伝えるべきことや約束事などをうっかり忘れてしまった際に「失念しておりました」という表現を使うことがあるという方もいるのではないでしょうか。
社会人になると、さまざまな場面で「失念しておりました」という表現を見聞きすることも増えるでしょう。
いざ、自分が謝罪などの際に「失念しておりました」と使う場合、間違いのないように配慮したいだけでなく、相手に対して失礼な使い方を避けたいもの。
そこで今回は、「失念しておりました」の意味や使い方を例文とともにご紹介します。
この記事を読んで、トラブルが起こった際も相手に対して適切な言葉を使い、丁寧に謝れるよう準備しておきましょう!
▼目次
1.「失念」「失念しておりました」の意味とは?
2.「失念」を用いた例文
3.「失念」を使う際の注意事項
4.「失念」の類語表現
5.「失念しておりました」の英語表現とは?
6.まとめ:「失念しておりました」をなるべく使うことがないように!
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「失念」は「覚えていたことをうっかり忘れる」という意味で、読み方は「しつねん」です。
「失念しておりました」は謙譲語表現ですので、「忘れていました」や「忘れておりました」よりも相手に対して謝罪の念を込めた丁寧な表現にできると言えます。
なお、「失念」はメールでも口頭でも使用可能です。
ビジネスシーンにおいては、主に上司、仕事の取引先や顧客などに対して「自分がうっかり忘れていたこと」を意味します。
あなたが上司へ会議の時間が変更になったことを伝え忘れた現場を想像してみてください。
上司に対して「会議の時間が変更になったことを忘れていました」と言ってしまったらどうでしょう。
上司は怒りが爆発するだけでなく、謝意がないと捉えてしまうでしょう。
そこで、「会議の時間が変更になったことを失念しておりました」あるいは「会議の時間が変更になった旨、お伝えするのを失念しておりました」などと言うことで、誠実な印象を与えられるだけでなく、謝罪の意味も含められるのです。
この項目では「失念」を用いた例文を口頭で述べる場合とメール送信する場合の2場面でご紹介します。
「失念」は口頭でも使えるため、何かを出し忘れたり、伝え忘れてしまったりした際に謝罪の意を込めて述べられます。
・申し訳ございません。祝賀会の会費の支払いを失念しておりました。
・サインをいただくはずの契約書の提出を失念しておりました。ご迷惑をおかけして大変申し訳ございません。
・申し訳ございません。15時からの会議を失念しており、取引先との打ち合わせを入れてしましました。
以下は、もらっていたメールの内容確認が遅れてしまった場合のお詫びのメール例です。
失念していたことを先に謝罪し、その後に伝えるべき添付ファイルについて述べています。
最後に、失念しないように今後どうするかもしっかり説明することで、誠意を伝えていることがわかります。
メールを送信した後に電話で謝罪すると、より丁寧になるでしょう。
社会人になると、あなたが何かを「失念」したのではなく、相手が「失念していた」という状況に良く遭遇することになるでしょう。
もし相手から「失念しておりました」と言われたりメールをもらったりした場合は、「お気になさらず」や「お気になさらないでください」「大丈夫です」などのように相手を気遣う言葉をかけるのが無難です。
また、あなたも相手に声をかけるべきだったという意味で「こちらこそ配慮が足りず……」という返答方法でも差し支えありません。
特にお客様相手の業務の場合「失念」という言葉は避けて通れないと言っても良いでしょう。
あなたが「失念しておりました」という言葉を使う場合、以下のような誤用があることを知っておく必要があります。
「失念しておりました」は自分が忘れていたことに対しては使えますが、上司や先輩、取引先、顧客など相手が忘れていたことに対して使うのはNGです。
「失念しておりました」は謙譲語であるということを忘れてはいけません。
「○○部長が失念されました」
「お客様が失念されました」
という表現は誤りであるだけでなく、相手に対して失礼になるので注意しましょう。
「失念」は「行動」をうっかり忘れるという意味で、「物」を置き忘れる意味では使えません。
たとえば、以下の使い方は誤りですので、素直に「忘れてしまいました」を使うほうが無難です。
・「電車に傘を失念しました」
・「家に作成した資料を失念しました」
「失念」は一度認識したけれど、その後うっかり忘れてしまった場合に使う表現であり、もともと知らなかったことには使えません。
たとえば、あなたがミーティングがあることを知らなかったのに、「ミーティングの時間を失念しておりました」と言うのは間違いです。
最初から知らなかった旨を述べる際は「存じ上げませんでした」を使いましょう。
「失念しておりました」の類語表現は以下の通りです。
・放念(ほうねん)
・忘却(ぼうきゃく)
・忘失(ぼうしつ)
詳しく見てみましょう。
「放念(ほうねん)」は、第三者の行動に対して「心配しない」「気にしない」という意味で、ビジネスシーンではメールなど書き言葉で使われることが多い言葉です。
敬語表現では「ご放念ください」と表現します。
「ご放念ください」と言われたら、送り主から「忘れてください」「考えなくて大丈夫です」と言われているという意味ですので、新しい情報や正しい情報を待ちましょう。
「忘却(ぼうきゃく)」も「失念」の類語です。
「忘却」になると「忘れる」をより強く表現した言葉になり、自分だけでなく第三者にも利用できます。
どちらかというと詩的・文学的表現になるため、ビジネスシーンではあまり見かけません。
「失念」の類語に「忘失(ぼうしつ)」という言葉もあります。
物には利用できない「失念」に対し、「忘失」は「忘れてなくす」という意味があることから物理的な喪失に対しても使用可能です。
最近では海外との取引も活発に行われ、頻繁に海外と約束を交わすこともあるでしょう。
英語で「失念しておりました」という場合、以下の表現があります。
・I'm sorry, It must have slipped my mind.
・It slipped my mind.
・I'm terribly sorry. I've made a mistake.
万が一、何かを伝え忘れてしまった場合は謝罪のひと言を入れつつ、忘れていたことを素直に述べましょう。
英語の「忘れる」という意味に「forget」というワードがあります。
しかし、「forget」と表現すると「無責任に忘れていた」と捉えられる可能性があるため、避けたほうが無難です。
自分がうっかり忘れていたことを言い表す場合、ビジネスシーンでは「忘れていました」ではなく、「失念しておりました」というフレーズで表現します。
自分の仕事上のミスをお詫びする時に使うフレーズなので、なるべく使わないようにするためにも、メモをわかる場所に確認するなど仕事は注意深く行いたいものです。
しかし、人間誰しもミスはあります。
どうしても使わなければならない場合は、この記事で解説したように、使い方には十分注意してくださいね!
(マイナビ学生の窓口編集部)
学生の窓口編集部
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