エビデンスの意味と使い方は?ケース別例文つきで解説

更新:2023/08/17

ビジネス用語

「その話、エビデンスは取れてる?」

ビジネスシーンでエビデンスと言われてドキッとしたことはありませんか。エビデンスとは「根拠」「証拠」という意味。医療分野をはじめとして、一般のビジネスシーンでも幅広く用いられるようになっています。

今回は、エビデンスの意味と使い方について、業界別の例文とともにわかりやすく解説。よく似たカタカナ言葉もご紹介しますので、参考にしていただき理解を深めてみてください。

「エビデンス」の意味とは

エビデンス(evidence)

【意味】根拠、証拠

エビデンスは「科学的根拠」「合理的根拠」「証拠」「形跡」といった意味を持ちます。医療や政治、銀行そして一般のビジネスシーンまで幅広い分野で使われる言葉です。使用シーンによりニュアンスは少しずつ変化しますが、基本的には、「根拠、証拠」と言い換えることができます。

例えば医療・健康の分野でのエビデンスとは「実験によって科学的に示された根拠」を指します。つまり実験によるデータが必要です。

ですが、一般のビジネスシーンでのエビデンスはニュアンスが異なり、データのほか議事録や契約書面などを指すことも多いです。つまり物事を「見える化」することで「証拠」としているわけです。

ビジネスシーンでのエビデンスの重要性

一般のビジネスシーンでもエビデンスが重要視されているのは何故なのでしょうか。エビデンスが求められる理由を3つに分けて解説します。

提案をするときに説得力が増す

ビジネスで商品やサービスの提案をする際、相手は重要な取引であればあるほど「本当に信頼できるのか」確認したいと考えます。そこで役立つのがエビデンス、つまり客観的データです。

例えばあなたが会計ソフトを提案していて「既に◯万人の利用実績があり、満足度は97%」といったデータがあれば「そういう実績があるのか」と相手に納得してもらいやすくなるはずです。

取引上のリスクを抑えることができる

ビジネスで提案される側の立場に立ってみると、取引上のリスクを抑えることができるメリットがあります。

重要な意思決定をしなければならないとき、客観的な情報をもとに判断できるのでリスクを最小化できるのです。

もちろん担当者の人柄や熱意によって判断されることもありますが、エビデンスがあった方が判断に役立つことは事実でしょう。

後々のトラブルを避けることができる

議事録やメールといった意味のエビデンスでいえば、後々の「言った」「言わない」のトラブルを回避できるメリットがあります。

人の記憶にはあいまいな面もあるため、文字に起こして可視化しておくことは自分を守ることにもつながるのです。

業界別エビデンスの意味

業界別エビデンスの意味

エビデンスとは、使われる業界・分野によって意味合いが少しずつ変化します。ここからは業界別にエビデンスの意味の違いを見ていきましょう。まずは一般のビジネスシーンから。

ビジネス一般のエビデンス

一般のビジネスシーンでのエビデンスはいくつかの種類があります。

●提案のシーンで:内容を裏付けるための具体的なデータや情報

社内での企画会議のとき、あるいは社外でのサービス提案のとき、「私が話す内容には根拠があります」と示すデータ資料(市場調査や競合分析など)がエビデンスとなります。

●会議や打ち合わせで:議事録

会議や打ち合わせの内容を記す議事録のことを指すことも多いです。単に話し合っただけでは後で認識に相違が出てくることもあるため、記録(証拠)を残しておくのです。議事録の代わりにメールで記録を残すケースもあります。

●営業シーンで:契約書面

営業での契約の際、口頭での約束だけでなく契約書面まで取り付けることを「エビデンスを取る」と表現することがあります。

IT業界のエビデンス

IT業界では、システム開発の過程でプログラムが正常に動いているデータやソースコード、画面キャプチャをエビデンスと呼びます。正常なときだけでなく、不具合が出たときも同様に用いられます。

医療業界のエビデンス

医療業界では、薬や治療法など様々な医療行為について本当に効果があるのか、安全性はどうなのかを必ず確認します。

実験を行ったり、データを分析したりすることで得られる「科学的根拠」のことをエビデンスといいます。医療のエビデンスは「科学的」であることが特徴です。

コールセンターのエビデンス

コールセンターなどの電話業務では、顧客からの問い合わせ・クレーム・要望といった内容を録音して記録として残すことをエビデンスと言います。エビデンスを正しく残しておくことで、顧客やクライアント先とのトラブルを回避することができます。

金融業界のエビデンス

銀行などの金融業界でのエビデンスは、主に融資を受けたいときなどに提出する本人確認書類、公的な書類のことを指します。例えば「運転免許証コピー」「源泉徴収票」「住民票」などが当てはまります。

