この春社会人になる大学生にとって、いよいよ入社を意識する時期になってきた。そこで、会社に入る前に、ぜひ覚えておいてほしいことがある。働き出すと、必ずや上司との世代間ギャップに悩まされる場面に遭遇するだろう。言葉ひとつ取っても、世代によって、まるで違う意味を持つことがあるのだ。
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失礼なく上司に親近感を与えるテク「よそよそし過ぎない敬語」「知ったかぶらないで聞く」
新入社員が最も気をつけないといけないワードのひとつに、「神」という用語が挙げられる。
仮に上司である部長が50歳(1964年生まれ)の場合、新入社員(1991年生まれ)とは「神」という言葉に関する価値観がかなり異なってくる。
平成20年代に入り、やけに「神」が乱発されるようになった。おそらく、AKB48の人気メンバーを形容した『神セブン』がキッカケだろう。
若い世代であれば、こんな風に使ったことがないだろうか。
A「大島優子の生写真当たったよ」
B「おまえ、神だな!」
ちょっと待ってほしい。ファンにとって、大島優子の生写真が当たったことは喜ぶべきことだろう。この上ない歓喜に違いない。しかし、「神だな!」は明らかに言い過ぎだ。少なくとも、大島優子の生写真を当てたのは、神ではなく人間だ。別に、大島優子の生写真である必要はなく、試験問題を当てた場合やちょっと面白いギャグを言った程度で、昨今は「神!」と崇められる世の中になってしまった。要するに、上司世代と新入社員世代では、神の捉え方がまるで違う。
たとえば、歓迎会で上司と飲みに行った際、こんな発言には気をつけたい。
部長「この前、六本木のお店で若い子にモテちゃって大変だったよ」
新入社員「さすが部長。神ですね!」
一見、褒め言葉のように感じる「神」だが、部長や取締役世代にとっての「神」はそんな簡単になれるものではない。彼らが過ごした昭和時代、「神」はもっと遠い存在だった。
昭和33年、巨人との日本シリーズで3連敗を喫した後、4連投で4連勝した西鉄の稲尾は「神様、仏様、稲尾様」と崇められた。
今の上司世代ですら稲尾の全盛期を知らない世代とはいえ、伝説として語り継がれ、特にプロ野球が娯楽の中心だった昭和を生きた人たちであるから、「神様」といえば「稲尾」を思い浮かべる人も少なくない。(※「稲尾」を知らない人は、この機会に検索してもらいたい)しかも、稲尾の場合は「神様」と並列されて形容されたのであり、決して稲尾自身が神と呼ばれたわけではない。空前絶後の400勝投手である金田正一(国鉄→巨人)でさえ、あだ名は「天皇」。「神」の領域には達していない。
それなのに、「六本木のお店でモテまくった」という、たいして根拠のない話をした上司が「神」になるわけがない。
上司は、「俺って神なのか! 稲尾やカネやんを超えたぞ!」と有頂天になるほどバカではない。むしろ、「コイツ、俺のことバカにしてるのか!?」といらぬ疑いをかけられる危険性のほうが高い。
ちょっと極端な例だと思うかもしれないが、普段、友達のあいだで何気なく使っている言葉でも、世代の異なる人に使用すると、思わぬ地雷が潜んでいるということを忘れないでいてほしい。
新人諸君、たいした偉業を成し遂げてもいない上司に、安易に「神!」と褒めないように気をつけよう。
文●落合知
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