新社会人からリアルな悩みを募集し、独自の視点からアドバイスをもらうこの「新社会人のお悩み相談室」。今回は、「苦手な上司やお客さまがいて会社に行きたくない」というお悩みに、営業係長として活躍する傍ら、TwitterやWebサイトでは「しんどいオカマ」としてさまざまな悩みに答えるBSディムさんが回答します。
イラスト:ともわか
どうも、みなさんごきげんよう。
昼間はマジメに営業係長として勤めるも、夜は勝手気ままに腰を振りながらネオン街をねり歩くアラサーのオカマです。
現代社会の荒波の中で、不本意ながら酸いも甘いも噛み分けてきた「中堅社会人オカマ」として、今回から新社会人のみなさんのお悩みをお聞きすることになったわ。
でも、いいこと? オカマに相談したからって、何でもズバリ解決できると思っちゃダメよ。
最後に道を切りひらくのは……あなた。
それではさっそく、最初のお悩みを見ていきましょう。
今でも思い出すわ。アタシね、福利厚生が完璧な、いわゆる優良企業と呼ばれる会社に新卒で就職したのよ。
だけど、そこでの人間関係は最悪だったわ。
お局さまからは毎日イビられていたし、先輩からは事あるごとにネチネチと嫌味を言われて、仕事もロクに教えてもらえなかった。
「なんでアタシがこんな屈辱を受けなきゃいけないのよ!」とハンカチを噛みながら、よく飲み屋でオカマ仲間に泣きついていたものだわ。
職場での人間関係がこじれると、仕事自体にも影響が出やすいのよね。
嫌悪感や恐怖心のような負の感情を持って仕事をすると、萎縮したり、緊張したりして、思わぬところでミスが発生してしまうものなのよ。
アタシも当時はケアレスミスを連発して、自分の持つ力の半分も出せていなかったように思うわ。
そんな環境に疲れきったアタシは、何年も考えた結果、転職に踏み切ったの。
相談者のあなたと同じで、「会社に行きたくない」という気持ちがどんどん膨らんで、ついには耐えられなくなってしまったのよね。
転職先は、福利厚生の面でいえば優良企業とは言いがたい、よくある地方の中小企業だったわ。
でも、人間関係は怖いくらいに良好だった。
上司はアタシの能力を認めてくれたし、同僚は誰ひとりとして、足を引っ張るような真似はしなかったわ。
そのおかげで、「どのように目の前の仕事に取り組むか」という純粋な一点だけを追求して仕事をすることができるようになったのよね。
人間関係がよくなって、仕事がしやすくなったことで、アタシは精神的に弱くなるどころか、むしろどんどん強くなっていったわ。
客先で嫌味を言われようが、上司と意見が食い違おうが構わないと思えた。
仕事で成果を出せたから、そこに自分の居場所ができたのよ。
人って、自分の確固たる立ち位置さえあれば、大抵のことでは動じなくなるものなのよね。
「今のアタシであれば、以前の会社のお局様や先輩のイビりにも負けないのに」と、ときどきぼんやり考えるわ。今さら、過去の何を変えられるわけでもないのだけど。
アタシは環境を変えることによって、自分を変えることができたの。
だから、相談者のあなたも、今の環境をどうにか変えようと努力しなくてはならないと思うわ。
決して、安易に「転職しろ」と言っているのではないわよ。
ただ、「このままひたすら孤独に、まわりが変わるまで耐え忍ぶ」という選択肢を選ぶのは賢明ではないと思うのよ。
嫌な上司が異動になるか、お客様との契約が切れるまで、じっと耐えるだけの時間はあまりに長すぎるものね。
味方になってくれる人を探して、支えてもらうのもいいかもしれない。
嫌な人たちとなるべく関わらないように先手を打ちながら、力をつけて立場を逆転させるよう動くのもいいかもれないわ。
もしくは、思い切って異動願いを出すのも手かもしれないわね。
いずれにせよ、指をくわえて待っているだけでは、人間関係の鎖に繋がれた今の状況も、後ろ向きになっている自分自身も変えることはできないのよ。
今回は、「上司やお客さまが苦手で会社に行きたくない」という質問に回答したわ。
どの道を選ぶにもそれなりの覚悟が必要になるけど、もちろん、ひとつの手段として、アタシのように転職に踏み切ることを視野に入れてもいいのよ。
たしかに、転職してすべてをリセットすることと、今の職場で着実にスキルを身につけることは、じっくりと天秤にかけたほうがいいけど……。
ただ、「どう転んでも、今いる場所が自分の居場所にならないこともある」とは、頭の片隅で覚えておいていただきたいわね。
アタシも、以前の職場と今の職場では、まるで世界そのものが違うと錯覚してしまうほど環境が違うもの。
運の要素も絡むものだから、無理なものは無理だと割り切る勇気も必要よ。
どれほどあがいても現状を変えられないと思ったら、気に入らない客がひとりいるだけでプンスカ言いながら行きつけを変えちゃうアタシたちオカマを、少しだけ参考にしてみてちょうだいね。ほんの少しだけでいいから。
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