また、外国送金の際にはマネーロンダリングを避けるため資金の出どころなどが分かる書類を求められることがあり、この書類のことをエビデンスと呼ぶこともあります。

行政でのエビデンス

行政におけるエビデンスは、政策の立案にあたっての「合理的根拠」という意味で使われています。内閣府ではEBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング)という取り組みを推進中。EBPMとは「統計データ等のエビデンスに基づく政策の立案」のことを指しています。

業界別エビデンスの使い方例文

業界別エビデンスの使い方例文

ここからは、エビデンスの使い方がわかる例文を業界別にご紹介していきます。

ビジネス一般での例文

「今回の提案にあたっては、しっかりエビデンスも用意しています。」

「B案のエビデンス資料は魅力があるので、B案を採用しよう。」

上記は、提案の裏付けとなる「データ資料」のことを指してエビデンスと言っています。

「今日の内容エビデンス残しておいてくれる?」

「打ち合わせ内容のエビデンスを先方に送ってください。」

上記はエビデンスが「議事録」として使われている例文ですね。議事録のほか「打ち合わせ記録」などの帳票を用意している会社もあります。

記録は単に送るだけでなく、先方からの了承連絡が必要なことも多いので注意が必要です。もしもメールでエビデンスを取るならば「相違があった場合には、ご連絡ください」などと一言添えて送るといいでしょう。

「今日の訪問でエビデンスを取るのを忘れないようにしよう。」

こちらは営業のシーンで「契約書面まで取り付ける」ことを「エビデンスを取る」と表現している例文です。

IT業界での例文

「システムAの不具合、エビデンス見せてくれる?」

「システムBのエビデンスはスクリーンショットで管理しています。」

上記は「システムの動作状況を示す証拠」としてエビデンスが使われている例文です。

医療業界での例文

「この○○療法には信頼できるエビデンスが無いのではないか。」

「医療では最新のエビデンスにもとづくベストな選択が求められる。」

このように、医療の現場では「科学的根拠」にもとづいて慎重に治療法が選択されます。

コールセンターでの例文

「コールセンターでは、客観的なエビデンスを残すことでお客様とのくい違いを防ぐよう努めています。」

コールセンターではお客様との会話内容を録音することで「証拠」としているわけです。

金融業界での例文

「ローン審査の際には各種エビデンスを揃えなければならない。」

「ローン申込のエビデンスが不足しているので、お客様に説明しなければ。」

この場合、身元証明や所得証明の書類のことをエビデンスと呼んでいます。

行政での例文

「エビデンスにもとづく政策は、国民の信頼へとつながるはずだ。」

「統計データ等の合理的根拠」という意味でエビデンスが用いられています。

エビデンスの言い換え表現

エビデンスの言い換え表現としては、

・証拠
・根拠
・物証
・裏付け

などが当てはまります。

基本的には「証拠、根拠」と言い換えることができますが、その内容は「データ」「記録」「録音」などさまざまありますので、必要に応じて補足するとより分かりやすくなるでしょう。

エビデンスと似ているカタカナ言葉との違い

エビデンスと同様のシーンで用いられ、混同しやすいカタカナ言葉もご紹介します。

ファクト

ファクトは「事実」という意味です。ファクトとエビデンスは意味が重なり合う部分もありますが、微妙な違いがあります。

ファクトはありのままの事実を指し、客観的であり議論の余地のないものです。例えば「2023年のビールの売り上げNo.1はA商品」というのはファクトです。

一方、エビデンスは判断のための「根拠や裏付け」を指します。例えば「当社のAビールは美味しいのでおすすめです。エビデンスは〜」と根拠を示す際に使われるのです。このとき、代わりに「ファクトは〜」と使うのは違和感があります。

しかしながら、エビデンスとファクトは似ていることも事実です。なぜならエビデンスはファクトにもとづいているケースが大半だからです。

先ほどのAビールをおすすめする際、「エビデンスとして、2023年のビール売り上げNo.1はAビールだというファクトがあります。それに味の評価も〜」といった具合に、エビデンスにはいくつかのファクトが含まれることが多いです。

ソース

ソースは「出どころ」「みなもと」という意味。証拠というニュアンスもありますが、どちらかというと「どこから持ってきたものか」を強調したいときに使います。「情報ソースはこちらです」といった具合ですね。

リファレンス

リファレンスは「参照」「照会」といった意味です。「参考文献」や「引用元」と言い換えることもでき、情報ソースを明示したものがリファレンスです。

リファレンスは参照するもの(資料など)を指すのに対して、エビデンスは証拠となるデータそのものを指します。

まとめ:ビジネスではエビデンスが重要

ビジネスシーンでは「エビデンスがあると説得力が増す」といったところで、エビデンスが重要視される傾向にあります。また記録としてエビデンスを残すことでトラブルを防ぎ、ビジネスを円滑に進めることにもつながります。上司にエビデンスを依頼されたら、しっかり取るようにしましょう!

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【例文つき】ビジネス用語・カタカナ語80選!

文・マイナビ学生の窓口編集部

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