減価償却費を算出する方法については、主に毎年同じ額を費用に計上する「定額法」と資産として残った価値に対して一定の割合の額を費用計上する「定率法」があり、どちらが方法として適しているかについては、企業のその時の状況で判断します。いずれにしても簡単な計算で算出できます。減価償却の仕組みを把握して、賢く活用できるようにしていきましょう。
【監修協力:資格の大原(社会人講座)→https://www.o-hara.ac.jp/best/】
企業の資産には大きく分けて、有形固定資産と無形固定資産があります。
有形固定資産に分類される勘定科目は、自動車、建物および附属設備、構築物、船舶、工具、機械、備品などです。同じ有形固定資産であっても、土地や美術品・骨とう品(100万円以上)などは使用することで摩耗・消耗するものではなく、価値も下がりにくいのでほとんどの場合、減価償却の対象外となります。
無形固定資産に分類される勘定科目は、ソフトウェア、商標権、特許権、実用新案権、意匠権、営業権などです。借地権や電話加入権については、経年劣化が起こらないという考えになりますから、減価償却はできません。
また一般的には、使用期間が1年未満のもの、価格が10万円未満のものは、全額を取得した年の費用として計上します。
計算する際のポイントとして押さえておきたいのは、資産を購入するためにかかった「取得原価」、資産を使用できる「法定耐用年数」、資産が利用不可能になったときの処分価額である「残存価額」です。もし企業が、自社で自由に減価償却費を決めることができれば、利益操作や脱税などの問題が発生する恐れがあります。そこで税の公平性・透明性のために、上記のような客観的な計算方法が規定されています。
これらの指標の中でも、減価償却を行う期間を示す「法定耐用年数」が重要になります。
法定耐用年数とは、減価償却の対象となる資産が使用できると予想される年数のことです。個々の資産を個別に判定するのは不可能なので、あらかじめ資産ごとの耐用年数が法律で定められています。建物は11~50年、自動車は3〜6年、工具は2~8年、机は8~15年、イスは5~15年、看板は3年、機械は3〜17年です。もちろん、実際の利用年数と異なっても問題はありません。
各々の耐用年数を見てみると、各資産で不具合が出始める頃までを期間として定めているようです。
減価償却を行う際は、主に毎年同じ額を費用に計上する「定額法」や、資産として残った価値に対して一定の割合の額を費用計上する「定率法」が用いられます。企業の判断や資産によっても異なりますが、定額法を用いるのが一般的です。
計算の簡単な定額法の場合、計算方法は以下のようになります。
例えば、100万円の応接セットを法定耐用年数10年とした場合に、1年後には価値が1/10減ると考えます。こうして算出した価値の減り分である10万円を減価償却費として計上することができます。
実際には、用途や材質によっても耐用年数は異なるものでしょうが、詳細については国税庁のホームページに耐用年年数表が用意されていますので、参考にしてください。
減価償却費の計算方法は、税の公平性といった考えから規定されています。
定額法は毎年同じ額、定率法は償却費が最初は高く、年を経るとともに減少していきます。企業は、この2つのうちのどちらかを選択しています。
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