ふだん何気なく使っている「お手数おかけします」の意味を説明できますか?
何気なく日常でも会社でも使っている言葉の意味を把握することで、使いどころや相手への配慮もできます。
そこで今回は「お手数をおかけします」という言葉について、意味や使い方など例文付きでわかりやすくご紹介します。
「お手数おかけします」とは、過去・現在・未来の事柄に対して
といった意味で使われます。
社会人になると迷惑をかけてしまった相手や、何らかの仕事を手伝ってもらった人に対して「すみません」や「ありがとうございます」と言う場面がいくつか存在します。
それをストレートに表現しないで遠回しにしたのが「お手数おかけします」という言葉です。
理解を深めるために、もう少し深堀してみましょう。
まず冒頭の「お手数」は、「手数」に「お」をつけて丁寧な言い方にしています。
「手数」には複数の手続きや工程を踏む必要がある事柄についてを指すため、以下のような意味合いが含まれています。
そして、「おかけします」はさまざまな意味を持っていますが、この場合は費用・労力などを負担させるというのが相当するでしょう。
それに「お」をつけて丁寧にし、相手に尊敬を表しています。
以上のことからわかるように、「お手数おかけします」は何かをしてもらうことに対する感謝の気持ちや、面倒や労力をかけさせてしまったことへの謝罪の気持ちを表現するフレーズです。
「お手数をおかけします」を使うシーンは、さまざまな年代や立場の人と接する日常生活や仕事など幅広くあると言えます。
職種や正社員、アルバイトを問わず、社会に出ると一緒に働く人の年代にも幅がありますよね。
また、取引先やお客様など自分より目上の人とコミュニケーションをとるケースが増えるでしょう。
立場が上の人に助けてもらったり面倒をかけてしまったりしたときに「お手数おかけします」というフレーズを使うと好感度がアップするのではないでしょうか。
後述しますが、できる限り「お手数をおかけいたします」と言ったほうが文法上正しく、丁寧です。
特に、書面にしたりメールを送ったりする場合であればなおさらでしょう。
現在では「お手数をおかけします」でも「お手数おかけします」でも両方を使うことがありますが、日本語の文法上正しいのは「お手数をおかけします」です。
「お手数おかけします」は、助詞の「を」を省略した形になります。
それぞれのシチュエーションによって使い分けると良いでしょう。
メールや文書など文字では文法上正しい「お手数をおかけします」としたほうが、相手への印象も良くなるためおすすめします。
「を」の発音の違いを聞き取ることが難しいことから、「お手数をおかけします」でも「お手数おかけします」でも差し支えないと言えます。
特に日常会話では「掃除した」「仕事する」などのように助詞が省略されることが一般的です。
ただし、助詞が省略されることにより軽い口調になってしまい、相手によっては悪い印象を与えてしまう恐れがあることを覚えておかなければなりません。
上司や目上の人との会話の場合は書き言葉だけでなく、話し言葉もできる限り「お手数をおかけします」と言うことを意識することをおすすめします。
では早速、お手数をおかけしますの使い方を例文で確認しましょう。
ビジネスシーンでも頻出する「お手数をおかけいたします」と「よろしくお願いいたします」の組み合わせ。
メールの文章の締めくくりでも良く登場しますよね。
前述の通り、相手への感謝の気持ちと手間やねぎらいに対する謝罪、協力を表すためさまざな年代の方に対して使用されています。
「お手数をおかけします」と「(誠に)申し訳ございません」の組み合わせも良く見かけますよね。
この組み合わせの場合、相手への謝罪が強く込められるようになります。
相手に対して手間が発生するであろう仕事を依頼する際や、頼みごとをする際はもちろん、例文のように過去に何かしらの手間がかかるフォローを入れてもらった際にも謝罪の気持ちが表現可能です。
ぜひ活用しましょう。
一言で相手への謝罪と感謝の気持ちを込めながらお願い事ができる「お手数をおかけします」という言葉ですが、使用時の注意点もあります。
特に上司や社外の人を含め、目上の人に手間をかけさせてしまう際は、より丁寧な表現の「お手数をおかけいたしますが、どうぞよろしくお願いいたします/ 何卒よろしくお願いいたします」を使いましょう。
「お手数おかけします」を実際に使う場合は、少なくとも「お手数をおかけいたします」とし、最後に「どうぞよろしくお願いいたします」や「何卒よろしくお願いいたします」と締めることをおすすめします。
「お手数をおかけします」は便利ですが、多用しすぎも相手に大げさな印象を与えてしまうでしょう。
丁寧に送ろうとするあまりに、1通のメール本文で何度も使用するのは控えましょう。
「お手数をおかけします」の「手数」は前述の通り、複数の動きや過程を踏む必要がある事柄についてを指すため、1回の動きで済む事柄や簡単な動きを伴うものに使うと不自然です。
何か物を取ってもらうなどの1つあるいは簡単な動きで済むような事柄の場合は「恐れ入りますが」や「すみませんが」とするほうが良いでしょう。
「お手数をおかけします」の言い換え表現は以下の通りです。
いずれも「お手数をおかけします」と同様、文末の締めくくりにも使えますし、何かをお願いする際のクッション言葉としても活用可能です。
「お手数おかけします」は現在についてだけでなく、過去に起こった事象や未来に起こりえる事象についても使えます。
そのうえ、相手が尊敬の気持ちを受け入れやすい言葉です。
「を」を省略することは口語表現では生じがちですが、メールや文書では省略せず正しい文法で書くことをおすすめします。
「お手数おかけします」の言葉を上手に使って感謝や謝罪の気持ちを表現して、ビジネスマンとして相手に正しく敬意を払いましょう!
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・執筆:山岸りん
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