敬語「申す」の意味と正しい使い方とは? ビジネスシーンでの例文も紹介

更新:2024/05/29

対人マナー

ビジネスシーンでは敬語使用がマストとされていますが、多くの場で誤った敬語が使用されているのをご存知ですか? その中でも最も多い誤りは「申す」「申し上げる」という敬語です。日常的に使用される敬語ですが、誤った使い方をしていませんか? さっそく、チェックしてみましょう!

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「申す」の意味とは?

「申す」と「申し上げる」は、ともに敬語としての「言う」「話す」という意味です。へりくだった気持ちでの「する」という意味もあります。

たとえば「○○と申します」「感謝申し上げます」といった使い方がおなじみですね。

「申す」と「申し上げる」のポイントは、敬語のなかでも謙譲語として使われるということ。謙譲語にはさらに「謙譲語1」と「謙譲語2」があり、「申す」が謙譲語2、「申し上げる」が謙譲語1に分類されます。

謙譲語1と2の違いはこの後解説しますが、「申す」とは「言う」の謙譲語であるという点をまずは押さえておきましょう。

ところで「言う」という言葉は、敬語の種類によって「申す」以外にもいくつかの表現があります。次からは「言う」の敬語表現にどのようなものがあるか、見ていきましょう。

「言う」の敬語表現の種類と違い

「申す」がなぜ間違えやすいかというと、同じ「言う」の敬語でも「申す」や「おっしゃる」など表現の使い分けが難しいためです。ここでは「言う」の敬語表現の種類と、どんな違いがあるかをまとめました。

丁重語(謙譲語2)「申す」

本記事のテーマとなる「申す」は丁重語(謙譲語2)にあたります。もともとは丁重語も謙譲語に分類されていましたが、近年分けて扱うようになりました。

「丁重語」とは?
自分の行動に対して丁重な表現をすることで、聞き手の立場を上位にする表現方法です。

そのため、敬意を示すべき上司や取引先の行動を述べるときには用いることはありません。通常、「○○と申します」「論より証拠と申しますが〜」などと使われます。

謙譲語1「申し上げる」

続いて「申し上げる」は謙譲語1に分類されます。「申す」と「申し上げる」はとてもよく似ていますが、先ほどの丁重語との違いは「自分の行動に相手があること」(単なる聞き手ではなく)。「(相手)に申し上げる」というふうに相手があるイメージですね。

「謙譲語1」とは?
自身の行動をへりくだって述べることで、その行動の相手を上位に表現します。

ビジネスシーンでの使い方は「部長に申し上げた通り…」など。

丁重語(謙譲語2)は自分の行為に目が向いているのに対し、謙譲語1は「自分から相手へ」行為の向く先があることが両者の違いと言えるでしょう。

尊敬語「おっしゃる」

さらに、敬語には「尊敬語」もあります。「言う」の尊敬語には「おっしゃる」や「言われる」が挙げられます。

「尊敬語」とは?
自分がへりくだるのではなく、対象となる人のことを高めて、こちらからの尊敬の気持ちを表現する言葉です。

つまり、敬意を示すべき相手のことについて述べるときに用いるのであって、自分のことを「おっしゃる」とは言いません。使い方は「A様は次のようにおっしゃっていました。」など。

丁寧語「言います」

最後に丁寧語もご紹介します。「言う」の丁寧語は「言います」、「する」の丁寧語は「します」です。

「丁寧語」とは?
相手に敬意をあらわして丁寧に言ったり、物事を上品に美しく表現したりする言葉のこと。

具体的には「お」をつけて「お水」といったり、「言います」のように「です・ます」をけつたりします。

次からは「申す」「申し上げる」の使い方を解説しますが、実際にはこの丁寧語とくっついて使われることがとても多いです。具体的に見ていきましょう。

「申す」「申し上げる」のビジネスでの使い方

「申す」の使い方と誤り

実際のビジネスシーンで、「申す」はどのように使われているのでしょう?

