【事例で学ぶ】ビジネスの基本「報・連・相(ほうれんそう)」はなぜ重要?「確・連・報(かくれんぼう)」についても解説

更新:2021/07/08

対人マナー

仕事をスムーズに進めるために必要な行動であり、守るべきビジネスマナーの「報・連・相(ほう・れん・そう)」。一度は耳にしたことがあるという人は多いはずです。近年では「確・連・報(かく・れん・ぼう)」という別な言い方も。この二つの言葉の目的と重要性について、事例を紹介しながら解説します。

報連相の意味・目的・重要性とは?

社会人になると「報・連・相」をしっかり実践することが求められます。報・連・相(ほう・れん・そう)とは、報告・連絡・相談のこと。仕事を円滑に行う上で重要なビジネスマナーであり、コミュニケーションスキルです。

ビジネスでは、なぜ報・連・相が必要なのでしょうか? 報・連・相を行う目的は、情報を共有・伝達し、仕事をうまく進めることにあります。仕事は一人で完結することができません。必ず誰かと行います。

たとえば、新入社員なら、一つひとつの仕事を上司に進捗確認してもらいながら、徐々に仕事を覚えていきます。仕事の進め方が誤っていれば、上司が軌道修正してくれることも。報・連・相を行うことで、新入社員であっても仕事をうまく進めていくことができるのです。

また、報・連・相が重要な理由として次の2点がありますので、それぞれ解説します。

1.問題に素早く気づき、解決できる
2.チームワークを高められる

1.問題に素早く気づき、解決できる

仕事を進めていくと、「あれ? おかしいな」と異常に気づいたり、自分では解決できない問題に遭遇したりすることがあります。そのとき、上司や先輩に報・連・相を行い、判断を仰ぐ場面が出てきます。ここで報・連・相を行うタイミングが遅れてしまうと、問題が広がり、上司や先輩に報・連・相をしたときは手遅れになってしまうことが起こり得ます。

問題について素早く報・連・相を行うことで、上司や先輩が問題の解決策を講じてくれるのです。そうすれば、問題が大きく悪化する前に解決することができます

2.チームワークを高められる

報・連・相を使うことでチームワークを高めることができます。自分1人で仕事や課題を抱え込むことなく、上司や同僚に情報を共有してみます。すると、知見がある人からアドバイスを得ることができる場合もあります。報・連・相を使うことで、チームとしての生産性が上がり、コミュニケーションを活発化させることができるのです。

事例で学ぶ報・連・相のポイント

次に、報・連・相について、ビジネスシーンごとの事例を紹介していきます。解説ポイントもつけていますので、事例から報・連・相への理解を深めましょう。

事例1:内容を確認せずに仕事を引き受けてしまった事務職のAさん

11時頃、忙しく仕事をしていたAさんは、課長から営業会議の資料作成を頼まれた。
課長は「いつも通りにやってくれればいいから。納期は明日の9時までね」と言って、Aさんの机に資料作成のための指示メモを置くと、さっさとデスクに戻っていく。
Aさんは営業会議の資料作成経験があるので、中身を確認せずに引き受けてしまった。
しかし、昼休みを終えて彼女が営業会議の指示メモを見ると、これまでと違い分析内容が複雑である。
課長の席を見ると不在で、どうやら夕方までかかる社内会議に出席しているということだった。
結果、Aさんは課長が会議から戻ってくるまでの間、資料作成に着手することができなかった。
ようやく会議から戻ってきた課長に指示メモの中身を確認すると、「なんだ。まだやってなかったの? これから始めたら遅いから、いいよ。私がやる」と課長に言われてしまう。
結果、営業会議の資料作成は課長にお任せすることになってしまった。

・仕事を引き受けた時点で仕事内容を確認し、分からない点について報・連・相するべきだった。
・急ぎの仕事であれば、会議中の課長に連絡して、わからない点を報・連・相するべきだった。

