グラビアアイドルの「グラビア」って、どういう意味?

更新:2022/04/27

社会人ライフ


雑誌の表紙や巻頭のカラーページなどを華やかに飾る、笑顔のグラビアアイドルたち。

グラビアアイドルから出発して、テレビタレントや女優として人気者になる人も多く、今や男性にも女性にも身近な存在です。

ところで、このグラビアアイドルの「グラビア」という言葉、どういう意味かご存知ですか? 

「グラビア」は印刷用語

「グラビア」は、もともと「グラビア印刷」と呼ばれる印刷の手法を指す言葉です。英語では「photogravure」と表記します。グラビア印刷は、凹版印刷の一種で、版に凹点(へこみ)を作り、そこにインキを流し込んで印刷する手法です。

凹点内に流し込むインキの量を調節することにより、微細な濃淡まで表現できるので、写真画像の印刷に適しています。

現在は、一般的にマンガ雑誌などで、水着のアイドルたちが乗っている写真ページが「グラビア」と呼ばれています。しかしもともとは、ちょっと違う意味で使われていた言葉なんですね。

「グラビア=雑誌の写真ページ」になった理由

日本で、『平凡パンチ』、『週刊プレイボーイ』、『GORO』といった、女性タレントの写真ページを扱う雑誌が続々と出版され始めたのは、1960〜70年代のことです。

その頃の写真ページと言えば、グラビア印刷での印刷が主流だったことから、グラビア印刷で印刷された写真ページについて「巻頭グラビア」、「グラビアページ」などと呼ばれるようになりました。

「グラビアページを飾るアイドル=グラビアアイドル」へ

その結果、こうしたグラビアページをメインに活躍する人気女性タレントも「グラビアアイドル」と呼ばれるようになったのです。

グラビアアイドルから俳優業やアイドルへ移る人も多く、有名雑誌のグラビアになることが有名俳優業や人気アイドルへの一歩のように言われている時期もありました。

「グラビア=女性」からジャニーズなどの男性へ

グラビアアイドルが流行し始めた頃は、「グラビアを飾る=女性」というイメージが強かったのですが、最近はジャニーズなどの男性もグラビアを飾るようになってきました。

人気タレントがグラビアを飾った雑誌は、オークションサイトなどで価格が高騰することもあります。

グラビアアイドルを英語で言うと

グラビアアイドルは和製英語なので、英語では別の表現を使います。

  • ・pin-up girl/model
  • ・bikini girl/model
  • ・sensual girl/model

どの表現も、ビキニような色気のある服を着た女性という意味合いになります。

最近の雑誌はグラビア印刷からオフセット印刷へ

近年は、雑誌などのいわゆる「グラビア」ページが、必ずしもグラビア印刷で印刷されているとは限らなくなってきました。

写真ページと言えばグラビア印刷だったのは過去の話で、現在では、雑誌などの写真ページの印刷のほとんどが、グラビア印刷ほどコストがかからず、仕上がりも十分にきれいな「オフセット印刷」で印刷されています。

したがって、厳密に言うと最近のグラビアは、「グラビア」ではなく、「グラビアアイドル」も実は存在しないということになりますね。

ちなみに、オフセット印刷とは、印刷版から直接紙などに印刷するのではなく、いったんインキを版から離して(Off)、ゴムのローラーに転写した後、それから紙などに印刷する(Set)手法です。オフセット印刷は、現代において、最もポピュラーな印刷方式で、カタログ、チラシ、本・雑誌など、さまざまな紙媒体に広く使われています。

こうしたことは、印刷業界やデザイン関係の仕事に就いている人には周知の事実かもしれませんが、一般の人にとっては、なかなか知る機会のないトリビアと言えるのでは? 

「グラビアアイドル」の呼称が古くなる時代が来るのかも?

最近は、グラビアアイドルを「グラドル」と略す呼び方も定着してきているので、やがて「グラビア」という言葉自体使われなくなり、「そもそもどういう意味?」と不思議に思う日も来るのかもしれません。

文●本居佳菜子(エフスタイル)


参考:『印刷辞典』(日本印刷学会編、印刷朝陽会発行)
よくわかる最新印刷の基本と仕組み』(松縄正彦著、秀和システム)

※印刷の仕組みについて詳しく知りたい人は、上記のような書籍や印刷会社のサイトなどを参照してみてください。

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