「御社」と「貴社」メールではどちらを使う? 2つの敬語の使い分け方

更新:2021/06/10

電話・メール

ビジネスシーンで頻繁に使われる「御社」と「貴社」という言葉。どちらも間違えやすい敬語表現ですが、正しく遣うことができているでしょうか。ここでは、「御社」と「貴社」の使い方を例文を交えながら解説します。

「御社」と「貴社」の違い

「御社」や「貴社」を聞いたことがある人は多いはず。普段聞いたり見たりすることはあっても、あまり気にしていない人は多いでしょう。しかしビジネスの場で間違った使い方をしてしまっては、「ビジネスマナーがなっていない」「言葉使いをわかっていない」と受け取られる可能性があります。

まずは「御社」と「貴社」の違いを知っておきましょう

「御社」も「貴社」も、相手の会社を敬って言う敬語表現です。意味は同じでも、御社は「話し言葉」で使われ、貴社は「書き言葉」で使われるという違いがあります。就職活動において面接でもよく聞く言葉だったように、御社は直接話して伝えるときに使われます。ビジネスでは主にメールを書くときに、貴社を使う場面を見るでしょう。

御社も貴社も、それだけで敬語ですから、さらに丁寧に言おうとして「御社様」「貴社様」とするのは二重敬語となります。二重敬語を使うことも「ビジネスマナーをわかっていない」と思われるので注意しましょう。

御社を使った例文

「御社」が使われる場面は、就活の面接やOB・OG訪問、会社の担当者、取引先企業との電話など、実際に会話をする時です。では、商談と電話の2つの場面で例文を見ていきましょう。

商談の場面

「本日は、御社にご提案したい資料をお持ちいたしました」
「御社のニーズに合う商品はこちらでございます」

電話の場面

「御社から資料のご請求がございましたので、お電話いたしました」
「先日、御社から届きました納品書について確認がございまして、お電話いたしました」

貴社の使い方と例文

「貴社」が使われる場面は、メールの他に社外文書でも使われます。メール、社外文書の2つの場面で例文を紹介します。

メールの例文

「貴社に訪問させていただく日程につきまして、以下の通り候補日をご連絡いたします」
「貴社にご提案させていただく資料につきまして、事前にメールにてお送りいたしました」

社外文書の例文

「貴社のますますのご繁栄をお祈り申し上げます」
「貴社に、弊社の代理店となっていただき誠に光栄なことと存じます」

「御社」と「貴社」の使い方の違いが理解できたでしょうか。口頭や電話などの話し言葉では御社、メールなどの書き言葉では貴社と使うと覚えておきましょう。また、御社と貴社を混合して使わないように注意してください。

「御社」や「貴社」以外の敬称は?

「御社」と「貴社」は会社に対する敬称です。「御社」「貴社」以外の敬称を使う団体、組織があります。代表的なものは銀行で、話し言葉では御行、書き言葉では貴行を使います。「御社」や「貴社」はすべての企業で使える敬語ではないことを覚えておきたいですね。

「御社」「貴社」が通じない法人、組織を以下に挙げますので、ビジネスではしっかりと使い分けができるようにしておきましょう。

・銀行:「御行」「貴行」
・信用金庫:「御庫」「貴庫」
・省:「御省」「貴省」
・庁:「御庁」「貴庁」
・病院:「御院」「貴院」
・学校:「御校」「貴校」(中学校、高校など。大学の場合は「貴学」、学園の場合は「貴学園」)
・機構:「御機構」「貴機構」
・組合:「御組合」「貴組合」
・協会:「御会(御協会)」「貴会(貴協会)」

「当社」と「弊社」の違い

ここまで相手の会社を敬って言う言葉「御社」「貴社」について紹介してきました。今度は自分の会社を呼ぶときの表現について解説します。

自分の会社を呼ぶ時の表現には「当社」「弊社」があります。「弊社」は「当社」よりもへりくだった謙譲語なので、社外の人に対するときに用います。一方、「当社」は、主に社内において上司や先輩、同僚などに対する時に使う言葉です。「当社」も「弊社」も話し言葉、書き言葉のいずれにおいても使うことができます。

「当社」「弊社」の例文は次の通りです。

・当社の〇〇事業は他社よりもシェアが拡大しています。
・業界のリーディングカンパニーとして、当社ができることは○○です。
・いつも弊社商品をご愛用くださいまして、誠にありがとうございます。
・弊社の○○支店を移転することとなりましたので、ご連絡いたします。

まとめ

相手の会社に対する敬語表現である「御社」「貴社」の違いと使い分けについて、理解することはできたでしょうか。敬語のマナーは、違いと使い分けを理解することで、正しい使い方を身に付けることができます。敬語のマナーはビジネスの現場で常に必要なもの。最低限の知識として、しっかりと身に付けておきましょう。


監修・文/山崎英理夫

人事コンサルティング歴4年、人事歴8年。人事コンサルタントとして教育研修のプログラム開発、人事制度診断等を提供。また、企業人事として新卒・中途採用に従事し、人事制度構築や教育研修の企画・運用など幅広く活動。この経験を活かし、人材関連の執筆にも数多く取り組む。
http://erinanase.com/

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