「その言葉遣い、目上の人に失礼だから直しなさい!」——こんな注意を先輩や上司から受けた経験のある人は、きっと多いはず。学生時代には何も考えずに、友だち同士やバイト先で使っていた言葉なのに、会社に入った途端にNG宣告。言葉遣いの間違いは社会人生活における最初の壁と言えるかもしれません。
■パターン1 敬語の誤用
目上に失礼な言葉遣いとして、最もありがちなのが敬語の誤用です。
営業先の担当者に対して「昨日、私は御社のホームページをご覧になりました」とか、「どうぞごゆっくり拝見してください」といった言い間違いは、かなりの赤面もの。ビジネス用語の常識中の常識である「尊敬語」と「謙譲語」は、取り違うとかなり恥ずかしいことになります。
それ以外にも、ちょっとした電話の応対でさえ、「××様でございますか?」「課長の××は本日お休みです」「とんでもございません」など、うっかりすると使ってしまう間違いは多くあります。前もって言葉使いの資料に目を通しておくなどの注意が必要でしょう。
■パターン2 日常の習慣
飲食店の店員などが使う「こちらコーヒーになります」や「ご注文は以上でよろしかったでしょうか?」などの語尾は、近ごろ何かと取り沙汰される表現。「そんな言い回し、昔はしなかったぞ!」と怒る中高年層の格好のターゲットになっています。
また最近では、仕事を終えた上司に対する「ご苦労さまでした」や、用事を受けたときの「了解しました」もよく話題に上ります。「ご苦労さまでした」や「了解しました」は本来格上の者が使う言葉なので、上司に向けてならば「お疲れさまでした」とか「承知しました」「謹んで承りました」などが正解なのだとか。
さらに、若年層が無意識に使ってしまう、何かを褒める際の「ヤバい」もできればやめた方がよいでしょう。もちろん認めている人もいますが、大半の中高年にとって「ヤバい」は失敗したときなどに使うマイナスの意味です。「褒める場面で何言ってんだこいつ......」と思われかねません。
普段のちょっとした会話で反射的に出てしまうこんな言葉にも、公私を切り替えたボキャブラリーを用意しておくことが大人の心得なのです。
■パターン3 上級編
大人社会で使用頻度が増えるのが、謝罪する機会です。そんなときに使う謝罪の言葉は、ぜひ使い分けを覚えましょう。
TPOに関係なくどんなときもお詫びが「すいません」オンリーの人というのは、仕事の能力とは別にちょっと子どもっぽく見えてしまいます。重大な失敗をしてしまった後の謝罪の言葉が、ちょっと人を呼ぶときと同じでかまわないはずがありません。
例えば「申し訳ございません」や「恐れ入ります(恐縮です)」、「(謹んで)お詫びします」、親しい間柄ならば心をこめて「ごめんなさい」等々......。難しいかもしれませんが、状況によって言葉を使い分けられることもまた、心得ておくべきでしょう。
失敗は自分の身をもって覚えるもの、という言葉もあります。もしも父親や上司など、年上の人と酒席を囲む機会があったら、試しに一度「言葉で失敗したことがあるか」と質問してみることをオススメします。きっと、昔の自分の失敗談を照れながら話してくれるはず。
文●尾張家はじめ(エフスタイル)
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