基本の使い方

まず基本の使い方ですが、「申す」は「ます」という丁寧語を付けて「申します」として使うことが多いです。「申し上げる」も丁寧語とくっついて「申し上げます」として使われます。

間違えやすい使い方

下記の例文のように、「言う」の尊敬語「おっしゃる」「言われる」を使わなければならない場面で、「申す」と言ってしまうケースが多く見られます。

誤「(取引先の)○○様が申しておりました」
正「(取引先の)○○様がおっしゃっていました」

謙譲語と尊敬語の使い分けは、謙譲語が「自分のこと」、尊敬語が「相手のこと」として区別するといいです。自分と相手とどちらが「主語」になるか、意識してみましょう。

また、「申し上げる」も「社長が申し上げた通りです」と使う人が多くいますが、正しくは「社長が言われた通りです」「社長がおっしゃる通りです」等となります。

「申す」と「申し上げる」使い分けのポイント

「申す」と「申し上げる」の使い分けのポイントは「自身の行為が向かう先の有無」です。向かう先があれば「申し上げる」を使い、向かう先がない自身の行為については「申す」を使うと覚えておきましょう。

「申す」「申し上げる」の例文

上記でも例文を紹介していますが、もう少し詳しく例文を見ていきましょう。誤った使い方をしている場合は、言い換えの例を参考にしてみてくださいね。

「申す」の正しい使い方の例文

・「部下の○○と申すものがおじゃまいたしますので、よろしくお願いいたします」

・社外の人に「課長の鈴木が申しておりました」

社内で敬意を表す対象となる課長でも、社外に対しては謙譲語を使用しなければなりません。

それから補足ですが、社外の人に対しては「鈴木課長が〜」ではなく「課長の鈴木が〜」が正解。課長などの役職には、もともと敬称の意味があります。社外の人に対しては、社内の人を敬称つきで呼ぶのはふさわしくありません。

 「申す」の誤った使い方の例文

相手が何かしら述べた後に返す言葉として、
× 「と、申しますと?」
○「と、おっしゃいますと?」

この場合、話をしているのは自分ではなく相手なので、「と、申しますと?」のように謙譲語を使ってしまうのはNGです。

「申し上げる」の正しい使い方の例文

・「平素より格別のお引き立てを賜り、厚くお礼申し上げます」

・「御社の△△部長に、弊社の○○が申し上げた通りです」

「お礼申し上げます」のケースは、「言う」というより「する」というニュアンス。「お礼をします」にへりくだった気持ちを表しているのです。似たような表現に「感謝申し上げます」なども挙げられます。

「申し上げる」の誤った使い方の例文

社外の人との会話で、
× 「課長の鈴木にも申し上げておきます」
○「課長の鈴木にも申し伝えておきます」

「申し伝える」は、やや応用編の表現となります。ビジネスでは「言い伝える」の謙譲語として用いられています。社外の人に対して「社内で伝言しておく」旨を伝えるときに使う、と覚えておくといいでしょう。

「申す」という敬語は古典にもある

「申す(もうす)」を古語辞典で調べようとすると、見当たらなくて困ってしまうかもしれません。それもそのはず、古語での申すは「まをす」「まうす」と読むのです。

【申す(まをす)】
(上代語。後世は「まうす」)
1.(「言ふ」の謙譲語)申し上げる。
2.(補助動詞として謙譲を表す)〜申し上げる。


「まをす」は古事記などで使われています。

<例文>
「山城の筒城の宮にもの申す吾が夫の君は、涙ぐましも」(古事記・歌謡)
【申す(まうす)】
(「まをす」からの変化)
1.(「言ふ」の謙譲語)申し上げる。申す。
2. お願い申し上げる。→いとままうす
3.(「言ふ」の 丁寧な言い方)申す。
4.(補助動詞として謙譲の意を添える)〜申し上げる。


「まうす」の方は謙譲語としてだけでなく、丁寧語としても使われていたようです。

<例文>
「かの白く咲けるをなむ、夕顔と申し侍る」(源氏・夕顔)

まとめ:敬語の種類を使い分けよう

「申す」「申し上げる」についてご紹介しましたが、誤った使い方をしていませんでしたか?ビジネスシーンでは毎日のように目にするほど、重要度の高い敬語表現です。丁重語・謙譲語の1つですが、尊敬語としては「おっしゃる」があり、それぞれを使い分けることがポイントです。

頭で理解したつもりでもついつい間違えてしまう難しさがありますので、あとは実践あるのみ!少しずつ使っているうちに、自然と使いこなせるようになるといいですね。

(マイナビ学生の窓口編集部)

学生の窓口編集部

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