仕事は人生の一大事。
そう教えられてきたものの、いざ就活が始まると右も左もわからないままに怒濤のように面接をこなし、ゆっくり立ち止まって考える間もなく、気がつけば入社まできてしまった......そんな新社会人も多いはずだ。
なぜ人は働くのか。もちろん、正解はない。けれど、歴史の偉人が刻んできた言葉は、きっと今を生きる人たちにも響くはず。
ここでは、『働く理由』(ディスカヴァー・トゥエンティワン刊)の中から、さまざまな偉人が語った「仕事」論をいくつかご紹介したい。
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ノーベル賞を受賞した小柴昌俊はこう語る。
「やりたいことが見つからない、と言っても、先生は教えてくれない。おじけづかないで、どんどん新しいことを試してみることだよ。自分で試して体験してみないと、それが自分に合っているか合っていないか、やりたいかやりたくないかもわからないでしょ。やりたいことが見つかってからやるんじゃなくて、見つけるためにはまず何かやってみるんだよ。だからとにかく新しいことに挑戦しなさい。そうすると、本当に自分がやりたいことが見つかるからね」
小柴昌俊『エスチャン Vol.09』(愛知市民教育ネット)
どれだけの偉人も、最初から自分の進むべき道がわかっている訳ではないのだ。
フランスの哲学者パスカルも、時代を越えて今に残る名言を残している。
「一生のうちでいちばん大切なことは、職業の選択である。ところが、それを決めるのは、偶然なのだ」
パスカル『パンセ』(白水社)
経営学の祖として今なお尊敬を集めるドラッカーも、最短距離を通ることにはさほどこだわっていないようだ。
「最初の仕事はくじ引きである。最初から適した仕事につく確率は高くない。しかも、得るべきところを知り、自分に向いた仕事に移れるようになるには数年を要する」
P・F・ドラッカー『非営利組織の経営』(ダイヤモンド社)
また、一度就職したら、人生のすべてが決まってしまうような気にもなるが、そんなことはない。人生は長いのだ。
「これだけ人生の時間が長くなった時代なのであるから、『フルに働く』ようになるのは30歳前後に至ってであり、それまでは試行錯誤や『自分さがし』の時期と考えたとしても何らおかしくない」
広井良典『定常型社会』(岩波書店)
いかがだっただろうか?
選んだ会社が正解かどうかはわからない。また、正解だったとしても、そうじゃなかったとしても、それで自分の一生が決まってしまうようなこともない。少し力を抜けば、今目の前にある仕事が、少しずつ楽しくなってくる。多分誰にだって、そんなときがやってくるはずだ。
文●編集部
『働く理由 99の名言に学ぶシゴト論。』(戸田智弘 著/ディスカヴァー・トゥエンティワン発行)
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