信じていたものに裏切られたときのショックは計り知れません。ましてやそれが子どものときから信じていた「常識」だとしたら、明日から全てのことが信じられなくなるかも......。今日は、みなさんが信じて疑わないそんな「常識」のウソをご紹介します。
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●服部半蔵は忍者ではありません
みなさんは「服部半蔵」と名前を聞いて何を思い浮かべますか? 黒装束の忍者を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。でも、それは間違いです。実際服部半蔵こと、服部正成は「徳川十六神将」にも数えられる徳川家康と同い年の武将で、伊賀国から三河に移り住み、松平家に仕えました。徳川家に仕えた伊賀の下級武士を「伊賀同心」と呼び、それをまとめていたのが服部正成だったため、忍者のイメージがついたのでしょう。
●シンデレラの靴がガラスの靴になったのは誤訳から
シンデレラの原典は古くから伝わる民話。その中では、靴の素材はフランス語でリスの毛皮を意味する「vair(ヴェール)」で、リスの皮は貴族しか扱えない高級品だったのだとか。しかし、それがいつの間にかガラスを意味する「verre(ヴェール)」と誤訳されてしまい、「vair」という言葉があまり使われなくなったことや、ガラスのほうが見た目がキレイだ、という理由などから定着しました。
●ムンクの「叫び」は画中のあの人が叫んでいるわけではない
世界で最も有名な絵画のひとつ、エドヴァルド・ムンクの「叫び」。絵とタイトルから、ほとんどの人があの橋の上の人が叫んでいるのだと誤解しています。実はこの「叫び」はあるとき散歩をしていたムンクが「自然を貫く大きな永遠の叫びを感じた」ということから、それを表現したものなのだとか。つまり、あの橋の上の人は、「自然を貫く大きな永遠の叫び」に恐れおののいているのです。そう言われれば、耳を抑えて恐怖の表情を浮かべているように見えますね。
●フランケンシュタインが怪物というのはウソ
頭のネジと、つぎはぎ顔、青ざめた肌を持った巨体の怪物。誰もが「フランケンシュタイン」と答えるでしょう。でもそれは正しいとはいえません。フランケンシュタインというのは、その怪物を作った科学者の名前なのです。この怪物が登場するのは「フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメシュース」という1800年台に活躍し、「SFの先駆者」と呼ばれるメアリー・シェリーの作品。作中では怪物自体に名前はなく、「フランケンシュタインの怪物」と呼ばれていたものが、いつのまにかフランケンシュタイン=怪物となってしまったのです。
●有名な彫刻「考える人」は別に何も考えていない!?
日本でもCMなどに度々登場し、有名なオーギュスト・ロダンの「考える人」。しかしあの作品は元々「地獄の門」という大作の一部で、その門の上部に配されている彫刻。つまり、この彫刻は考えているのではなく、地獄の門に落ちていく罪人たちを見ているという方が正しいのです。ではなぜ、「考える人」というタイトルがついたのかというと、この作品を鋳造した鋳像家のアレクシス・リュディエが「何かを考えこんでいるところ」と解釈をし、「考える人」というタイトルをつけました。
●「パンがなければお菓子を食べれば」はマリー・アントワネットの言葉ではない
ルイ16世妃マリー・アントワネットは、贅の限りを尽くした生活を続け、最後は民衆の反感を買ってギロチン刑になった、映画などにもなっている有名な人物。そして彼女が残した有名な言葉が、飢えた民衆に言ったとされる「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない」です。この言葉が最初に出てきたのはフランスの哲学者ジャン・ジャック・ルソーの自伝「告白録」第6巻で、このエピソードは1740年頃の話。マリー・アントワネットが生まれたのは1755年なのでルソーの本作品内に出てくる「太公婦人」である可能性はありません。そのキャラクターとセリフのイメージがピッタリだったため、いつの間にか彼女のセリフとして定着してしまったのでしょう。
いかがでしたか。今まで常識だと思っていたものでも、実は間違っていることはよくあるということが理解できたと思います。常識というのは誰もが盲目的に信じてしまうからこそ、アヤシイところがたくさんあります。みんなが「当たり前」と思っていることでも、詳しく調べてみれば、新しい発見があるかもしれませんよ。
文・オリスリス
参考文献:知ったかぶりで恥をかく 常識のウソ(彩図社刊)
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