事例2:問題に気づいたのに報告が遅れてしまった製造職のBさん

工場で働くBさんは、勤続12年のベテラン社員。
工場が稼働して1時間後、彼は機械の調子がおかしいことに気づいた。
当該機械は夕方に使う機械であり、早めに修理すればまだ時間の余裕がある。
そしてBさんは、何度も当該機械を修理した経験があったのだ。
しかも、今日は終日、管理職が会議で不在なので、Bさんが単独で機械を修理しようと考えた。
しかし、過去の修理方法をいくら試しても機械はよくならない。
仕方なく、ラインに戻って作業に入るが、機械のことが気になって仕方がなかった。
昼になって上司の係長が戻ってきた時、事の次第を伝えたが、Bさんは「自分で何とかできる」と回答してしまった。
理由は、自分で修理できないことに気づいていながら、連絡が遅れたことを責められると思ったからだ。
しかし、結局、機械を修理することができず、この日に予定していた作業をBさんは行うことができなかった。

・過去の修理方法では機械を修理できないと気づいた時点で上司に報告すべきだった。
・仮に「連絡が遅れたことを責められた」としても、夕方に機械を使って作業することが重要なのだから、臆せず報告すべきだった。
・問題を早急に上司に報告し、迅速に解決できるチャンスを逃した。

報・連・相は使い方に注意

報・連・相を使うと、問題に素早く気づいて早急に対処できたり、チームワークを高めたりすることができます。一方で報連相は、うまく使わないと上司や先輩の指示に依存することになりかねません。問題や課題、できないことは何でも報・連・相すればよいという使い方だと、自分を成長させることが難しくなるのですね。

事例2で言えば、製造職のBさんは問題が発覚した時に自分で対処しようとしました。それ自体は責められるべきことではないはずです。しかし、この時、Bさんが「わからないから、とりあえず係長に報・連・相しよう」と行動したら、どうなるでしょうか? Bさんは問題解決のスキルを高められないことになりますね。

ですから、報・連・相は使い方に注意しましょう。何でも報・連・相すればよいのではなく、自分なりの考え、意見、実践を踏まえて使えると、本人の成長に繋がります

「自分の成長」に使える確・連・報(かくれんぼう)について

自分の成長に使う手法としては、報・連・相だけでなく確・連・報があります。特に仕事に慣れてきた段階では報・連・相より確・連・報を使いたいところです。例を用いて説明しましょう。

入社した頃はわからないことだらけです。そのため、頻繁に質問しますし、「今、仕事はこんな進捗状況です」「こんな問題が発生しました。どうしたらよいですか」と報・連・相するでしょう。そして入社して2~3年目となると、自分一人でできる仕事の範囲が徐々に広がっていきますね。

そこで使ってほしいのが確・連・報です。報・連・相の「相談」が「確認」に変わった手法です。相談する場面は、わからないことや、難しい問題に直面した時ですよね。何か問題が起こった時、報・連・相なら「こんな問題が発生しました。どうしたらよいですか」と上司に相談します。

しかし確・連・報を使う時は、「上司に聞く前に自分でできることは何か?」と内省します。そして、上司には「こんな問題が発生しました。私は〇〇を使って解決しようと思いますがよろしいでしょうか?」と確認するわけです。すると、上司は承認することもありますし、「もうちょっと違うやり方があるんじゃないか」と提案してくるのです。

確・連・報は、自分の意見、主張を提示し、上司からの確認を得るための手法です。確認を得るために自分なりの意見や主張を考えるので、自分を成長させることに繋がります。

まとめ:「報・連・相」を基本に、自分を成長させるためには「確・連・報」も

報・連・相は、ビジネスで必要不可欠なコミュニケーションスキルです。

報・連・相を行うことで、問題に早期に気づいて解決策を講じることができ、また、チームワークを高めることもできます。

事例で学んだ通り、報・連・相を効果的に使わないと仕事をうまく進めることができません。自分を成長させるためには、報・連・相だけでなく、確・連・報も使っていくとよいでしょう。


監修・文/山崎英理夫

人事コンサルティング歴4年、人事歴8年。人事コンサルタントとして教育研修のプログラム開発、人事制度診断等を提供。また、企業人事として新卒・中途採用に従事し、人事制度構築や教育研修の企画・運用など幅広く活動。この経験を活かし、人材関連の執筆にも数多く取り組む。
http://erinanase.com/

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