「取りあえずビール」という言葉は日本人にはなじみの深い言葉です。あまりビールの好きでない人でも「最初の一杯はビール」とか「乾杯はビールで」などといいます。これだけ見ると日本人は「大のビール好き民族」です。しかし、それだけビールが好きなのに、飲んでいるビールへのこだわりを持っている人は決して多いとはいえません。例えば、「普段飲んでいるビールのスタイルをご存じですか?」と聞かれて答えられる人はおそらく10人に1人もいないでしょう。そうなのです。日本人はビール好きのくせに全くビールを知らない民族なのです。
そんなみなさんのために、知るともっとビールが楽しくなる、豆知識を紹介します。
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●生中はほとんどが「ピルスナー」スタイルのビール
みなさんが居酒屋で飲む「生中」。お店によって銘柄が違いますね。『スーパードライ』、『一番搾り』、『モルツ』、『プレミアムモルツ』、『黒ラベル』などさまざまですが、これらはすべて「ピルスナー」という種類。特徴は、苦すぎないスッキリとした味わいと、爽やかな香りで、世界で最も親しまれているビールスタイルです。ちなみに、『キリンラガービール』もピルスナースタイル。ここで「ラガー」と「ピルスナー」の違いについてですが、「ピルスナー」とは「ラガー(下面発酵ビール)」の1種で、そのほかにアルコール度数の高い「ボック」や黒ビールの「シュバルツ」などがあります。「ラガー」の特徴はやはりスッキリとした飲みやすさです。
海外のビールやクラフトビールが置いてある店に行ったとき、「日本のビールが好きな人であれば、ピルスナースタイルのビールならなじみがあると思うよ」と言っておけば、ちょっとツウぶれるでしょう。
●もっとビールを味わいたい人へ。地ビールや、ヨーロッパビールに多い「エール(上面発酵ビール)」
「ラガー」の飲みやすさと反対に、重厚な味わいや芳醇な香りを楽しむなら「エール」がおすすめ。クラフトビールや地ビール、ベルギーを始めとするヨーロッパビールに多いです。ホップの香りが際立つ『よなよなエール(アメリカン・ペールエール)』や普通のビールは大麦を原料としますが、小麦を50%以上使用したまろやかな口当たりとフルーティな香りの『銀河高原ビール(ヴァイツェン)』などは、渇いた喉を潤すためにグビグビ飲むというよりは、ワインのように香りや味を楽しみたいビールです。
●同じ黒いビールでも、種類があるんです
「黒いビール」は全部同じだと思っていませんか? 同じ「黒」でも全く違うビールがあるので、一緒にしないように。まず、『ギネス』や『アサヒスタウト』などの「スタウト」スタイルのビール。「エール」ビールで、大麦をローストして加えているため、濃い飲み口と焦げたような苦味が出るのが特徴です。それとは反対に「ラガー」ビールの一種である「デュンケル」や「シュバルツ」といったスタイルのビールもあります。日本の大手ビールメーカーが販売している多くの「黒」ビールがこのどちらかのスタイルですが、いずれも日本人の口にあうような、あまり苦味やロースト香が強すぎない仕上がりになっています。普段のビールでは少し味の足りない人におすすめ。
いかがでしたか? ビールに対しての理解が少し深まったのではないでしょうか。少なくとも、私たちが普段飲んでいるのは「ピルスナー」スタイルのビールということと、ビールには大きく分けて「ラガー(下面発酵ビール)」、「エール(上面発酵ビール)」があることをお分かりいただけたと思います。しかし、ビールの世界は奥深く、まだその世界のドアをたたいたにすぎません。まずは味を楽しみ、そのうえ知識も増やせれば、楽しい酒席がもっと味わい深くなること請け合いです!
文・オリスリス
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