく、その数字の意味するところも理解できるようになっていきましょう。

(学生の窓口編集部)

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