「~になります」は敬語として間違い? 正しい使い方と言い換え表現を解説【例文つき】

2024/03/27

ビジネス用語

「こちらはハンバーグランチになります」「こちらが本日の内見資料になります」「今私が立っている場所が〇〇の入り口になります」……かつてファミ・コン用語と揶揄された「になります」は、飲食業界のみならず、さまざまな業界で勢力を広げているように見えます。

取り沙汰されすぎたために、禁止しているお店もあるかもしれませんが、全てが間違いであるとは限りません。正しいケースもあれば、そうでないケースもあるのが「〜になります」というフレーズです。そもそもの多様な意味を知ることから始めましょう。

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「になります」の意味

「になります」を分解すると「に(助詞)+なる(動詞)+ます(丁寧語)」に分かれます。「に」は、変化を表す表現とともに使い、変化の結果としてもたらされる物事・立場・状態などを表します。「ます」は丁寧語です。そして、肝心の「なる(成る・為る)」には、「ある事物・事柄ができあがる。成立する。実現する」などの他にも多くの意味があります。このような言葉を「多義語」といいます。

「になります」というフレーズを作ることができる意味を取り上げますが、以下の通り実にさまざまです。

【成る/為る】なる
(4)(「……になる」「……となる」などの形で)変化して別の事物に至る。また、ある経過をたどった結果としてある事物が生じる。
(5)時間が経過して、ある時期・時刻・天候などに移る。
(6)順当に考えると、それに相当する。他の何物でもなく、これに違いないことを示していう。……に当たる。……だ。*現在そうであるという状態を示す。
(7)あるものが一定の重要な役割を果たす。
(8)物事がそのように決まる。
(9)ある数量に達する。
(10)それにふさわしい価値が成立する。
(12)(「にお世話になる」などのかたちで)他からその恩恵を受ける。……してもらう。
(『明鏡国語辞典 第三版』大修館書店)


このように、「になります」という言葉を作る「なる」には多くの意味があるため、「になります」の意味も非常に多岐にわたります。一言でまとめられるものではありませんが、代表的な意味としては「ある事物・自然・時刻・年齢・価値などの変化がもたらされること」「一定の役割を果たす。該当する」などが挙げられます。

「になります」は敬語として間違い?

「になります」という言葉は、かつてよくファミ・コン用語における誤用例として「こちら〇〇定食になります」などが取り上げられました。かなり話題になったため、昨今ではむしろ「“になります”を使わないように」と心掛けている店もあるでしょう。しかし「になる」に「ます」を加えた「になります」は丁寧語であり、敬語として文法上の間違いはありません

問題は、その用法です。「になります」がおかしいと問題視されたのは、特別な意図もなくマニュアル的に乱用されていたことが大きいでしょう。接客の場面で「です」よりも丁寧な言い方をしようとするあまり、それまでさほど使われてこなかった「になります」という言葉が一時期急速に広まったのです。

しかし、「です」を「になります」に言い換えても、敬語として丁寧さが増すわけではありません。お客様や目上の相手に使う敬語としては、敬意が不足しているからです。特に、接客の場面で「になります」を使うことはおすすめできません。丁寧かつ丁重に伝える「でございます」を使うほうが、敬意の度合いも高く適切です。

「になります」の正しい使い方【例文つき】

「になります」には「別のものに変化する」という意味以外にも多様な意味があります。一概に「何に変化するの?」という見方だけで正誤を判断するのではなく、まずは幅広い場面での使い方を確認しましょう。

ある事物が変化して別の事物になったり、何らかの経過をたどってある事物が生じたりする時

水を冷凍すると氷になります。

時期・時刻・天候などが移りゆく様子を表す時

季節はもうすぐ秋になります。

他の何物でもなく、それに違いないことを表す時

脱税は犯罪になります。

物や人などが重要な役割を果たすことを表す時

彼らの存在は犯罪防止の抑止力になります。

物事の日付や場所などが決まった時

キャンペーン開始日は来月1日からになります。

会計を進めた結果の合計金額や、年月を経た結果の年齢などを伝える時

合計は1100円になります。

金銭的価値や、見応えや聞き応えなど何らかの価値が成立する時

ここから眺める富士山は実に絵になります。

お世話になるなど、何らかの恩恵を受ける時

ありがたくごちそうになります。

「お」と動詞の連用形を組み合わせる尊敬語の用法「お……になる」の時

ベスト社の最上社長がお越しになります。

「になります」の間違った使い方と言い換え表現【例文つき】

「になります」を間違えて使っている誤用例を紹介します。正しい表現も◯で示します。

誤用例1

× こちらAランチになります。
○ こちらAランチでございます。

これからAランチに変化するという意味で使っているわけではないでしょうが、かといって丁寧な敬語表現でもありません。注文を受けた料理であると伝えるだけなら、あえて「になります」を使う必要はなく「こちらAランチです」を丁重に伝えるほうが適切です。

誤用例2

× 今私が立っている場所がホールの入り口になります。
○ 今私が立っている場所がホールの入り口です。

「ここはお店の入り口に到底見えないかもしれませんが、まさにお店の入り口にあたります」などの特別な意味がない場合には、シンプルに「ここがお店の入り口です」で良いでしょう。

誤用例3

(講師が対面で述べる場合)
× 次回は休講になります。
○ 次回は休講にします。
○ 次回は休講です。

講師の都合で休講にすることを受講生に告げる場合、自然に休みになるわけではないため、「休講にします」が適切です。あえて講師の都合であることに言及しないなら、「休講です」でも問題ありません。

まとめ

「になります」という表現はお店や企業によっては禁止令が出ているところもあるかもしれません。しかし、文中に挙げたように会計の結果「合計が〇〇円になります」などの用法は不適切とはいえまません。

一概に間違った表現と決めつけるのではなく、「なぜ?」を考えたいですね。誰に対してどんな場面でどう使うのが間違いなのかを、その都度説明できるようにしていくと、他の場面でも応用が効くようになります。守備範囲が広がり、敬語力も自然と上がっていくに違いありません。

(前田めぐる)

※画像はイメージです

【著者プロフィール】
前田めぐる(文章術講師)

コピーライターとして「言葉と文章」に関わり続けてきた経験をもとに、企業・自治体・団体向け広報講座の講師を務める。ワークを取り入れた文章術研修では‘伝える’を‘伝わる’に変換する文章の書き方を伝授。「楽しくて分かりやすく、すぐ実務に活かせる」と定評がある。

執筆・ライティングの専門領域は、【言葉・敬語・文章術・マーケティング・リスクコミュニケーション】。公益社団法人日本広報協会広報アドバイザー、文章術講師。著書に『この一冊で面白いほど人が集まるSNS文章術』『前田さん、主婦の私もフリーランスになれますか?』など。京都在住。

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