OJTとは、On-The-Job Training(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)の略称で、実際の職場で実践を通して学ぶ訓練のことを指します。多くの企業は新人研修の一環としてこのOJTを取り入れ、上司から部下へ、またはベテラン経験者から若手社員へと知識やスキルを伝承しています。入社してすぐの新人研修などで、OJTという言葉を初めて耳にしたという新社会人も多いでしょう。OJTの詳しい意味と言葉の使い方について紹介します。
OJTと一般的な研修期間との違いは、実務をこなしながら同時に仕事について学ぶという点です。場合によっては責任の大きい仕事に、入社早々から関わることもあるでしょう。実践的な業務を行いながらのOJTは、新入社員の早期成長につながるとメリットを感じる企業が多い反面、対象社員が受け身である場合は成長しにくい、社内に明確なマニュアルがない場合は教育係の先輩社員のスキルに左右されやすい、といったデメリットもあります。
OJTという言葉が生まれたのは第一次世界大戦中のアメリカです。当時、アメリカの造船所では大幅に人員を増やす必要があり、大量の人材を育成する指導方法として、チャールズ・R・アレン氏が「4段階職業指導法」を考案しました。4段階職業指導法とは、「やってみせる(Show)」→「説明する(Tell)」→「やらせてみる(Do)」→「確認、追加指導(Check))」の4つからなるものです。さらに第二次世界大戦中、この「4段階職業指導法」を発展させた「TWI研修(Training Within Industry for supervisors ― 監督者のための企業内訓練)」が生まれ、高度成長期になる日本に輸入されて、現在のOJTへと発展しました。
OJTは新入社員教育で用いられることが多く、1人の新入社員に対して、1人の先輩社員が付く形が一般的です。経験を通じて学ぶため、より実践的なノウハウや知識を身につけることができる点が特徴です。
OJTの定義は企業によってバラツキがあり、専門の指導員を設けず、教育係の先輩社員を任命することや、チーム内にいきなり配属し、問題が起きたときのフォローのみで研修とすることもあります。この場合、きちんとしたマニュアルがなければ、教育係の技量により育成される社員にもバラツキが出やすくなります。このバラツキを回避するためには、教育係自体の研修も重要な課題と言えるでしょう。
OJTは一般的な企業内研修とは区別するケースが大半です。本来、「OJT」は明確なマニュアルのもとに、一定のスキルまで人材を育てることを目的としています。ですので、マニュアルがない状態で、教育係・指導員の先輩社員の判断だけに依存した研修は、OJTとは呼べない可能性もあります。また、OJTの期間をただ全うしてそれなりの社員になる、というのが目的ではなく、OJTの先にその企業における戦力になる社員を育て、研修終了後すぐ独り立ちし活躍できる研修内容であってはじめて「OJT」と呼べます。またOJTに対して、実際の業務から離れて行う研修はOff-JT(Off the Job Training)という言葉で表します
OJTの意味を把握したら、次は使い方を例文で学びましょう。OJTは次のようなイメージで使われます。
<例文1>
・(飲食店で)
スーパーバイザーによるOJTが来週行われるのでさらに気を引き締めよう
※フランチャイズ店において、均一のクオリティで業務を提供できるよう、本部の指導者が実際に店舗スタッフとして一定期間、業務を行うのもOJTの1つのパターンです。
<例文2>
・OJT指導員は、いざというときのフォローマニュアルを作っておこう
OJTの意味をご紹介しましたが、いかがでしたか? 上記のように新卒社員だけでなく、指導員から研修者へ展開されるものはすべて「OJT」と称されます。指導側と研修を受ける側のバランスや、姿勢にも左右される研修制度となりますので、安易にOJTがあるから、と企業を選択するのはのちのトラブルにもつながりかねないと肝に銘じておきましょう。
文・学生の窓口編集部
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